労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  オリエンタルモーター 
事件番号  東京地裁昭和62年(行ウ)第108号 
原告  オリエンタルモーター 株式会社 
被告  中央労働委員会 
被告参加人  全日本金属情報機器労働組合東京地方本部オリエンタルモーター支部 
判決年月日  平成 2年 2月21日 
判決区分  救済命令の一部取消し 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)就業時間中の組合活動の範囲、人事異動及び組合事務所貸与に関する団体交渉を拒否したこと、(2)食堂内の組合備品を無断で撤去したこと、(3)組合の集会等に食堂の使用を認めなかったこと、(4)組合員に対し組合加入状況を調査したこと、(5)事業所正門に掲げた組合旗を撤去したこと、(6)上部団体からの団体交渉申し入れに対し、入構を拒否し、応じなかったこと、(7)新入社員教育において組合を誹謗したこと、(8)昭和50年年末一時金、51年賃上げ及び同年夏期一時金の交渉中に一時金等の受領に関する念書を配布し、署名押印を求めたこと、(9)組合員に対し、組合からの脱退を強要したこと、(10)組合規約、組合員名簿の提出を強要したこと、(11)労働時間等に関する団体交渉を拒否したことが不当労働行為であるとして申立てがあった事件で、初審の千葉地労委は、労働時間等に関する団体交渉を除き、いずれも不当労働行為であるとして、会社に対し、誠意ある団体交渉の実施、組合事務所の貸与、組合加入状況調査による支配介入の禁止、食堂利用拒否の禁止及びポスト・ノーティスを命じ、中労委は初審命名主文のうち組合備品の撤去、組合旗の撤去、上部団体の入構拒否、組合規約及び組合員名簿の提出を強要したことに関してポスト・ノーティスを命じた部分を変更し、そのほかは命令を支持した。
 これを不服として、会社が行政訴訟を提起したところ、東京地裁は中労委の命令中、組合事務所の貸与、組合加入状況調査による支配介入の禁止及び食堂利用拒否の禁止並びにポスト・ノーティス中の新入社員教育における組合誹謗、51年賃上げ交渉中に従業員に受領書を配布し、署名押印を求めたこと及び組合員に対し組合脱退を強要した部分を取り消し、その余の請求を棄却した。 
判決主文  1 被告が中労委昭和53年(不再)第4号事件につき昭和62年5月20日付けでした別紙(2)記載の命令中、次の部分を取り消す。
 1 主文第2ないし第4項
 2 主文第5項中(2)、(3)、(5)につきポスト・ノーティスを命じた部分
 3 主文第5項(4)中昭和51年春の賃上げ交渉中に全従業員に受領書を配付し賃金を受領する者に署名押印のうえ提出させたことにつきポスト・ノーティスを命じた部分
 4 右1ないし3に関する原告の再審査申立てを棄却した部分
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費 
判決の要旨  2249 その他使用者の態度
就業時間中の組合活動についての団交申入れに対し、会社は文書のみで回答し、後日開かれた団交においても実質的な協議を行っておらず、誠意団交に応ずべき義務を尽くしているとはいえないから、労組法7条2号の不当労働行為に該当する。

2242 回答なし
会社は文書で人事に関する約款を締結する意思がないと回答するのみで、その後の団交においても実質的な協議を行っておらず、誠意団交に応じていないのであるから、労組法7条2号の不当労働行為に該当する。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
使用者が組合事務所を貸与しなかったとしても、特段の事情のない限り不当労働行為を構成するものではない。

2231 組合の不誠実
6343 団体交渉拒否に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
会社が組合に組合事務所を貸与しなかったことが、労働組合に対する支配介入に当たると認めることはできず、合意のない覚書を組合が添付していたため組合事務所貸与協定に調印しなかったという団交の経過によれば、会社の組合事務所に関する対応が正当な理由のない団交拒否に該当するということもできないため、本件命令中の組合事務所の貸与を命じた部分は取り消される。

3020 組合活動への制約
使用者は施設管理権を有し、労働組合は当然に企業施設を利用する権利を保障されるものではないから、団結権保障の趣旨等からみて施設管理権の濫用と認められるような特段の事情がない限り、組合への使用拒否は不当労働行為にならない。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3020 組合活動への制約
会社は組合に、集会の際に守衛とのトラブルがあった後は、食堂使用を一切許容していないが、組合が会社の施設管理権を無視していたこと等からすると、このことをもって施設管理権の濫用とはいえない。

6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
会社は組合に、食堂使用を一切許容していないが、組合が会社の施設管理権を無視していたこと等からすると、このことをもって施設管理権の濫用とはいえず、これを不当労働行為として発した救済命令は違法であり、取り消す。

2622 組合員調査
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
会社が36協定の締結当事者の要件を満たすかという問題で、照会票により組合加入状況を調査したことはやむを得なかったのであり、会社の照会票の配付が支配介入に該当するとはいえない。\r\n\r\n よって、会社の照会票の配布行為を支配介入に当たるとして発した救済命令は違法であり、取消す。

2611 その他の従業員の言動
2620 反組合的言動
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
会社の非常勤顧問が新入社員教育の際組合を批判する言動をしたとしても、その責めを会社に負わせることはできず、それが会社の組合への支配介入に該当するとはいえない。\r\n\r\n よって、これを支配介入に当たるとして発した救済命令は違法であり、取消す。

2625 非組合員化の言動
2900 非組合員の優遇
会社が組合との36協定締結を年末一時金支給の条件としたことの合理性は見い出せず、非組合員のみに同一時金を支給するための念書を配付した行為は、組合の弱体化を図るもので支配介入に当たる。

2625 非組合員化の言動
2900 非組合員の優遇
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
会社が51年の賃上げに関し、組合との間で妥結していない段階で、非組合員のみに年末一時金を支給する方法として受領書を配布した行為は、やむを得なかったものといえ、これが直ちに不当労働行為ということができない。\r\n\r\n よって、これを不当労働行為と認めてした救済命令は違法であり、取消す。

2612 従業員の親族・保証人・友人の言動
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
利益代表者の行為であっても、それが私生活関係における個人的行為である場合は不当労働行為は成立しないものと解すべきで、組合活動を続けるなら仲人を断るとする取締役の言動は個人的行為といえるから、不当労働行為にはならない。\r\n\r\n 結婚式の仲人を引き受けるか否かは、私生活上の問題であり、組合活動を続けるなら仲人を断るとする取締役の言動は同人の個人的行為といえるから、これを支配介入に当たるとして発した救済命令は違法であり、取り消す。

業種・規模  輸送用機械器具製造業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集25集84頁 
評釈等情報  労働関係民事裁判例集 41巻1号 16頁 
判例時報 1368号  136頁 
中央労働時報  811号 42頁 
労働判例  559号 54頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
千葉地労委昭和50年(不)第3号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和53年 1月13日 決定 
中労委昭和53年(不再)第4号 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和62年 5月20日 決定 
東京高裁平成 2年(行コ)第26号・第28号 一審判決の一部取消し  平成 2年11月21日 判決 
最高裁平成 3年(行ツ)第34号 控訴審判決の一部破棄自判  平成 7年 9月 8日 判決 
最高裁平成 3年(行ツ)第35号 上告の棄却  平成 7年 9月 8日 判決 
 
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