労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  亮正会高津中央病院 
事件番号  東京高裁平成 2年(行コ)第82号 
控訴人  中央労働委員会 
控訴人参加人  総評全国一般労働組合神奈川地方連合他2名 
被控訴人  医療法人社団 亮正会 
判決年月日  平成 4年 2月25日 
判決区分  請求の棄却 
重要度   
事件概要  本件は、病院が、(1)パートタイマーである組合員X1及びX2の両名に対して、契約期間満了を理由に雇用関係を終了させたこと、(2)雇用契約更新に係る団体交渉に応じなかったことが不当労働行為であるとして申立てがあった事件で、初審神奈川地労委は、これらの行為がいずれも不当労働行為に当たるとして、(1)両名の原職復帰及びバックペイ、(2)誠意ある団体交渉の実施、並びに(3)ポスト・ ノーティスを命じ、中労委も初審命令を維持し、病院の再審査申立てを棄却した。病院はこれを不服として東京地裁に訴えを提起したところ、同地裁は、病院が仮処分命令に従い両名を職場に復帰させ賃金相当額を支払っていること、更にその後、両名と新しく雇用契約を締結して就労させていること等を理由に、すでに救済利益は失われているとして、本件中労委命令を取り消す判決を言い渡した。中労委はこれに対し東京高裁に控訴したところ、同高裁は、本件中労委命令中、(1)X2が後に退職したことにより、X2の原職復帰及びこれに伴う諸問題について団交を命じた部分、(2)バックペイ及びこれに対する加算額の支払いを命じた部分のうち、両名が新雇用契約により実際に受領した賃金とその加算額に相当する部分については救済利益を欠くとして地裁判決を維持したが、その他の部分については中労委の救済命令を支持し、病院側の請求を棄却するとの判決を言い渡した。 
判決主文  1 原判決を次のように変更する。
1 控訴人が、中労委昭和60年(不再)第59号事件につき昭和63年3月2日付けで命令中、神奈川地方労働委員会が被控訴人に対して、
(1) 補助参加人ら組合員X2を原職に復帰させること及びこれに伴う諸問題につき団体交渉を行うことを命じた部分
(2) 同組合員X1及び同X2につき、得べかりし賃金相当額及びこれに対する加算額の支払いを命じた部分のうち、同X1が昭和61年2月19日以降、同X2が同年3月3日以降それぞれ被控訴人から賃金として現に支給を受けた金額及びこれに対す 
判決の要旨  2113 交渉団体として不適格
労働条件の変更を議題とする団交申入れにつき、組合の代表者が明確でないこと、組合の同一性に疑義があることを理由に団交を拒否したことは、その後の組合通知より疑義が解消したと言うべきであり、さらにこれを拒否したことは不当労働行為に該当する。

1106 契約更新拒否
新契約の提案を拒否したX1及びX2につき、雇用期間満了を理由に解雇したことは、同人らが組合員であることの故になされた不利益取扱いであり不当労働行為に該当する。

4403 解雇後の事情と原職復帰
6355 その他
仮処分決定に基づきX1及びX2を原職復帰させ賃金を支払ったので、右復帰の日以降については救済の利益が消滅したとの病院の主張につき、中労委命令の発令時までに仮処分命令に基づく金銭の仮払いを確定的な債務の弁済とする趣旨の合意が労使間に成立したとは認められない等から、救済の利益が消滅したとはいえない。

4403 解雇後の事情と原職復帰
6355 その他
新契約の締結によりX1及びX2は原職復帰したのであるから、新契約の締結にあたり、中労委に対する救済申立を撤回したり、その利益を放棄したものとは認められず、さらに病院が初審命令に服する趣旨において新契約を提示したものではないことを総合すると、X1らの新契約をもって原職復帰したものと認めることはできない。

6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
6355 その他
新契約の締結によりX1及びX2に賃金を支払っているのであるから、新契約締結の日以降、バックペイについては救済の利益が消滅したとの病院の主張につき、同就労による賃金は法律上返還請求を受ける可能性のないものであるから、これを救済の対象から除外するのが相当であるとして、初審命令を維持した中労委命令は当該部分につき違法である。

6310 違法判断の基準時
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
6355 その他
中労委の命令発令時までに、X2は当該病院を既に退職したのであるから、同人に係る原職復帰及び退職後のバックペイの救済利益が消滅したことは明らかであり、中労委が初審命令を維持したのは違法であるから、当該部分につき取消しを免れない。

2301 人事事項
4504 他の救済と重畳的に団交の必要性を認めた例
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
X1及びX2に係る原職復帰に伴う諸問題を議題とする団交応諾を命じた初審命令を維持した中労委命令につき、X1の原職復帰にあたり、病院は復職後の賃金改定、次期以降の労働契約の内容を明確にする必要があるから、X1の原職復帰に伴う諸問題について組合と協議させる必要があり、 救済必要性を欠くことはない。

4505 その他
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
X2は中労委の命令発令時に、既に当該病院を退職したのであるから、同人の原職復帰に伴う協議を行う必要はなく、当該部分の初審命令を維持した中労委命令は、その裁量の範囲を逸脱した違法なものである。

5007 謝罪・陳謝・誓約文の手交・掲示
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
「誓約書」という題で、「ここに深く反省する」とか「誓約します」の文言を含むポスト・ ノーティス命令は、憲法19条に違反するものでなく、また、労委に認められた裁量権の範囲を逸脱したものではない。

業種・規模  医療業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集27集68頁 
評釈等情報  判例タイムズ  804号  127頁 
労働判例  625号 67頁 
ジュリスト 山川隆一 1029号  161頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
神奈川地労委昭和60年(不)第3号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和60年12月13日 決定 
中労委昭和60年(不再)第59号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和63年 3月 2日 決定 
東京地裁昭和63年(行ウ)第64号 救済申立棄却命令の全部取消し  平成 2年 6月13日 判決 
 
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