労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  大手前高松高等(中)学校 
事件番号  東京地裁平成 5年(行ウ)第193号 
原告  学校法人倉田学園 
被告  中央労働委員会 
被告参加人  香川県大手前高松高等(中)学校教職員組合 
判決年月日  平成 9年 2月27日 
判決区分  救済申立棄却命令の一部取消し 
重要度   
事件概要  本件は、学園が、<1>組合が学園の許可なく組合ニュース等のビラ配布をし、小会議室を無許可使用したことを理由として、学園が警告書を交付したこと、<2>理事長が、組合員X1に対し退職を勧奨したこと、<3>就業時間外に職員室で行ったビラ配布及び小会議室使用の職場集会を、学園の労務担当Y1が妨害したこと、<4>卒業式後に行われた職員祝賀会の席上において、 組合副委員長が抗議文を読み上げたことを理由として、学園がX2委員長及びX3副委員長を訓告処分に付したこと、<5>ボーナス査定及び前歴計算を公立並みにすること等の組合要求に対して、学園が誠意をもって団体交渉を行わなかったこと等が争われた事件である。
 初審香川地労委は、<1>組合に対する警告書の撤回、<2>X1に対する退職勧奨することによる支配介入の禁止、<3>ビラ配布、職場集会に対する支配介入の禁止、<4>X2及びX3に対する訓告処分の撤回、<5>ボーナス査定、前歴計算について誠意ある団交の実施を命じたところ、これを不服として学園から再審査申立てがなされた。
 中労委は、香川地労委の命令のうち、<1>X2及びX3に対する訓告処分の撤回を命じた部分を取り消し、<2>ビラ配布、職場集会に対する支配介入を禁止した部分を「学園が組合活動のために行うビラ配布及び学園施設の利用について、許可条件、手続等を組合と誠実に協議しなければならない」と変更し、その余の再審査申立てを棄却したところ、学園はこれを不服として行政訴訟を提起した。東京地裁は、中労委の命令の一部を取り消し、その余の学園の請求を棄却した。 
判決主文  1 被告が、中労委昭和59年(不再)第4号事件について、平成5年5月19日付けでなした不当労働行為救済命令主文第1項中の、原告に対し「被告補助参加人が組合活動のために行う学園施設の利用について、許可条件、手続等を被告補助参加人と誠実に協議しなければならない。」と命ずる部分を取り消す。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は原告の負担とする。 
判決の要旨  1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
本件ビラの配布は、形式的には就業規則に違反するものの、ビラ内容や配布態様に照らして学園内の職場規律を乱すおそれがなく、また、生徒に対する教育的配慮に欠けることとなるおそれのない場合には、就業規則所定の懲戒処分をすることは許されないというべきである。本件ビラの内容は、労働組合としての日頃の活動状況及びこれに関連する事項であり、また、配布の様態をみても、配布自体によって業務に支障を来したとは認められない。さらに、生徒の教育的配慮という観点からみても、通常生徒が職員室に入室する頻度の少ない時間帯になされたものであるから、教育的配慮という一般的見地を余りに強調するのは、本事案の実情にそぐわない。そうすると、本件警告は、組合弱体化の意図のもとに行ったといえるから、支配介入に該当する。

1400 制裁処分
3020 組合活動への制約
学園が小会議室の許可制にあくまで固執したのは、組合に対する否認的態度ないし不信感がその根底にあり、組合の職場集会の開催にあたっては、当日又は前日に届出をなし、利用時間も始業時間又は終業時刻後の約2時間で集会内容も団体交渉内容の報告であったというのであり、その間、非組合員の入室を拒否したこともなく、小会議室の本来の使用目的である職員の娯楽、懇談等の障害になったこともなく、教育上好ましくない結果が生じたとか、学園業務の阻害になったとの事情も認められないから、就業規則違反を理由に本件警告書を多数回交付したことは組合の弱体化を企図した行為であり、不当労働行為と判断されてもやむを得ない。

2621 個別的示唆・説得・非難等
学園理事長は、親戚であるX1の父親を呼び出して、X1は組合に加入しており、親戚関係がまずくなる、善処してもらいたい旨述べており、X1に対して父親を通じての退職勧奨は組合の弱体化を意図して行われたものであり、支配介入に該当する。

2700 威嚇・暴力行為
Y1は、アンケート用紙を配布していた組合員に対し、「これ配らん方がええで」等の発言をしており、この発言は、組合弱体化の意図のもと労務担当者として、組合の情宣活動を抑制するためになされたものであり、支配介入に該当する。

2231 組合の不誠実
ボーナスの支給額に争いが生じ、それが明らかにされなければ交渉が全く進まないと状況になった場合、ボーナス査定の基礎となる勤務成績等の考課の基準やその方法、考課の結果と支給額との関連について、組合がわから提示の要求があれば、使用者はこれを提示して疑問に答える義務があるものというべきである。学園は、昭和52年度ボーナス査定の査定項目を途中で拒否し、査定項目のウエート付けの問題について何ら説明していないのであるから、不誠実団体交渉に当たる。\r\n\r\n 前歴計算については、公立高校との格差が残っていたにもかかわらず、団体交渉の場で組合に対し全く回答を示さず、職員会議において前歴計算に関する文書を配布しており、学園の交渉態度は不誠実である。

6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
学園に対し、組合活動のために行うビラ配布について、許可条件、手続等を組合と誠実に協議するの旨命ずる部分は取り消すべき理由はないが、学園施設利用に関し、初審が学園の支配介入であるとしたY1教頭補佐の発言を中労委は不当労働行為に当たらないとしており、「学園施設の利用について誠実協議を」命ずる部分は不当労働行為に該当する事実がないのに救済命令を発したものと言わざるを得ず、この部分については、取り消しを免れない。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集32集104頁 
評釈等情報  労働判例 1997年9月15日 719号 56頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
香川地労委昭和53年(不)第2号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和58年12月10日 決定 
中労委昭和59年(不再)第4号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 5年 5月19日 決定 
東京高裁平成 9年(行コ)第36号 控訴の棄却  平成10年11月30日 判決