労働委員会関係裁判例データベース

[判例一覧に戻る]
概要情報
事件名  忠恕福祉会 
事件番号  大阪地裁平成 8年(行ウ)第82号 
原告  社会福祉法人忠恕福祉会 
被告  大阪府地方労働委員会 
被告参加人  ユニオン・おおさか 
判決年月日  平成10年 8月26日 
判決区分  救済命令の一部取消し 
重要度   
事件概要  本件は、社会福祉法人忠恕福祉会の、(1)組合支部長X1の定期昇給の不利益取扱い、(2)賃上等各種労働条件に関する不誠実団交、(3)組合郵便物の開封・返送、(4)支部書記長の誹謗、(5)特別休暇の一方的廃止等が不当労働行為であるとして争われた事件で、大阪地労委は、(1)について、定期昇給額の是正と既支給額との差額の支払いを、また、(2)乃至(5)について、文書手交を命じた。会社はこれを不服として行政訴訟を提起したが、大阪地裁は、会社の請求を一部認容して地労委の救済命令を一部取り消した。 
判決主文  1 原告の訴えのうち金員の支払を求める部分を却下する。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は原告の負担とする。 
判決の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
3604 労働者に落度がある場合
6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
組合員X1の基本給引上額を他の寮母より低額の3000円に抑制したことについて、老人ホーム寮母である同人の行事等への非協力、禁止紙おむつ使用、深夜おむつ交換省略、夕食時配膳の怠惰行為等は、給与規則の勤務成績・能力の極めて悪い者に該当するので合理的理由があり、非組合員Z1も同額に抑えられたこと等を併せ考慮すれば、組合嫌悪の不利益取扱いとは認められず、これを労組法七条一号の不利益取扱いに該当するとした地労委命令主文第1項[賃金是正、バックペイ(年5分加算)]及び第2項(文書手交)の第1項に関する部分は違法として取消した例。

2240 説明・説得の程度
2248 実質的権限のない交渉担当者
団交に回答能力・権限のある者の出席を拒否し、回答メモを読み上げ、質問にも回答しなかった一連の会の対応について、これは資料提示・説明による実質的団交を避けた不誠実な交渉態度であり、その後の、要求拒否の電話回答や6か月後の団交応諾も不当労働行為成否の判断を左右せず、団交拒否に当たるとした地労委判断は正当で、被救済利益も削減していないので、命令主文第2項(文書手交)の不誠実団交に関する部分は適法であるとされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会が組合郵便物を開封・返送したことについて、開封する合理的理由はなく、入所老人宛郵便物以外は受け取らず返送する慣行も認められず、便宜供与になるならないで結論が異なる問題でもないので、これを支配介入に当たるとした地労委判断は正当で、会が開封を謝罪し組合が宥恕後も申立て直前まで執拗に繰り返したこと等から将来の危険性も高く、被救済利益も削減していないので、地労委命令主文第2項(文書手交)の組合郵便物開封・返送に関する部分は適法であるとされた例。

2620 反組合的言動
会が、組合員X1らの行動を氏名を公表して批判した「騒動記」及び解雇後地位保全等仮処分決定で復職した組合員X2の寮母適性を疑問とした「復職について」の2つの文書を作成、公開したことについて、組合宛郵便物開封・返送の不当労働行為と同時期であることを総合考慮し、個人批判の域を著しく超え、組合員を誹謗、攻撃して隔離し、従業員の組合加入を阻止する意図をもっていたもので、支配介入に当たるとした地労委判断は正当であり、命令主文第2項(文書手交)の組合支部役員に対する誹謗、中傷に関する部分は適法であるとされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会が、特別休暇を一方的に廃止したことについて、同休暇が労働契約の内容か恩恵であるかにかかわらず、組合の制度化要求を受けた会が、紛争発生の畏れありとし、恩恵付与確認文書に組合が署名しないので廃止する旨の書面を貼付等して一方的廃止とした経緯を考慮すれば、組合要求を逆手に取り、従業員の反感をあおって組合支部役員が職場で孤立化することを意図したもので、支配介入に当たるとした地労委判断は正当であり、命令主文第2項(文書手交)の特別休暇の一方的廃止に関する部分は適法であるとされた例。

業種・規模  社会保険、社会福祉 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集33集597頁 
評釈等情報  中央労働時報 1999年10月 958号 32頁 
労働判例 1999年3月15日 752号 45頁 

[先頭に戻る]