労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  日通岐阜運輸 
事件番号  岐阜地裁平成 9年(行ウ)第12号 
原告  日通岐阜運輸株式会社 
被告  岐阜地方労働委員会 
被告参加人  全日本運輸一般労働組合日通岐阜運輸支部 
判決年月日  平成11年 2月17日 
判決区分  請求の棄却 
重要度   
事件概要  本件は、賃上げ・一時金に関し、算定根拠・基準を説明しない等の不誠実団交が争われた事件で、岐阜地労委の救済命令(9・7・29決定)を不服として、会社が行政訴訟を提起していたが、岐阜地裁は地労委の決定を支持して会社の請求を棄却した。 
判決主文  一審原告ら、一審被告及び補助参加人の各控訴をいずれも棄却する。 
判決の要旨  2240 説明・説得の程度
考課基準に関する説明については、会社は、交通事故、業務改善、規律遵守に言及するもいろいろ総合して決定する旨述べているから、結果として考課基準項目のすべてを明らかにしておらず、各項目の評価段階・重要性及び職種の考慮の有無等について回答していないので、考課基準の概要を説明したとはいえないとして、会社の請求を棄却した例。

2240 説明・説得の程度
賞与基準案と賞与支給基準との関係については、前者が支給基準及び考課基準検討のたたき台であり、後者は支給基準そのもので考課基準には全く触れていないとしても、賞与基準案についての検討を経た結果賞与支給基準が作成されたので、相互の関係を説明することは必要かつ可能であるとして、会社の請求を棄却した例。

2240 説明・説得の程度
団体交渉において、単にある資料が使用者側から自発的に提出されなかったという外形的事実のみをもって不当労働行為と判断することは相当でないとの会社主張について、本件命令は、団体交渉における具体的な回答根拠の如何により、どのような説明が必要かを検討し、それを前提に不誠実団交となるかどうかを判断したもので、業績通知等を自発的に明らかにしなかったとの外形的事実のみをもって結論を導き出したものでなく、組合から回答の具体的根拠の説明を求められたことは一度もないとの会社主張も直ちに結論に影響を及ぼさないとして、斥けた例。

2240 説明・説得の程度
平成8年賃上げ及び夏期・年末一時金の交渉にあたり、会社は、回答額の根拠として、赤字経営で会社存続ぎりぎりの範囲内での精一杯の努力の結果である旨述べているから、赤字の内容・程度等を組合に具体的に説明する必要があると解するのが相当であり、組合は料金改訂等の収益改善策、経費削減、内部留保取崩等経営上の努力による賃上げについて交渉するのが通常なので、会社は、組合が対案を提示するための、赤字の存否・内容・程度の計算書類等の提示や経営努力困難な事情を具体的に述べることが必要であるとされた例。

4500 交渉拒否理由または交渉条件に関する指示に触れた例
本件救済命令主文第1項の「回答の根拠及びそれを裏付ける資料を提示するなど、誠実に団体交渉に応じなければならない。」、第2項の「回答の具体的根拠・・を説明しなかったことが・・不当労働行為であると認定されました。」との評価・判断は、会社が、賃上げ及び夏期・年末一時金の回答額の根拠として、赤字であり、企業経営のぎりぎり精一杯である等の抽象的な発言を繰り返しただけであり、赤字額を口頭報告するも裏付け資料を提出せず、赤字額が累積しているか明確に答えなかった事情から、相当であるとされた例。

4500 交渉拒否理由または交渉条件に関する指示に触れた例
本件救済命令は、個人別支給額の開示までをも求めるものであり、又、用語が不明確であるとの会社主張について、主文第1項は会社に回答根拠及び裏付け資料の提示を求め、主文第2項は回答根拠や支給基準等を説明しなかったことが不当労働行為と認定したもので個人別支給額には触れておらず、「配分」の語は全ての箇所で個人別支給額の意味であるとは解されず、「配分方法」の語も支給基準を意味することは明らかであるとして、斥けた例。

2240 説明・説得の程度
考課基準の詳細は人事権・経営権の問題であるから開示を差し控えたいとの会社主張と、結果として労働条件に影響を与えるから開示すべきとの組合主張とが対立しているから、会社が自己の立場を理解してもらうために十分な努力をしたかどうかによって不当労働行為の成否を決すべきであるとの会社主張について、会社は「個人の査定権、人事権、仕事の能率が個々にどうだったかは企業として厳正にやるし、企業側のひとつの経営権のなかにある」、「考課の基準、方法等は人事権の問題であり、会社で決定したい。」旨の発言以外に、会社が端的に考課基準の詳細は人事権・経営権の問題であるから開示を差し控えたいと述べたことはないので主張の前提を欠き失当であるとして、斥けた例。

5008 その他
本件救済命令が、支給基準等の説明の欠如を不当労働行為と認定したことは、結果的に企業活動のすべてを労働組合に開示する義務を課すものであり、人事権・経営権の範疇にある考課基準・方法の開示を会社に一方的に押しつけるもので、不当労働行為救済命令の予定する救済の範囲を超えるとの会社主張について、考課は客観的基準及び資料に基づいて適性に行われなければならず、被考課者の信頼を得る努力も必要であること、人事権・経営権の範囲自体が明確性を欠くこと等に照らせば、団交で、考課基準・方法が人事権・経営権の範疇にあることを理由に、団交で組合が説明を求めても開示しなくてよいとの結論を導き出すことは相当でないとして、斥けた例。

業種・規模  運輸に附帯するサービス業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集34集159頁 
評釈等情報  中央労働時報 1999年5月10日 953号 66頁 

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