労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  駸々堂 
事件番号  大阪高裁平成10年(行コ)第72号 
控訴人  関西単一労働組合 
被控訴人  大阪府地方労働委員会 
被控訴人参加人  株式会社駸々堂 
判決年月日  平成11年 9月22日 
判決区分  控訴の棄却 
重要度   
事件概要  本件は、時間内組合活動による賃金カット、団交拒否及び業務妨害に関する謝罪問題が争われた事件で、大阪地労委の棄却命令(8・6・27決定)を大阪地裁が支持した(10・10・26判決)ため、これを不服として組合は控訴したが、大阪高裁は控訴を棄却した。 
判決主文  本件控訴をいずれも棄却する。 
判決の要旨  5121 挙証・採証
労委は不当労働行為事件の解決に当たり、労使紛争の全体を考慮すべく釈明権を行使して、申立組合に別事件の資料等の提出を促す義務があり、本件はこれを怠ったとの組合主張について、本件全証拠を精査しても、労委が立証を促すほど組合の立証活動が不十分とは認められず、他事件の資料が本件の解決に不可欠とも認められないとして斥けた原判決が維持された例。

5123 審査中の組合脱退・退職等の取扱い
組合が、組合員の雇用契約上の権利利益の回復を求めて不当労働行為救済申立てを行った場合には、当該組合員が脱退した場合にも組合には右救済を求める固有の権利があるから右部分は申立対象から除外されないが、当該組合員が積極的に救済を求めない意思を表示し又は組合の申立てを通じて回復を図る意思がないことを表明したときは、組合はその意思に反して組合員の権利利益の回復を求めることはできないとした原判決が維持された例。

5124 その他の審査手続
労委が右文書の存在を告知しなかったことにより、組合は実効確保の措置勧告申立てや新たな救済申立ての機会を奪われたとの組合主張について、かかる事実上の機会が奪われたとしても本件命令が違法となるものではなく、本件では労委は組合に告知しており、申立ての機会は十分にあったとして斥けた原判決が維持された例。

2305 労働協約との関係
書店労組の労働協約の効力が、後に旧組合と組織統一した連帯労組にも当然に及ぶとの組合主張について、連帯労組の結成は、書店労組の執行部及びその支持派が闘争方針を否決されたことにより、一部組合員が書店労組を脱退して新たな労組を結成したものであるから、法的概念における労組の分裂とはいえず、また、会社が書店労組との労働協約を連帯労組に適用する意思を有していないので余後効を認める余地はないとして、上記組合の主張を斥けた原判決が維持された例。

3103 労働協約締結をめぐる行為
後に旧組合と組織統一した連帯労組に時間内組合活動を認めないことが、中立保持義務違反の組合間差別であるとの組合主張について、使用者は組合に就業時間内の有給の組合活動休暇を認める義務はなく、労組法上許容される範囲内の便宜供与として認めるに過ぎず、全ての労組に当然に同一取扱いをしなければならないものではなくて支配介入や不利益取扱いに該当する場合のみ不当労働行為となるのであり、会社が時間内組合活動を認めなかったのは、連帯労組が業務妨害行為を伴う違法な組合活動を繰り返したので労働協約が締結されなかったことによるのであるから、不当労働行為ではないとして、上記組合の主張を斥けた原判決が維持された例。

2234 団交の場以外での違法・不当行為
会社が、時間内組合活動休暇に関する団交に入る前提として、後に組織統一した連帯労組及び旧組合に業務妨害等の3点について謝罪を求めたことについて、連帯労組等が独自の見解に基づき、就業時間内に時間内組合活動休暇と称して一方的に職場離脱し、業務妨害行為を伴う違法な組合活動を繰り返していた事実から、会社が便宜供与たる性格を有する同休暇の協議を行う前提として謝罪を求め、謝罪がない限り協議に応じないとしたことは不当とはいえず、また、会社は団交そのものを拒否しておらず、他の議題については謝罪先議を持ち出すことなく応じていることから誠実団交義務に反せず、不当労働行為には該当しないとした原判決が維持された例。

5008 その他
自己の分の救済は求めない旨文書提出した組合員4名の賃金カットの権利利益部分を地労委が判断の対象から除外したことが違法との組合主張について、(a)命令書には除外する旨の記載はなく、全員について判断しており、(b)本件争点は、賃金カットされた個人事情ではなく、組合及び旧組合と会社との関係であり、(c)除外する旨の審査委員発言は、労委規則に基づき公益委員会議の合議を経た正式決定でなく、審問期日外の口頭の事実上の見解表明であり、(d)その後も審問続行し、本件文書及び右発言につき組合にも十分主張・立証の機会が保障され、命令内容に影響を与えたとは言えず、(e)地労委の4名への直接意思確認も、組合運営侵害及び労委の裁量権逸脱とは言えないから、違法ではないとして斥けた例。

5121 挙証・採証
労委が、賃金カットの範囲及び計算根拠について会社に求釈明しなかったこと及び本件命令で判断しなかったことは、組合が、賃金カットの範囲及び計算が不当であることが不当労働行為の根拠の一つである旨を、労委の審査及び取消訴訟の審理で具体的根拠を示して明確に主張・立証していないことから、違法であるとはいえないとされた例。

2234 団交の場以外での違法・不当行為
会社が団交の前提とした業務妨害等の3点先議について、3点に組合の責任があるとしても、団交を拒否し続ける正当な理由とはならない旨の組合主張について、(a)3点の事件以降も正当な組合活動の範囲を逸脱する業務妨害等の事実が認められ、(b)団交事項が時間内組合活動休暇に関するものであったことから、団交の正常な進行が期待できない状況が継続していると評価でき、正当な理由があるとして斥けた例。

業種・規模  卸売業、小売業、飲食店 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集34集303頁 
評釈等情報  中央労働時報 2000年1月10日 961号 59頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
大阪地裁平成 8年(行ウ)第134号 請求の棄却  平成10年10月26日 判決