労働委員会関係裁判例データベース

[判例一覧に戻る]
概要情報
事件名  渡島信用金庫 
事件番号  札幌地裁平成11年(行ウ)第17号 
原告  渡島信用金庫 
被告  北海道地方労働委員会 
被告参加人  渡島信用金庫労働組合 
判決年月日  平成13年 2月22日 
判決区分  請求の棄却 
重要度   
事件概要  本件は、金庫が、(1)組合員を呼び出し、組合加入の動機とその経緯を聴取したこと、(2)組合委員長に対し、組合活動を非難したり、退職を強要したこと、(3)執行委員長及び副執行委員長に対して組合活動を妨害する発言をしたこと、(4)副執行委員長を降格させ、賃金を減額したこと、(5)就業規則の改定において、誠実に団体交渉を行わず、一方的に変更したこと、(6)副執行委員長に対し懲戒解雇処分を行ったことが争われた事件である。
 北海道地労委(平成9(不)4、平成11年8月26日決定)は、申立てを全部救済したところ、金庫は、これを不服として行政訴訟を提起した。
 札幌地裁は、金庫の請求を棄却して、地労委の全部救済命令を支持した。 
判決主文  1 第一審原告の控訴を棄却する。
2 第一審被告補助参加人の控訴に基づき、原判決主文第1、2項を次のとおり変更する。
 1 第一審被告が中労委平成元年(不再)第98号事件(初審静岡地労委昭和60年(不)第2号事件及び昭和62年(不)第三号事件)について平成9年2月5日付けで発した命令主文のうち、静岡県地方労働委員会が第一審原告に対し第一審被告補助参加人の組合員X1について金4万2000円及びこれに対する昭和61年4月26日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払いを命じた部分及びX2について金2万 
判決の要旨  2611 その他の従業員の言動
組合員に対して金庫の理事長が行った事情聴取での発言内容や対応は、組合員にとって、組合に加入したことを非難し、圧力をかけるものとして受け止められたことは容易に想像でき、事情聴取後、組合員が組合を脱退し、次いで、他の職員が組合を脱退したことは、事情聴取と関係がなかったとは考えられず、組合に加入したことを牽制し、脱退を促す結果をもたらしており、組合運営に対する支配介入であり、不当労働行為に当たるとされた例。

2611 その他の従業員の言動
理事長及び常務らによる団体交渉での組合書記長に対する発言は、団体交渉における金庫と組合との間のやりとりでの発言であることを考慮しても、組合書記長が勤務時間中に組合への加入を勧誘した行為が就業規則に反することを指摘し、非難したというにとどまらず、組合を嫌悪し、組合書記長の勧誘行為を非難するものであり、しかも、その発言には不隠当、威嚇的な表現が含まれていることから、組合活動を妨害する支配介入であり、不当労働行為に当たるとされた例。

2620 反組合的言動
理事長を含む金庫の幹部らが、組合書記長に対し、勤務時間中の組合活動や融資手続の過誤を非難し、退職願いを提出させたことは、理事長らが組合を嫌悪していたこと、組合書記長の業務上の過誤は金庫に損害を与えるものではなかったことも併せると、金庫は、組合書記長に対して業務上の過誤について注意や指導をするものではなく、本人が組合書記長であり、同人が職員に対して組合加入勧誘行為をしたために、退職を強要するような言動をしたと断定せざるをえず、金庫の言動は、組合運営に対する支配介入であり、不当労働行為に当たるとされた例。

2620 反組合的言動
執行委員長及び副執行委員長に対する金庫の言動は、同人らが金庫の経営に支障を来たす行為をしたり、就業規則に違反する行為をしたことに対して非難、注意をしたというのではなく、同人らの組合活動を嫌悪するゆえに非難したといえ、懲戒解雇にできる等の不隠当で威嚇的な表現が含まれていることを併せると、組合の活動を妨害するものであって、組合の運営に対する支配介入であると認められ、不当労働行為が成立するとされた例。

2240 説明・説得の程度
金庫は、就業規則の改正にあたり、組合との団体交渉に誠実に対応せず、組合を無視ないし軽視し、組合が意見を述べる機会を設けなかったものであるから、団体交渉をすることを正当な理由がなく拒むとともに、組合の運営に対して支配介入をしたと認められ、不当労働行為が成立するとされた例。

1200 降格・不昇格
金庫の副執行委員長に対する降格処分は、十分な調査や査定がされた上のものでなく、本件救済命令申立ての直後にされたものであること、理事長が組合員の組合活動を嫌悪していることも併せて考えると、副執行委員長であったことから、同人に対して経済的に不利益な取扱いをし、また、これにより組合の運営に対する支配介入をしたと認められ、不当労働行為に当るとされた例。

4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
地労委が、救済措置として原職への復帰と、資格変更がなければ得られたであろう賃金相当額を支払うよう命じたことは、金庫の不当労働行為による被害の救済として相当かつ合理的なものであり、裁量権の逸脱は認められないとされた例。

0500 勤務成績不良
副執行委員長は、本件過剰金の発生を収入役に相談し、収入役とともに預け主を捜し、預け主が分からないことを確認した後は、支店長に報告して本件過剰金を引き渡しており、不正領得する意図は全くなかったことは明白であり、このことは金庫の理事長らを役職員も認識していたと推認されることから、懲戒解雇処分に付することは重きに過ぎ、通常では考えられないし、金庫が組合員の組合活動を嫌悪していたこと、本件懲戒処分に至るまでも、金庫は組合員に対して組合員であるが故に不当な発言や降格処分を行ったことを併せ考えると、本件懲戒解雇は、組合員の非違行為に対して行われたというより、副執行委員長であるが故に行われたと判断せざるを得ず、同人に対する不利益取扱いであり、組合に対する支配介入であると認められ、不当労働行為に当たるとされた例。

4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
地労委が、救済措置として、懲戒解雇処分を取消し、懲戒解雇処分がなければ得られたであろう賃金相当額を支払うよう命じたことは、金庫の不当労働行為による被害の救済として相当かつ合理的なものであり、裁量権の逸脱に当たらないとされた例。

業種・規模  金融業、保険業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集36集73頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]