労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  青山会 
事件番号  東京高裁平成13年(行コ)第137号 
控訴人  医療法人財団青山会 
被控訴人  中央労働委員会 
被控訴人参加人  上秦野病院労働組合 
判決年月日  平成14年 2月27日 
判決区分  控訴の棄却 
重要度   
事件概要  医療法人社団Nが病院を閉鎖し、医療法人青山会に経営を譲渡した際、青山会が医療法人社団Nに勤務していた組合員2名を採用しなかったことが不当労働行為にあたるという申立てにより神奈川地労委が発した救済命令に対し、青山会は再審査を申し立てたが、中労委はこれを棄却した。青山会は東京地裁に行政訴訟を申し立てたが、同地裁は申立てを棄却したため、これを不服とした青山会は東京高裁に控訴したところ、同高裁は控訴を棄却した。 
判決主文  1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。 
判決の要旨  1900 営業譲渡・合併
医療法人社団Nと医療法人Sとの間で締結された本件契約では、医療社団法人Nはその職員に対して解雇予告を行うとともに、その職員を医療法人Sが雇用するか否かは医療法人Sの専権事項であるとされ、また医療社団法人Nは平成6年12月31日までに生じた組合員についての医療法人Nの債務を自己の責任で清算するとされていたのであるから、本件契約においては、医療法人Sは医療法人社団Nの職員の雇用契約上の地位を継承しないとの合意があったものというべきである。そして、営業譲渡の場合、譲渡人と被用者との間の雇用関係を譲渡人が承継するかどうかは、原則として、当事者の合意により自由に定めうるものと解される。\r\n\r\n しかしながら、契約自由の原則とはいえ、当該契約の内容が我が国の法秩序に照らして許容されないことがあるのは当然である。そこで医療法人Sによる職員の採用の実態をみると、本件譲渡では、医療法人Sは職員の雇用契約上の地位を継承しないとしていたにもかかわらず、医療法人Sは、医療法人社団Nの職員、特に数も多数を占め、実際に患者の看護に当たっていた看護科の職員については、組合員2名を除いて、採用を希望する者全員について採用面接をし、採用を希望し、賃金等の条件面の折り合いが付いた者全員を採用しているのであって、実質的には雇用者と被用者との雇用関係も承継したに等しいものとなっている。

1500 不採用
1900 営業譲渡・合併
医療法人Sによる職員の採用の実態は、新規採用というよりも、雇用関係の承継に等しいものであり、労働組合法七条一項本文前段が雇入れについて適用があるか否かについて論ずるまでもなく、本件不採用については同規定の適用があるものと解すべきである。本件譲渡契約においては、医療法人は職員の雇用の契約上の地位を継承せず、職員を雇用するか否かは医療法人の専権事項とする旨が合意されているが、採用の実態にかんがみれば、この合意は組合並びに組合員を嫌悪した結果これを排除をすることを主たる目的としていたものと推認されるのであり、かかる目的をもってされた合意は、労組法の適用を免れるための脱法の手段としてされたものとみるのが相当である。したがって医療法人Sは上記のような合意があることをもって労組法七条一号前段の適用を免れることはできず、組合員2名に対して不採用に及んだのは、職員の採用の実態に照らすと、同人らをその従来からの組合活動を嫌悪して解雇したに等しいものというべきであり、本件不採用は労働組合法七条一号本文前段の不利益取扱に該当するものといわざるを得ない。

業種・規模  医療業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集37集135頁 
評釈等情報  労働判例 824号 17頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
神奈川地労委平成 7年(不)第3号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成 8年 7月31日 決定 
中労委平成 8年(不再)第28号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  平成11年 2月19日 決定 
東京地裁平成11年(行ウ)第76号 請求の棄却  平成13年 4月12日 判決 
最高裁平成14年(行ツ)第108号
最高裁平成14年(行ヒ)第133号
上告棄却・上告不受理  平成16年 2月10日 判決 
 
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