労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  東日本旅客鉄道外2社(神奈川不採用外) 
事件番号  東京高裁平成10年(行コ)第115号 
控訴人  中央労働委員会 
控訴人参加人  個人6名 
控訴人参加人  国鉄労働組合外6者 
被控訴人  東海旅客鉄道株式会社 
被控訴人  東日本旅客鉄道株式会社 
被控訴人  日本貨物鉄道株式会社 
判決年月日  平成12年11月 8日 
判決区分  控訴棄却・控訴却下 
重要度   
事件概要  1 被控訴人東日本、被控訴人東海及び被控訴人日本貨物は、日本国有鉄道改革法(改革法)等に基づき、昭和62年4月1日、国鉄の旅客鉄道事業又は貨物鉄道事業を承継する会社として設立された株式会社である。
 被控訴人らが設立された際、被控訴人らの設立委員によって、国鉄の職員の中から被控訴人らの職員の採用が行われたが、採用希望の国鉄職員のうち、国労所属の一部の組合員らが、「昭和58年4月1日以降に停職6か月以上の処分又は2回以上の停職処分を受けていないこと」という国鉄の採用候補者選定における運用基準に該当しないとして、改革二三条二項所定の採用候補者名簿に登載されず、被控訴人らに採用されなかったため、不採用とされた組合員らが所属する組合である国労及びその傘下の組合が、管轄の各地方労働委員会に対しそれぞれ救済申立てをしたところ、当該各地方労働委員会は、各申立を大筋で認容する旨の本件各初審命令をそれぞれ発した。
2 被控訴人らは、本件各初審命令に対し、中労委に再審査申立てをしたが、中労委は、右職員の採用手続の一部を行った国鉄が被控訴人らの設立委員の補助機関に当たることを前提として、「国鉄による採用候補者の選定及びその名簿の作成の過程において、労働組合の所属等による差別的取扱いと目される行為があり、設立委員が採用候補者名簿に基づき採用予定者を決定して採用を通知した結果、それが不当労働行為に該当すると判断される場合、その責任は設立委員、ひいては被控訴人らに帰属させることが法の趣旨に沿う」旨解した上、国鉄が、国労組合員である本件救済対象者を採用候補者名簿に登載せず、その結果、設立委員が被控訴人らの職員として採用しなかったことは、労組法七条一号及び同条三号の不当労働行為に当たると判断するのが相当であり、かかる場合の救済措置として、労働委員会が被控訴人らにこれらの者の採用を命じることには何ら問題はない旨判断し、大筋として再審査申立てを棄却する旨の本件各命令をそれぞれ発したので、被控訴人らが、本件各命令のうち、本件救済対象者について再審査申立てを棄却した部分の取消しを求めて、本件各訴訟を提起したところ、原審が、被控訴人らの請求をいずれも認容して、本件各命令を取り消したので、中労委が控訴をしたが、東京高裁は、控訴を棄却した。 
判決主文  1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は、控訴人の負担とし、当審における補助参加によって生じた費用は、補助参加人らの負担とする。 
判決の要旨  1500 不採用
国鉄改革の経緯、国鉄改革関連八法等の概要に照らせば、従来の国鉄と国鉄職員との労働契約関係を承継法人に承継させることなく、承継法人に採用されなかった国鉄職員との労働契約関係については、清算事業団との間でそのまま存続されることとしたと解されること、国鉄改革関連八法案中には、設立委員及び国鉄が相互に相手の権限の行使を規制し又は指揮監督する旨の規定が存在しないから、承継法人の職員の新規採用に関する権限のうち採用候補者名簿の作成等は、専ら国鉄の権限と責任に委ねられたものであること、設立委員は、改革法によって、承継法人の職員の採用手続において、新規に採用する職員の募集を国鉄を通じて提示し、国鉄から提出された名簿に記載された者の中から採用者を決定する権限を有するに過ぎないことから、設立委員は、採用候補者名簿の作成等に関し、「雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位」にあったと解することはできず、本件救済対象者との関係で設立委員ひいては会社らが「使用者」に該当するとはいえず、国鉄の行った採用候補者名簿の作成等の過程に不当労働行為に該当する行為があったとしても、その行為に関する「使用者」としての責任は、現実にその行為を行った国鉄ないしこれを引き継いだ清算事業団が負うべきものであって、設立委員ひいては会社らがその責任を負うものと解すことはできないとされた例。

1500 不採用
4911 解散事業における使用者
承継法人の職員採用手続のうち、採用候補者名簿の作成等は、改革法二三条の規定により、国鉄の専権とされ、専ら国鉄によって行われたものであり、国鉄は、設立委員の補助機関として採用候補者名簿の作成等を分担したものではないこと、設立委員は、自ら採用候補者名簿の作成等の行為をできないのみならず、国鉄が行う採用候補者名簿の作成等の行為を規制し又は指揮監督し得る権限も存在しなかったことからすれば、採用候補者名簿の作成等に関し、「雇用者と・・・同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定できる地位」にあったのは、設立委員ではなく国鉄であると言わざるを得ないとされた例。

4911 解散事業における使用者
当該国鉄職員が希望先の承継法人に必ず採用されるとの制度的保障はなかったこと、本件救済対象者は、いずれも採用候補者名簿に登載されておらず、設立委員が、本件救済対象者を会社らの職員として採用する余地はなかったことなどを事実を考慮すると、設立委員ないし会社らが、「近い将来において労働契約を締結する可能性がある者」として「使用者」に当たると解することはできないとされた例。

4911 解散事業における使用者
改革法は、採用候補者選定のための資料を有し、その事情を把握している国鉄において採用候補者名簿の作成等を行うことが適切であるという理由から、作成候補者名簿の作成等を国鉄の専権にして設立委員の関与を認めず、国鉄の不当労働行為による責任は、その行為の主体たる国鉄ないし清算事業団に負わせることとしたのであって、不当労働行為制度を排除したものではなく、憲法二八条、労組法七条に違反するものではないとされた例。

4911 解散事業における使用者
改革法二三条は、承継法人の職員に関する最終的な権限と責任は設立委員に委ねたが、採用候補者名簿の作成等については国鉄の権限としたものであり、同条を含めて国鉄改革関連八法案中には、設立委員が、国鉄の権限の行使を規制し又は指揮監督し得る規定は存在しないから、採用候補者名簿の作成等は、改革法二三条による、専ら国鉄の権限と責任に委ねられたものであるといわざるを得ず、設立委員が承継法人の職員の採用に関する最終的な権限と責任を有するからとって、国鉄が設立委員の権限に属する採用候補者名簿の作成等の行為を補助ないし代行しているものと解することはできないとされた例。

4911 解散事業における使用者
改革法は、国鉄の権利義務のすべてではなく、実施計画(承継計画)に定めるところに従い、旅客鉄道事業及び貨物鉄道事業に必要な権利義務等を個々に限定して、これを引き継がせるものとしたところであり、国鉄の権利義務をそのまま承継法人に引き継がせたものでないことが認められること、国鉄が承継法人に事業を引き継いだときは、国鉄を清算事業団に移行させる旨規定していること、承継法人が、国鉄を通じて、国鉄の権利義務のみならず日本鉄道建設公団の資産、債務の一部をも承継する旨規定していることを考慮すると、改革法は、国鉄については清算事業団がその同一性を維持しつつ承継することとしたものであると認められるから、国鉄と会社との間に実質的同一性があるとは認められないとされた例。

8400 その他の小分類に属さない裁判
理由の変更が不意打ちに当たり相手方の防御の機会を奪うことになるなどの特段の事情がない限り、その取消訴訟において、処分の同一性を害さない範囲で救済命令の理由を変更することは許されるものと解するのが相当であるとされた例。

6160 訴訟参加
中労委は、平成11年3月15日の当審第2回口頭弁論期日において、従前の黄犬契約の主張を撤回したことから、補助参加人である組合らの黄犬契約を理由とする不当労働行為の主張をすることは、控訴人である中労委の明示の意思に反するからできないというべきであるとされた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集35集661頁 
評釈等情報  中央労働時報 2000年12月10日 975号 28頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
神奈川地労委昭和62年(不)第22号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和63年12月16日 
東京地労委 昭和62年(不)第12号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成 1年 8月 1日  
福島地労委 昭和62年(不)第7号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)   平成 1年10月24日 
静岡地労委 昭和62年(不)第1号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成 1年12月27日 
宮城地労委 昭和62年(不)第4号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)   平成 2年 2月28日 
中労委昭和63年(不再)第68号
中労委昭和63年(不再)第69号
全部変更(初審命令を全部取消し)  平成 7年10月 4日 
中労委 平成 1年(不再)第91号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 8年 1月10日 
中労委 平成 2年(不再)第29号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 8年 3月 6日 
中労委 平成 1年(不再)第112号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 8年 5月 8日 
中労委 平成 2年(不再)第2号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 8年 5月 8日 
東京地裁平成 8年(行ウ)第38号 救済命令の全部取消し  平成10年 5月28日 
東京地裁平成 8年(行ウ)第122号 救済命令の全部取消し  平成10年 5月28日 
東京地裁平成 8年(行ウ)第124号 救済命令の全部取消し  平成10年 5月28日 
東京地裁平成 8年(行ウ)第65号 救済命令の全部取消し  平成10年 5月28日 
東京地裁平成 7年(行ウ)第303号 救済命令の全部取消し  平成10年 5月28日 
最高裁平成13年(行ニ)第5号・第6号 参加申立ての却下  平成14年 9月26日 
最高裁平成13年(行ツ)第59号 上告の棄却  平成15年12月15日 
最高裁平成13年(行ヒ)第56号(上告受理) 上告受理  平成15年12月15日 
最高裁平成13年(行ヒ)第56号(上告棄却) 上告の棄却  平成15年12月22日 
 
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