労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  ネスレ日本(賞与) 
事件番号  東京地裁平成11年(行ク)第36号 
申立人  中央労働委員会 
被申立人  ネスレ日本株式会社 
判決年月日  平成12年12月20日 
判決区分  全部認容 
重要度   
事件概要  本件は、ネッスル日本労働組合(以下「組合」)と、組合と同名の訴外別組合とが併存していた状況下で、組合の存在を否定する会社が、組合の組合員は別組合の組合員であるとして、昭和62年夏季賞与及び冬季賞与並びに同63年夏季賞与(以下一括して「本件各賞与」)の支給に当たって別組合と新たに締結した各賞与協定(以下一括して「本件各賞与協定」)の新控除基準を適用することにより、組合の組合員の本件各賞与を大幅に減額して支給したことが争われた事件である。
 初審兵庫地労委(平3・3・14命令)は、右の会社の行為は不当労働行為に当たるとして、(1)本件各賞与の年間支給月数を本件各賞与協定の6・2か月とし、これから本件各賞与協定締結前の控除基準(以下「旧控除基準」)に準じて控除した場合の額と既支給済額との差額を支給すること及び(2)誓約書の交付を命じた。会社の再審査申立に対し中労委(平10・10・14命令)は、初審判断を相当であるとして再審査の申立を棄却した。会社はこれを不服として訴えを提起した。中労委が緊急命令の申立てを行ったところ、東京地裁はこれを認容した。 
判決主文  1 被申立人は、被申立人を原告とし、申立人を被告とする当庁平成14年(行ウ)第68号救済命令取消請求事件の判決確定に至るまで、申立人が中労委平成12年(不再)第40号事件について発した命令によって維持するものとした、兵庫県地労委平成11年(不)第5号事件について兵庫県地方労働委員会がした平成12年6月20日付け命令の主文第1項に従わなければならない。
2 申立費用は、補助参加によって生じたものも含め、被申立人の負担とする。 
判決の要旨  2900 非組合員の優遇
 申立外組合の組合員は、新控除基準の適用により、別組合の組合員に比べて、賞与からの控除額が大きくなり、それにより著しい不利益を被ることからすれば、会社が申立外組合の各組合員に対し新控除基準を適用することは、不利益取扱いであると同時に申立外組合の各組合員に経済的打撃を与えることを通じて申立外組合の組織の弱体化を意図する支配介入であるから、中労委の判断は是認できるとされた例。

6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
 本件命令が、救済方法として旧控除基準を適用し、支給月数を賞与協定の6・2月としたことについては、被申立人が別組合との間で合意した賞与の支給月数、支給基準(旧控除基準)を数年にわたり申立外組合の各組合員にも適用して支給されており、申立外組合も格別異議を述べていないことから、その控除基準が旧控除基準であることを事実上期待しても、不当でないこと、賞与の支給月数に関して、本件命令が差額支払いを命じた額は、被申立人が無断欠勤、無断職場離脱として取り扱った事例につき、旧控除基準に準拠しつつ、申立外組合の組合員に不利な新控除基準の控除率で計算しており、申立外組合の組合員に対し6ヵ月しか支給しないとするのは、原状回復としては不十分であること、被申立人が無断職場離脱、無断欠勤とした取扱いには問題のあるものも含まれていることを併せ考えると、本件命令における救済方法が、不当労働行為の是正のために申立人に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又は濫用した違法なものといえないとされた例。

7317 全部認容された例
 申立外組合の各組合員に新控除基準を適用して賞与を支給したことは、既に10年以上を経過していることなどから、申立外組合の組織及び活動に著しい損害を及ぼしていることが認められ、被申立人は本件命令が発せられた後も、これを履行せず、さらに本件命令に従う意思はないことを明らかにしていることが一応認められるから、緊急命令の必要性を肯定できるとされた例。

業種・規模  食料品製造業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集35集1071頁 
評釈等情報   

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
兵庫地労委昭和63年(不)第6号/他 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成 3年 3月 8日 決定 
兵庫地労委昭和63年(不)第10号/他 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成 3年 3月 8日 決定 
兵庫地労委平成 1年(不)第6号/他 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成 3年 3月 8日 決定 
中労委平成 3年(不再)第21号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  平成10年 9月16日 決定 
東京地裁平成10年(行ウ)第221号 請求の棄却  平成12年12月20日 判決