労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  辰巳自動車教習所 
事件番号  東京高裁平成15年(行コ)第110号 
控訴人  株式会社辰巳自動車教習所 
被控訴人  中央労働委員会 
被控訴人参加人  全労連・全国一般労働組合千葉地方本部辰巳自動車教習所分会 
判決年月日  平成15年 9月18日 
判決区分  控訴の棄却 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)組合員に対し組合からの脱退を勧奨したこと、(2)組合からの申入れに基づく団体交渉を拒否したことがそれぞれ不当労働行為に当たるとして争われた事件である。
 千葉地労委は、会社に対し、(1)脱退勧奨の禁止、(2)誠実な団体交渉応諾、(3)文書手交及び文書掲示を命じ、その余の申立てを棄却し、中労委は、団体交渉応諾を命じた部分を取り消す等初審命令の一部を変更し、その余の再審査申立てを棄却した。
 会社はこれを不服として東京地裁に行政訴訟を提起し、同地裁は会社の請求を棄却したところ、会社はこれを不服として東京高裁に控訴を提起したが、同高裁は、会社の控訴を棄却した。 
判決主文  1 控訴人会社の控訴に基づき、原判決主文2(2)及び同2(3)のうち控訴人会社の敗訴部分を 次のとおり変更する。
  (1)控訴人X1ら19名の第44号事件についての訴えのうち、被控訴人に対し、「被控訴人が   中労委平成8年(不再)第6号事件及び同第7号事件について平成10年1月21日付で発し   た命令の主文第1項中(控訴人会社に対し、控訴人X2に対する昭和58年4月1日付神戸   支店への配転命令がなかったものとして取り扱い、同人を大阪支店の原職又は原職相当   職に復帰させることを命じた部分)」 
判決の要旨  5130 法2条但書との関係
本件団体交渉申入れがなされた当時、X6は次長代理、X7は技能検定課長の職にあったが、人事に関する直接的権限を付与されておらず、また、経営面でも、課長会議は、Y1部長が経営上の方針に関する決定事項を指示、伝達する場であると同時に、自動車教習所の管理上の問題を協議する場にとどまっていたことが認められ、経営上の判断を行うための会議であったとは認められないことから、X6及びX7が労働組合法第2条但書1号に規定する監督的地位にある労働者又は使用者の利益を代表する者に該当するということはできないとした原判決は相当である。

5130 法2条但書との関係
技能指導課長であったX3及びX7並びに学課指導課長X8は、本件団交申入れ当時組合員であったが、同人らは、人事考課を行っていたのであるから、ある程度の監督的権限があったとはいえるものの、その人事考課の役割は、次長以上の職にある者が最終的に決定する人事考課の判断資料を収集し提供することに止まっていたものであり、技能指導課長も一般の指導員と同様の業務に従事しており、残業手当も支給されていたことを総合勘案すれば、利益代表者には該当しないといわなければならないし、学課指導課長であるKについては、人事上の権限を有していたと認められないし、技能指導課長による人事考課を受けていたことや残業手当を支給されていたことを勘案すれば、同人も利益代表者に当たらない。

2113 交渉団体として不適格
本件団体交渉申入れに対し、教習所が次長代理や課長が組合に加入していることを理由に挙げ、団体交渉に応じないでいたことが認められるところ、上記のとおり、教習所の次長代理及び課長は利益代表者に該当しないことから、教習所は、正当な理由なく本件団体交渉申入れを拒否したものであるとした原判決は相当である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
Y1部長が、X6及びX7らを役員室に呼び、「次長代理及び課長が組合に加入しているが、これら管理職にあたる者が組合に加入していては、会社の経営上支障があるため、組合を脱退して欲しい。」との発言は、組合役員だった同人らに対し、次長代理及び課長が組合に加入していると会社の経営上支障があるとして、同人らを含めこれらの職にある者に組合から脱退するよう要請する内容のものであり、上記のとおり次長代理及び課長の職にある者が教習所の利益代表者に該当しないことから、教習所の取締役たる地位にあるY1部長の発言は、労働者による労働組合の結成・運営を支配もしくは介入するものであるといわざるを得ず、また、同発言は、労働組合に対する嫌悪の情により発せられたもので労働組合法第7条第3号の不当労働行為に当たるとした原判決は相当である。

4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
会社による組合からの本件団交申入れの拒否及び脱退勧奨を内容とするY1部長発言は不当労働行為というべきで、救済を図る必要があるところ、会社は、組合からの団体交渉の申入れがあれば、これを受け入れて誠実に実施する意思を表明していることが認められるが、その一方で、Y1部長発言は、本件の不当労働行為を争い、身に覚えのない不当労働行為を認めて謝罪することはできないとの意思を有しているとともに、会社側には、会社と組合の労使関係が過去も現在も正常化にはほど遠い状態にあるとの認識があることが認められ、救済命令制度の目的、趣旨の実現のために本件命令を発する合理性が認められるのであって、組合員数が少ないとか、会社は多数派組合と団体協約を締結して団体交渉を行ってきており、多数派組合の組合員が労使協調的で会社に対する対立意識がないという事情は、本件命令を違法とする理由にはならない。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献   
評釈等情報  中央労働時報 2004年2月10日 1022号 50頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
中労委平成11年(不再)第36号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成14年 2月 6日 決定 
東京地裁平成14年(行ウ)第137号 請求の棄却  平成15年 2月 5日 判決