労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  日本アイビーエム 
事件番号  東京地裁平成13年(行ウ)第229号 
原告  全日本金属情報機器労働組合 
原告  全日本金属情報機器労働組合東京地方本部 
原告  全日本金属情報機器労働組合日本アイビーエム支部 
被告  東京地方労働委員会 
被告参加人  日本アイビーエム株式会社 
判決年月日  平成15年10月 1日 
判決区分  救済申立棄却命令の全部取消し 
重要度   
事件概要  本件は、会社がX1、X2及びX3が組合支部に加入したのに対し、同人らの組合資格を認めず、(1)支部が申請したX1らの組合費のチェック・オフを拒否したこと、(2)X1の分会執行委員就任の撤回と役員名簿の訂正を求めたこと、(3)X2に対し「上級管理職としての職務と責任に反するような活動を行った場合は相応の処分を行う。」と通告したこと及びX3に対し「ストに参加すると処分の対象となりうる。」と口頭で通告してことが不当労働行為に当たると争われた事件である。
 東京地労委は上記行為はいずれも不当労働行為には当たらないとし救済申立てを棄却したところ、これを不服として組合らが行政訴訟を提起し、東京地裁は、これを取り消した。 
判決主文  1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が中労委平成7年(不再)第47号事件につき平成13年12月13日付でした命令の うち、主文第1項及び第2項を取り消す。
3 訴訟費用は、第1、2審とも、補助参加によって生じた費用は補助参加人の負担とし、そ の余は被控訴人の負担とする。 
判決の要旨  5130 法2条但書との関係
スタッフ専門職である組合員3名の利益代表者性について、組合員3名は業務上、一定の人事情報等に接することはあるものの、従業員の雇入解雇昇進等に関して直接の権限をもつ監督的地位にある労働者に該当するとはいえない等、いずれも労働組合法第2条但書1号の利益代表者には該当しないとされた例。

5130 法2条但書との関係
どのような労働者を組合員とするかは、本来労働組合が自主的に決定すべき事項であるから、労働組合法第2条ただし書1号の利益代表者に該当しない労働者について、使用者と労働組合が労働協約により非組合員と定めたとしても、それは組合の自治の問題として当然に許容され、そのような労働協約が締結された以上は、労使双方の合意として効力を有するが、これを限定することについて使用者に固有の利益があると認められるべきではないから、組合員の範囲を限定する労働協約の効力も、そのような見地から理解すべきであるとされた例。

2249 その他使用者の態度
2250 未妥結・打切り・決裂
2305 労働協約との関係
本件確認書のように一つの労働協約において複数の事項が協定されている場合、各合意事項は相互に関連を有し、労働協約全体が一体をなすものとして成立するのが通例であるから、一方当事者が自己に不利な一部の条項のみを取り出して解約することは原則として許されないと解すべきであるが、その条項が労働協約の中で独立性を有する一部であって、契約締結後の予期せぬ事情変更によりその条項を維持することができなくなり、又はこれを維持させることが客観的に著しく妥当性を欠き、その合意解約のための十分な交渉を経たが相手方の同意が得られず、しかも協約全体の解約よりも労使関係上穏当な手段であるというような場合には、例外的に協約の一部の解約が許されるものとするのが相当であるとされた例。

2249 その他使用者の態度
2305 労働協約との関係
組合員の範囲を限定する本件条項を含む本件確認書の協定により、労使関係の安定という労使双方の意図は約10年にわたって一応実現されたと考えられること等を勘案すれば、本件確認書締結後、10年を経過してもなお、支部が本件条項に拘束されるとするのは、労働組合法の趣旨に反し、著しく妥当性を欠き、さらに、本件一部解約に至る経緯をみると、支部の見直し協議の申し入れに対し、会社は、一貫して見直しはあり得ないとの態度を取っており、実質的な協議に応じないため、支部は、やむなく本件一部解約の予告に至ったと認められ、また、本件条項のみを白紙に戻す一部解約が協約全体の解約より穏当な手段といえることからすると、本件条項は有効に解約されたというべきであるとされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3800 行為の結果・その他
労働組合法第7条3号にいう支配介入の不当労働行為が成立するためには、使用者側に主観的要件すなわち不当労働行為意思が存することを要するというべきであるが、この不当労働行為意思とは、その行為が客観的に組合弱体化ないし反組合的な結果を生じ、又は生じるおそれがあることの認識、認容があれば足りると解すべきであり、これを本件について見ると、会社のチェックオフ申請の拒否等の各行為は、専任以上のスタッフ専門職である3名が支部に加入し組合活動を行うことを認めず、これを妨げる行為そのものであって、それが客観的に反組合的な行為であることは明白であり、また、本件一部解約通告以降、会社と組合との間で、本件条項の有効性をめぐって見解が対立し、本件条項は解約により効力を失ったとする支部が、これを否定する会社に対し、再三不当労働行為の成立を警告していたにもかかわらず、会社が本件条項は有効に存続するとの見解を堅持し、あえて本件各行為に及んだ以上は、反組合的な結果発生のおそれに対する認識、認容があったものとして、不当労働行為意思を肯定すべきであるとされた例。

4600 対抗的団体に対する措置(解散・団交禁止・協定破棄・経費援助の停止等)に触れた例
本件会社の各行為は労働組合法第7条3号の不当労働行為に該当すると認められるのであり、これを否定して組合の申立てを棄却した本件命令は違法であるから、これを取り消すとされた例。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献   
評釈等情報  中央労働時報 2004年4月10日 1027号 61頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
東京地労委平成8年(不)第69号 棄却 平成13年3月27日
東京高裁平成15年(行コ)第275号 一審判決の全部取消 平成17年2月24日
最高裁平成17(行ツ)177号
最高裁平成17(行ヒ)191号
上告棄却・上告不受理 平成19年11月30日
 
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