労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  由倉(団交拒否等) 
事件番号  東京高裁平成15年(行コ)第173号 
控訴人  株式会社由倉 
被控訴人  中央労働委員会 
被控訴人参加人  由倉工業労働組合 
判決年月日  平成15年11月25日 
判決区分  控訴の棄却 
重要度   
事件概要  会社が、(1)組合委員長X1の平成8年度夏季一時金の考課査定分を低くしたこと、(2)X1の夏季一時金の考課査定及び組合の書記長X2の配置転換に関する団体交渉を、地区労の役員が出席すること等を理由に拒否したこと、(3)社報に組合を誹誇中傷する記事を掲載し、これを冊子にして従業員の家族あてに郵送したこと、(4)管理職らをして組合員らに対し組合からの脱退を強要したことが争われた事件で、栃木地労委は、(1)X1に対する同8年度夏季一時金の考課査定分の差額の支払い、(2)X2の配置転換に関する団体交渉に誠実に応じること、(3)組合が団体交渉の権限を委任した地区労役員の出席する団体交渉拒否の禁止及び(4)社報に組合を誹諦中傷する記事を掲載し、これを冊子にして従業員の家族あてに郵送すること等による支配介入の禁止を命じ、その余の申立てを棄却し、会社及び組合はこれを不服としてそれぞれ再審査を申し立て、中労委は、初審命令の一部を変更した。会社はこれを不服として取消訴訟を提起し、東京地裁は請求を棄却し、東京高裁も会社の控訴を棄却した。 
判決主文  1 被申立人は、被申立人を原告とし、申立人を被告とする当庁平成14年(行ウ)第335号不当 労働行為救済命令取消請求事件の判決確定に至るまで、申立人が中労委平成13年(不再)第 5号事件について発した命令によって維持するものとした、新労委平成11年(不)第1号事 件について新潟県地方労働委員会がした平成13年1月29日付命令の主文第1項及び第2項に 従わなければならない。
2 申立費用は、補助参加によって生じたものを含め、被申立人の負担とする。 
判決の要旨  1202 考課査定による差別
会社が、組合員X1の夏季一時金の考課査定にあたって、同人の考課を平均的な組合員より低く評価すべき合理的な事情は見出せず、他方で、組合執行委員長である同人を嫌悪していたと認められることに加え、工場長がX1から低査定の理由を質された際の対応も併せ考慮すると、X1に対する本件一時金の考課査定は、同人が組合執行委員長として行った組合活動に対する嫌悪の情に基づいて、その査定を特に低く評価することにより不利益に取り扱ったものといわざるを得ず、労働組合法第7条第1号の不当労働行為に当たるとした本件命令を適法であるとした原判決が相当とされた例。

2215 上部団体参加否認
2301 人事事項
会社が、組合から委任を受けた地区労の役員が団体交渉に参加することをもって、組合書記長X2の配置転換に関する団体交渉に応じなかったことには正当な理由が認められず、また、組合は、X2の配置転換を団体交渉の議題とする具体的理由を示しているにもかかわらず、会社は本件団体交渉申入れの事項が団体交渉の議題とならないとして応じない態度を示したことが認められるから、会社は正当な理由なく本件団交申入れに応じなかったものといえ、これは組合の態度が団体交渉を妨げる事由であったとは認められず、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たるとした本件命令を適法であるとした原判決が相当とされた例。

2620 反組合的言動
社長自らが、社報において、明らかに組合に対する威嚇や反組合的な姿勢を鮮明にした記事は、組合活動を強く批判する内容を含むものであり、社報そのものの性格に加え、本件記事には管理職に相当する者の意見が少なからず含まれていること等からすると、本件記事の掲載等は、社長を中心とした使用者側の意思に基づいて行われたものと容易に推認でき、本件記事の掲載等がなされた時期は、労使間の対立が高まっていた時期であり、また、組合が社長の自宅周辺に労働争議に関するビラを配布していたことも併せ考えると、本件記事の掲載等は、会社が組合を嫌悪し、その弱体化を企図して行ったものと推認され、労働組合法第7条第3号の不当労働行為に当たるとした本件命令を適法であるとした原判決が相当とされた例。

2621 個別的示唆・説得・非難等
膠着状態にあった平成8年度冬季一時金の査定問題等に関する団体交渉が決裂し、組合員X1から本件ストの通告を受けた直後、同団体交渉に会社側交渉委員として出席していた課長らは、それぞれ部下に対して、組合から脱退するよう強く働きかけた事実が認められ、これら行為がなされた時期及び課長らが会社交渉員として団体交渉に出席していた管理職であったこと等からすると、会社は、組合が敢行しようとしていた本件ストを嫌悪し、これを実行させるため、管理職をして、その部下の組合員に対し電話をかける等の方法により、組合からの脱退を強く勧奨させたものと推認することができ、この行為は労働組合法第7条第3号の不当労働行為に当たるとした本件命令を適法であるとした原判決が相当とされた例。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献   
評釈等情報  中央労働時報 2004年2月10日 1022号 51頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
栃木地労委平成 9年(不)第2号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成11年 3月24日 決定 
中労委平成11年(不再)第22号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成13年12月 5日 決定 
東京地裁平成14年(行ウ)第9号 請求の棄却  平成15年 6月18日 判決 
最高裁平成16年(行ヒ)第57号 上告不受理決定  平成16年 3月26日 決定