労働委員会関係裁判例データベース

[判例一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件名  大道測量設計社 
事件番号  東京高裁平成15年(行コ)第208号 
控訴人  有限会社大道測量設計社 
被控訴人  東京都地方労働委員会 
被控訴人参加人  X1 
被控訴人参加人  連帯労働組合 
判決年月日  平成16年 4月 8日 
判決区分  控訴の棄却 
重要度   
事件概要  本件は、(1)アルバイトとして採用されたX1の組合加入後、同人の就労日を週4日から2日に削減したこと、(2)会社役員が組合員及びX1に対し、誹謗中傷発言を行ない、同人に対し暴行・監禁をしたこと、(3)X1の就労日問題等に関する団体交渉を拒否したこと、(4)休業手当の支給等に関する合意内容の協定化を拒否したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、東京地労委は、組合員X1に対する就労削減がなかったものとしての取扱い、バックペイ(命令交付の日までの分は4割控除)及び就労を求めた場合の威圧的言動の禁止、誠実団交、組合やOに対する誹謗中傷及び威圧の禁止及び履行報告を命じ、その余の申立てを棄却したところ、これを不服として、会社が行政訴訟を提起した。
 東京地裁は同地労委の命令を支持し会社の請求を棄却した。会社はこれを不服として東京高裁に控訴したが同高裁は原判決を維持し、会社の請求を棄却した。 
判決主文  1 本件抗告を棄却する。
2 抗告費用は抗告人の負担とする。 
判決の要旨  1401 労務の受領拒否
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3700 使用者の認識・嫌悪
組合員X1に対する就労日削減措置の直前には、会社と組合の対立は極めて深刻な状態にあったこと、会社は、X1の就労日を週4日から2日に削減する本件措置を一方的に強行し、同人に理解を得るための説明を行うことなく就労を拒否したことを勘案すると、本件就労日削減措置は、会社にあって中心的に組合活動を行っていたX1及びその組合活動を嫌悪し、同人を会社から排除することを意図して行われたものと認められ、これは組合員である同人に対する不利益取扱いであるとともに、組合の組織運営に対する支配介入であるとした原判決が相当であるとされた例。

1401 労務の受領拒否
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3410 職制上の地位にある者の言動
3700 使用者の認識・嫌悪
会社役員らによる、平成9年3月26日及び28日の両日の言動は、業務上のミスを犯した従業員に対する通常の叱責や指導とはかけ離れたものであり、組合員X1に業務上のミスを改善させることを目的とした指導とは到底認め難く、むしろ「吊し上げ」ともいうべき内容及び態様であったと認められ、また、この間の労使事情をみると、前年から続いていた対立関係が、本件就労削減措置をめぐって一層先鋭化し、「業務上の指導」がなされる直前の同年3月19日の団体交渉において会社と組合との間で議論が紛糾していた事実が認められることを勘案すれば、両日になされた「業務上の指導」は、業務上の指導に名を借り、会社にあって中心的に組合活動を行っていたX1を嫌悪し、同人を会社から排除することを意図して行われたものと認められ、組合員であるX1に対する不利益取扱いであるとともに、組合の組織運営に対する支配介入であるとした原判決が相当であるとされた例。

1401 労務の受領拒否
1602 精神・生活上の不利益
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
3700 使用者の認識・嫌悪
同年3月31日から4月15日まで就労を求めて出社したX1に対し、会社取締役は「話をするから上がってこい」と発言したところ、X1はストライキを通告して就労せず帰宅したが、3月26日及び28日の「業務上の指導」は組合を嫌悪し、同人を個人的に攻撃する内容及び態様のもので、同人に対し精神的苦痛を与えるものであるから、それ以降、出社した同人に対し、役員が「話をする」として「業務上の指導」を行うことを示唆した態度は、「業務上の指導」の効果が持続している状況においては、同人の就労を事実上不可能にするものと評価することができ、会社役員らのこの行為は、「業務上の指導」と同様、会社において活発な組合活動を行っていた同人を排除する意図の下に行われたものと認められ、組合員である同人に対する不利益取扱いであるとともに、組合の弱体化を企図した支配介入であるとした原判決が相当であるとされた例。

1401 労務の受領拒否
組合員X1は、同年4月16日以降も就労要求を行う等、本件申立ての前後を通じ一貫して、就労の意思を持ち、かつ、業務上の指導による妨害のない正常な就労を会社に訴え続けていたのに対し、会社は、同年3月26日及び28日の「業務上の指導」以降、自らX1が事実上就労できない状況を作出しながら、これを改める態度を示すことなく、X1が就労しないでいる状態をとらえて、一方的に「サボタージュ」とか「無断欠勤」として取り扱い、また退職意思があるので団体交渉は無意味であるとの見解を示すなど、X1の就労の意思をあえて無視する態度をとっており、会社の態度は、X1を会社から排除しようとする意図で行われた「業務上の指導」及びその後のX1に対する事実上の就労拒否の延長上にある行為ないし態度と認められ、組合員である同人に対する不利益取扱いであるとともに、組合の弱体化を企図した支配介入であるとした原判決が相当であるとされた例。

2244 特定条件の固執
2245 引き延ばし
会社は、組合員X1の就労問題を加えた「9年4月要求」を議題とする団体交渉を、議題の整理を理由に応じない態度をとっていたところ、組合の提示した議題それ自体は明確であって、特に整理を必要とするものではなく、また、会社のいう議題の整理が、「9年4月要求」で付加された「業務上の指導」問題を含むX1の不就労問題を除外しようとするものであったとすれば、X1及び組合がまさにこれを団体交渉の場で解決しようとしていたことは、会社にとっても明白であったはずであり、かつ、これが組合員であるX1の労働条件に係わる内容であることは明らかであるから、正当な対応とはいえず、会社は、本件救済申立て後、委員会において行われた立会団交においても同様の主張を繰り返しており、X1の不就労問題に関しては、会社が原因を作出したと認められる本件においては、会社の右態度は、団体交渉拒否に当たるとした原判決が相当であるとされた例。

2612 従業員の親族・保証人・友人の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
2700 威嚇・暴力行為
3410 職制上の地位にある者の言動
3700 使用者の認識・嫌悪
Y1社長の弟の組合員X1に対する「組合なんかやるんじゃない」との発言は、前後の事情等からすると、組合活動を止めてもらいたいとのY1社長の意を汲んで行われたものと推認され、また、Y2取締役は、団体交渉においてX1や組合に対し、「乞食野郎」等と発言したり、X1に対し右「業務指導」をしたこと等が認められ、行為の態様やなされた状況及び当該労使事情に照らせば、会社役員らによる各行為は、組合やX1の組合活動に対する嫌悪の情に基づき、会社が組合活動に対して行った誹謗中傷あるいは威迫行為であって、労働組合法第7条第3号の支配介入に当たるとした原判決が相当であるとされた例。

6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
会社は、委員会が、本件命令において、疎明資料に基づかず事実認定を誤り、当事者の主張を整理せず、抽象的観念的に救済命令を発したものであり、労働委員会の裁量を逸脱するものであると主張するが、事実認定の誤りが直ちに労働委員会の裁量違反となるものではないし、委員会が当事者の主張を整理せず、抽象的観念的に救済命令を発したとの主張を裏付ける証拠はなく、また、労働委員会は、不当労働行為と認定された行為について、いかなる救済を命ずるかについて、事件の多様性に応じて幅広い裁量を有するところ、これまで認定した不当労働行為に該当する事実に照らすと、本件命令が命じた救済方法が、労働委員会の裁量を逸脱するものとは認められないとした原判決が相当であるとされた例。

6330 審査手続の違法
本件命令書(写)の受領書は、当時会社の補佐人にすぎず、会社の代表権のない取締役であったY3作成名義のものとなっており、会社は、本件命令書(写)の交付を受けていない旨主張するが、労働委員会規則44条第1項は、「会長は、期日を定めて当事者を出頭させ、命令書の写しを交付し、(中略)なければならない。この場合には担当職員は、交付調書を作成しなければならない。ただし、当事者の受領証をもってこれにかえることができる。」と規定しているところ、本件命令書(写)の交付については、交付調書が作成されており、そこには会社側の出席者として、右補佐人Y3のほか、会社の代理人であるY4弁護士が出頭した旨が記載されていることからすると、本件命令書(写)の交付は、会社の代理人であるY4弁護士が出席し、同人の面前でTに手渡されたものと解することができるから、会社代理人に適法に交付されたもので、交付手続きに会社主張の瑕疵があるということはできないとされた例。

業種・規模  情報サービス・調査業(ソフトウェア業等)、広告業 
掲載文献   
評釈等情報  中央労働時報 2004年12月10日 1035号 48頁 

[先頭に戻る]

顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
東京地労委平成 9年(不)第36号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成13年 1月 9日 決定 
東京地裁平成13年(行ウ)第73号 請求の棄却  平成15年 7月18日 判決 
最高裁平成16年(行ヒ)第201号 上告不受理決定  平成16年11月 2日 判決 
最高裁平成16年(行ツ)第185号 上告の棄却  平成16年11月 2日 判決