労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  大阪証券取引所 
事件番号  東京地裁平成15年(行ウ)第249号 
原告  株式会社大阪証券取引所 
被告  中央労働委員会 
被告参加人  大阪証券労働組合 
判決年月日  平成16年 5月17日 
判決区分  救済命令の全部取消し 
重要度   
事件概要  取引所が、組合から申入れのあった、取引所で証券売買取引等の媒介業務を行っていたN証券の企業再開・組合員の雇用確保等を議題とする団体交渉に応じなかったことが不当労働行為であるとして申立てがあった事件である。大阪地労委は、取引所はN証券従業員との間において労組法上の使用者に当たるとして、取引所に対して、N分会組合員の雇用問題を議題とする団体交渉応諾及び文書手交を命じた。これを不服として、取引所は再審査を申し立てたが、中労委はこれを棄却した。取引所はこれを不服として東京地裁に行政訴訟を提起していた。同地裁は、取引所の請求を認容し、中労委命令を取り消した。 
判決主文  1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 
判決の要旨  4916 企業に影響力を持つ者
一般に使用者とは、労働契約上の雇用主をいうものであるが、労働組合法7条が団結権の侵害に当たる一定の行為を不当労働行為として排除、是正して正常な労使関係を回復することを目的としていることに鑑みると、雇用主以外の事業主であっても、当該労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、同条の「使用者」に当たるものと解するのが相当であり、労働者の労働関係上の諸利益に影響力ないし支配力を及ぼし得る地位にある一切の者をいうとする組合の主張は採用することはできないとされた例。

4916 企業に影響力を持つ者
取引所は、N証券の求めに応じ、その再建策の検討にあたってはいたものの、その採否の最終判断及び実行はN証券に委ねられており、取引所においてN証券従業員の本件雇用問題を決定しているということはできず、そうだとすると、取引所は組合員らの雇用の確保等本件雇用問題について、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったとはいえず、N証券の再建策に対する取引所の関与という観点から、取引所が労働組合法7条の「使用者」に当たるということはできないとされた例。

4916 企業に影響力を持つ者
N証券は、昭和60年に取引所がその株式を取得して資本参加するまでは、取引所との間における相互の株式の保有はなく、役員の交流、従業員の出向等の関係はなく、証券取引法によって、取引所とは全く別の組織として成立したこと、N証券は、これまで、独自の事務所、資産、従業員を持ち、自己の計算で営業活動を展開し、法人の実体としては、取引所とは独立した存在として運営されてきた法人であること、他方、取引所は、N証券らを含む会員で組織された公益法人であったこと、取引所は、N証券の株式の27パーセントを保有してるにすぎず、正会員協会の所有に係る株式をを含めても52パーセントを保有しているにとどまること、取引所は、組合員40名との間の訴訟で、同組合員らを取引所の従業員として取り扱う法律上の義務がないことが裁判上確定していることが認められ、これらの事実を考慮すると、取引所がN証券従業員の本件雇用問題について、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったとはいえず、制度面、資本関係、人事面の観点から、取引所が労働組合法7条の「使用者」に当たるということはできないとされた例。

4916 企業に影響力を持つ者
N証券は、従業員の労働条件について、自ら就業規則を定めるほか、組合との間で労働協約を締結していたこと、その結果、N証券の従業員の賃金、賞与の交渉は、専らN証券と組合N分会との間で行われてきたこと、労働時間、休憩時間、休日をはじめその他の労働条件についても、N証券自身によって決定されており、取引所がこれに関与することは一切なかったこと、N証券の従業員の採用、解雇、配置、懲戒についても、N証券自身が決定し、取引所はこれに一切関与していないこと、N証券の目的は、媒介業務に限定されておらず、媒介業務以外の分野においては、独自の方針を打ち出すことも可能であったこと、取引所は組合員40名との間の訴訟で、同組合員らを取引所の従業員として取り扱う法律上の義務がないことが裁判上確定したことが認められ、これら事情を考慮すると、N証券従業員の雇用確保等本件雇用問題については、N証券のみがこれを支配、決定することができる地位にあったというべきであって、取引所は、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にはなかったものと認められるから、労働条件面の観点から、取引所が労働組合法7条にいうところの「使用者」に当たるということはできないとされた例。

4916 企業に影響力を持つ者
6343 団体交渉拒否に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
上記のとおり、N証券の再建策に対する取引所の関与、制度面、資本関係、人事面、労働条件面の各観点から、取引所は組合員らの雇用の確保等本件雇用問題について、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったということはできず、そうだとすると、取引所はN証券との関係で労働組合法7条の「使用者」には該当せず、したがって、取引所との間で不当労働行為の問題が生ずる余地はないというべきであるから、労働委員会がした本件救済命令は違法として取消しを免れないとされた例。

業種・規模  金融業、保険業 
掲載文献   
評釈等情報  中央労働時報 2004年8月10日 1031号 55頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
大阪地労委平成11年(不)第39号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成12年10月26日 決定 
中労委平成12年(不再)第56号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  平成15年 3月19日 決定 
 
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