労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  園田陸運 
事件番号  福岡高裁宮崎 平成17年(行コ)第4号 
控訴人  園田陸運株式会社 
控訴人  園田陸運グループ労働組合 
被控訴人  鹿児島県労働委員会 
判決年月日  平成18年 3月29日 
判決区分  請求の棄却 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、合理化計画の実施やあっせん案に基づく長距離業務の実施等において、組合員であること又は組合活動を理由とする組合員差別をしたことが不当労働行為であるとして争われた事件である。
 鹿児島県労委(平成11(不)1号、平成15年3月18日決定)は、①あっせん案にある「具体的な配車のあり方」について協議し、会社の命令書受領から2か月以内の合意を目指すこと、②あっせん案により努力することとされた賃金30万円と実際に支払われた給与の差額の3割の支払いを命じ、その余の申立てを棄却したが、組合及び会社がこれを不服として行政訴訟を提起した。鹿児島地裁(15(行ウ)3号・4号、平成17年3月30日判決)は、初審命令を支持し組合及び会社の請求をいずれも棄却したところ、これを不服として組合及び会社が控訴した。
 福岡高裁は、組合及び会社の控訴をいずれも棄却した。 
判決主文  1 控訴人らの本件各控訴をいずれも棄却する。
2 控訴人会社について生じた訴訟費用は同控訴人、控訴人組合について生じた訴訟費用は同 控訴人の各負担とする。 
判決の要旨  4825 その他
4831 組織変更
4838 申立ての承継
不当労働行為救済申立ての申立人とその地位の承継を求める者との間に、民事実体法一般にいうところの地位の承継が厳密には生じていない場合であっても、当該申立ての対象とされた紛争の実質に変動がなく、当該承継を求める者として当該申立ての手続きを遂行させることに合理性が認められ、これによって使用者に格別の不利益が生じないような場合には、労働委員会が当該承継を求める者への申立人たる地位の承継を許すことを労働法令が禁止しているものと解することは相当ではなく、これを許したことをもって、救済命令の手続に違法があるということはできないと解するのが相当であるが、本件についてみると、本件承継の許可の前後を通じて、本件救済申立ての対象とされた紛争の事実は全く同一であり、また、控訴人組合は、紛争の直接の当事者であり、かつ、控訴人会社にとって格別不利益が生じるものではないことが明らかであることから、被控訴人が本件承継を許したことをもって、手続に違法があるという控訴人会社の主張は採用できないとされた例。

1302 就業上の差別
1900 営業譲渡・合併
3200 不当労働行為とされた例
業務移管に伴い、組合員を長距離業務に従事させないという控訴人会社による本件措置は、たとえ本件食事代訴訟の提起が本件あっせんの趣旨に反するものであっても、同訴訟を提起した組合員の労働条件を大幅に切り下げることとなるものであるから、同訴訟の提起に対する措置としては社会的相当性を欠く行き過ぎた行為であるといわざるを得ず、本件措置が本件食事代訴訟の提起を理由とする不利益取扱いの不当労働行為に該当するとした被控訴人の判断に誤りがあるとはいえないとされた例。

3605 他の処分で決着ずみのものを対象とした場合
4419 現存格差を一挙に是正した例
5124 その他の審査手続
一般に、不当労働行為の成否を巡る紛争であっても、これを和解により解決することは許されるものと解すべきであるから、労働関係調整法に基づく本件あっせんにおいても、不当労働行為の成否を巡る紛争をその対象として解決することはもとより許されると解するのが相当であること、また、基本的事実によれば、本件あっせんが公序良俗に反する事項を目的とするものということはできず、その他、そのような評価をすべき事情を認めるに足る証拠もないから、同あっせんが公序良俗に反し無効である旨の控訴人組合の主張には理由がなく、本件あっせんが有効であると認めた被控訴人の判断に誤りがあるとはいえないとされた例。

4413 給与上の不利益の場合
4419 現存格差を一挙に是正した例
行政機関である労働委員会による救済命令の方法を採用したのは、正常な集団的労使関係秩序の迅速な回復及び確保を図るとともに、労使関係について専門的知識経験を有する労働委員会の裁量により、個々の事案に即した適切な是正措置を決定し、これを命ずる権限を委ねる趣旨に出たものと解され、訴訟において労働委員会の救済命令の内容の適法性が争われる場合においても、裁判所は、労働委員会の裁量権を尊重し、その行使が前述の趣旨及び目的に照らして是認される範囲を超え、又は著しく不合理であって濫用にわたると認められるものでない限り、当該命令を違法とすべきではないと解するのが相当であるが、本件についてみるに、被控訴人は、本件命令を発するに当たり、控訴人会社による本件措置のきっかけとなったのは、分会の組合員による本件食事代訴訟の提起であったところ、同訴訟は、本件あっせんにおいて支給しないものと確定された過去の本件食事代を含めた本件食事代の支払いを求めるものであったのであるから、本件あっせんの趣旨に反するものであり、したがって、不当労働行為である本件措置を招いた責任の一端は同分会にもあり、かかる事情及びその余の諸般の事情を考慮して、控訴人会社が支払うべき差額賃金の額を実際の差額の3割相当額に限定したものと認められるところ、このような事情を考慮して差額賃金の額を前述のとおり限定したことにつき、被控訴人が、労働委員会に付与された裁量権を、是認される範囲を超えて行使し、又は当該行使が著しく不合理であって濫用にわたるものと認めることはできず、さらに、被控訴人は、本件命令の発令後は控訴人らが労使間において自主的に問題を解決するのが相当と判断し、本件是正期間の終期を本件命令書写しの受領日としたものと認められるところ、この判断についても、被控訴人に、裁量権の逸脱があったものと認めることはできず、控訴人組合の請求には理由がないとされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献   
評釈等情報   

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