労働委員会関係裁判例データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[判例一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件名 東海旅客鉄道(東海労掲示物撤去)
事件番号 東京地裁平成17(行ウ)378号
原告 東海旅客鉄道株式会社
被告 国(処分行政庁 中央労働委員会)
被告補助参加人 ジェイアール東海労働組合
被告補助参加人 ジェイアール東海労働組合新幹線関西地方本部大阪第一車両所分会
判決年月日 平成18年10月5日
判決区分 一部取消
重要度  
事件概要 本件は、会社が、助役らの管理職をして、組合に貸与している組合掲示板から、掲示中の掲示物20点を撤去したことが不当労働行為であるとして、申立てがあった事件である。初審大阪地労委は、会社に対し、18点の掲示物を撤去したことが不当労働行為に当たるとして文書手交を命じ、中労委は、初審命令のうち、8点の掲示物については撤去相当と判断し、手交文の内容を一部変更した。会社は、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、中労委命令で不当労働行為であると認定した10点の掲示物の撤去のうち、7点の掲示物の撤去についての文書手交を命じた部分を取り消し、その余の請求は棄却した。
判決主文 1.中央労働委員会が、平成15年(不再)第20号不当労働行為再審査申立事件について、平成17年7月20日付けでした命令のうち、主文Ⅰ項の次の部分を取り消す。
 原告の新幹線鉄道事業本部関西支社大阪第一車両所が、被告補助参加人ジェイアール東海労働組合新幹線関西地方本部大阪第一車両所分会の組合掲示板から、平成10年11月25日及び同月27日に別紙1-①及び②の掲示物を、平成11年2月8日に別紙1-⑥の掲示物を、同月9日に別紙1-⑦の掲示物を、同月(同年8月の誤記)19日に別紙1-⑭の掲示物を、同月20日に別紙1-⑮の掲示物を、同年9月28日に別紙1-⑲の掲示物を、それぞれ撤去した行為は、中央労働委員会によって労働組合法7条3号に該当する不当労働行為であると認定されたこと、今後このような行為を繰り返さないようにすることを記載した文書を被告補助参加人らに対し手交することを命じた部分。
2.原告のその余の請求を棄却する。
3.訴訟費用は、補助参加によって生じた部分はこれを5分し、その2を原告の負担とし、その余を被告補助参加人らの負担とし、その余の費用はこれを5分し、その2を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
判決の要旨 ① 会社は、本件協約により、組合に対し、「組合活動に必要な宣伝、報道、告知を行う」ために掲示板を使用することを許諾しているから、組合らは、本件協約の定める限度において掲示板を使用することができるところ、本件協約は、掲示類が「会社の信用を傷つけ、政治活動を目的とし、個人を誹謗し、事実に反し、又は職場規律を乱す」ものであってはならないとした上で、これに違反する掲示物は会社が撤去しうるとしているのであるから、組合らは、撤去要件に該当しない限りにおいて、掲示板を使用する自由を有するものであるが、撤去要件に該当する掲示板は、組合らはこれを掲示することができず、会社はこれを撤去することができるから、会社が撤去要件に該当する掲示物を撤去する行為は、特段の事情がある場合を除いては不当労働行為に該当せず、逆に、組合らが組合活動に必要な行為として掲示をしている限り、撤去要件に該当しない掲示物を撤去した場合は、原則として不当労働行為に該当するとされた例。

② 撤去要件に該当する掲示物であっても、撤去行為をすることが権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合には、不当労働行為に該当すると解すべきであり、例えば、掲示物に会社の信用を傷つけあるいは個人を誹謗するような事実(又は意見)が記載されている場合であっても、その記載された事実(又は記載された意見が前提としている事実)が真実である場合には、掲示板の使用が組合活動に必要な行為として行われている限り、原則として、掲示物を撤去する行為は権利の濫用というべきであり、また、掲示物に真実とは認められない事実が記載されている場合や、会社の信用を傷つけあるいは個人を誹謗するような意見が記載され、かつ、その記載された意見が前提としている事実が真実とは認められない場合であっても、組合らがその事実や意見を記載したことに相当の根拠、理由があり、しかも相当の根拠、理由があることを会社が認識し、あるいは容易に認識し得たにもかかわらず、会社が自己の見解や事実認識のみを根拠として一方的に掲示物を撤去したような場合には、掲示物の撤去行為は権利濫用というべきであり、不当労働行為に該当するとされた例。

③ ①及び②の枠組みから、中労委命令で不当労働行為であると認定された10点の掲示物の撤去のうち、7点の掲示物の撤去については、事実に反し、個人を誹謗し、会社の信用を傷つけるといった撤去要件に該当し、また、撤去行為が権利の濫用と認められるような特段の事情も認められないから不当労働行為とはいえないが、他方、3点の掲示物の撤去については、権利の濫用であると認められる特段の事情があり、不当労働行為といえると判断された例。

④ 各掲示物の撤去行為は、それぞれ独立して不当労働行為の対象となりうる行為であって、1個の主文によって救済命令が発令された場合であっても、その内容は各撤去行為について可分であり、その可分の部分に誤りがあり、その余の部分についての判断が相当である場合には、誤りがある限度で命令を取り消せば足りると解されるとして、中労委が文書交付を命じた命令の一部が取り消された例。

[先頭に戻る]

顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
大阪府労委平成11年(不)第97号 一部救済 平成15年3月27日
中労委平成15年(不再)第20号 一部変更 平成17年7月20日
東京高裁平成18年(行コ)第277号 一部取消 平成19年5月30日
最高裁平成19年(行ツ)第237号
平成19年(行ヒ)第255号
上告棄却、不受理 平成20年11月25日
 
[全文情報] この事件の全文情報は約117KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。