労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 郵政省藤沢郵便局等
事件番号 東京地裁平成17年(行ウ)第518号
原告 日本郵政公社
被告 国(処分行政庁 中央労働委員会)
被告補助参加人 郵政産業労働組合
郵政産業労働組合関東地方本部
郵政産業労働組合相模原支部
判決年月日 平成19年3月8日
判決区分 棄却
重要度  
事件概要  本件は、日本郵政公社が、相模原郵便局において、他組合には組合事務室を貸与する一方で、郵政産業労働組合相模原支部に対しては組合事務室を貸与しないことが不当労働行為であるとして、申立てのあった事件である。中労委は公社に対し、郵産労相模原支部への組合事務室の貸与を命じた。
 なお、申立当初、参加人は藤沢郵便局においても組合事務室の貸与等を求めて申立てを行ったが、公社が組合事務室を貸与したことから、参加人は同局にかかる申立てを取り下げた。
 公社はこれを不服として東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、公社の請求を棄却した。
判決主文 1.原告の請求を棄却する。
2.訴訟費用は、参加によって生じた費用を含め、原告の負担とする。
判決の要旨 ① 組合事務室等が組合活動にとって極めて重要であることに照らすと、一部の組合に組合事務室を貸与し、その他の組合に貸与を拒否することは、このように取扱いを異にする合理的な理由を使用者において主張立証しない限り、貸与を受けない組合の活動力を低下させ、その弱体化を図ろうとする意図を推認させるものとして、労組法7条3号所定の不当労働行為(支配介入)に当たると解するのが相当であり、相模原郵便局において一部の組合に対し組合事務室を貸与することが不当労働行為(支配介入)に当たるか否かについても、私企業と同様、右記の判示したとにより判断すれば足り、郵便事業の特殊性等については合理的な理由を基礎づけるための一つの事実として考慮すれば足りるものと介すのが相当であるとされた例。
② 相模原郵便局の局舎は、建築延面積が約6455平方メートルであること、郵便課、集配課等の事務室、作業場以外にも、会議室2箇所、PRルームなど合計約480平方メートルが存在し、年末年始繁忙期はアルバイトが増員され狭隘になるものの、通常時は比較的余裕があるレイアウトとなっていること、本件業務移管により職員及び物品数も従前に比べ減少したことが認められることによれば、郵便事業の公共性、年末年始に著しく繁忙になるなどの特殊事情を考慮しても、相模原郵便局において、参加人相模原支部に対し、わずか10平方メートル前後の組合事務室を貸与することが不可能であるとは認め難く、具体的には右記のような場所を貸与することが可能であると認められ、当該判断を覆すに足りる的確な証拠は存在しないとされた例。
③ 衛生室、PRルーム及び倉庫の一部などを相模原支部の組合事務室として貸与する事が可能であり、そうだとすると、相模原郵便局は狭隘で、相模原支部に組合事務室として貸与する場所がないとの原告の合理的な理由の主張には理由がなく、これを採用することができないとされた例。
④ 倉庫の一部及びPRルームの一部を小部屋のように区切り、出入口を付けるのに要する費用は20万円から40万円程度であることが認められ、公社の事業規模等に照らすと、およそこの程度の改築費用を捻出できないとは考えがたく、衛生室を移設するために、間仕切りなどのほか水道工事について別途費用を要するとしても、右記改築費用に照らすと公社において捻出することが出来ない額になるとは考え難いとされた例。
⑤ しかも、第二次改築工事、第一次法人郵便営業課統合、副局長廃止の際ほとんど費用をかけずに相模原支部に組合事務室を貸与が可能であったにもかかわらず、本訴に至って費用の捻出ができないことを理由に相模原支部に対し組合事務室を貸与できない旨主張することはいささか正義に反する態度であるというべきであり、以上によれば、組合事務室を貸与するために生ずる改善費用を捻出することができないから、相模原支部に対し、組合事務室の貸与を行わなかったことに合理的な理由が存在するという公社の主張は採用することができないとされた例。
⑥ 本件全証拠を検討するも、他に、公社において、相模原支部に相模原郵便局の施設内の一部を組合事務室として貸与できないような合理的な理由を認めるに足りる証拠は存在しないとされた例。
⑦ 公社は、本件命令は業務上未使用の施設は存在しないと認定しているのであるから、救済の限度を明らかに超えてなされたものであり、原告の経営権を侵害するものであり違法であると主張するが、本件命令が「局舎の一部に明らかに業務上未使用の施設(不使用又は遊休施設)が存在するとは認められなかった。」と述べているのは、局舎レイアウト図面からは使用目的が決められていない施設が一応存在しなかったという意味と解するのが相当であり、本件命令は施設の使用方法の工夫如何によって、組合事務室を貸与することが可能であると考えることが認められ、公社の右記主張は、本件命令を正解していると言うことができず、採用することができないとされた例。
⑧ 以上のとおり、相模原郵便局長は、合理的な理由がないにもかかわらず、一部の組合に対しては組合事務室を貸与し、他方、相模原支部に対しては貸与を拒否していること、そうだとすると、相模原郵便局長が、相模原支部に対し、局舎内の施設の一部を組合事務室として貸与しないことは、相模原支部の活動を低下させ、その弱体化を意図して行っている組合間差別であり、公社の不当労働行為(支配介入)に当たるというべきであり、他にこの判断を左右するに足りる的確な証拠は存在しないとされた例。
⑨ 以上から明らかなとおり、公社に対し相模原支部への組合事務室貸与を命じた本件命令の主文第一項は正当であり、この取消を求める公社の請求には理由がないということになり、原告の請求を棄却するとされた例。

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成10年(不)第6号 一部救済 平成17年9月13日
東京高裁平成19年(行タ)28号 認容 平成19年7月24日
 
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