労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 東日本旅客鉄道(千葉動労褒賞金)
事件番号 東京高裁平成18年(行コ)第283号
控訴人 国 (裁決行政庁 中央労働委員会)
被控訴人 東日本旅客鉄道株式会社
控訴人補助参加人 国鉄千葉動力車労働組合
判決年月日 平成19年5月17日
判決区分 一部取消
重要度  
事件概要  本件は、組合が4回にわたって実施したストライキに際して、会社が、ストライキ実施日及びその前後の日に臨時の勤務に従事した社員に3,000円又は5,000円の報奨金を支給したことが不当労働行為であるとして、申立てがあった事件である。
 初審千葉地労委は、会社に対し、①ストライキに参加した組合員に参加日数に3,000円を乗じた金員の支払い、②今後の争議に際して争議不参加者に金員を支給するなどの支配介入の禁止を命じ、その余の申立ては棄却した。
 組合はこれを不服として中労委に再審査申立てをしたところ、中労委は、組合員に金員の支払いを命じた部分を取り消し、支配介入の禁止を命じた部分を一部変更した。
 会社及び組合はこれを不服として東京地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁は、中労委命令で支配介入の禁止を命じた部分を取り消し、組合の請求を棄却した。
 中労委は、これを不服として東京高裁に控訴を提起したところ、同高裁は、原判決のうち中労委命令を取り消した部分を取り消し、会社の請求を棄却した。
判決主文 1.原判決主文第1項を取り消す。
2.被控訴人の請求を棄却する。
3.訴訟費用は第1、2審を通じ、被控訴人の負担とする。
判決の要旨 ① 会社と組合は、会社設立当時から組合員の採用問題等をめぐって対立関係にあり、労働協約も締結されないままの状態であったところ、組合は平成元年10月以降、多数回にわたり団体交渉の申し入れを行い、これらに対する会社の対応を不満として、同年12月以降、会社設立以来初めてとなる列車の運行に影響を及ぼす本件ストライキを行うに至ったものであって、その中でも最大の規模のものであった平成2年3月18日に開始されたもの以降の両者の団体交渉の協議内容等に照らすと、遅くとも、本件褒賞金にかかる通達が発せられた平成2年4月2日当時には、会社は組合に対して強い嫌悪感を抱くに至っていたものと認められるとされた例。

② 争議行為は事前に通知され、一般に団体交渉による調整を通じて輸送の混乱の発生を回避する方途が残されていることに照らすと、争議行為と予測困難な災害や事故とを同列に論じることには疑問があり、このことを踏まえて、本件褒賞金の支給のあり方(他の褒賞金実績との比較、本件ストライキの最初からの遡及適用、一律の支給、支給を受ける者に相応の感銘を与える金額など)をみるときは、これをもって、「会社は、社員又は団体で、顕著な功績があった場合又は業務成績優秀で一般の模範として推奨すべきものと認めた場合表彰する」とする会社の就業規則の表彰規定の文理から当然に導き得るものとまでは解し難いとされた例。

③ 本件褒賞金は、当時の状況下において、別組合からの申入れが重要な要因となり、これを会社が制度として対応するためであったと認めるのが相当である。
 そして、本件褒賞金の支給によって、会社は別組合との関係を良好に保つことができたと同時に、その組合員である労働者及びその他の争議行為に参加しない労働者を必要な臨時の勤務に就かせることが、より容易に行えるようになったと推認できるものであり、これは、やはり、争議行為の効果を減殺して、組合の弱体化を図る等の支配介入に当たるとされた例。

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
千葉地労委平成2年(不)第7号 一部救済 平成5年3月29日
中労委平成5年(不再)第22号 一部変更 平成17年9月7日
東京地裁平成17年(行ウ)第455号
東京地裁平成18年(行ウ)第18号
一部取消、棄却 平成18年9月27日
最高裁平成19(行ヒ)248号 上告不受理 平成19年11月15日
 
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