労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 東海旅客鉄道(東海労掲示物撤去)
事件番号 東京高裁平成18年(行コ)第277号
控訴人・被控訴人(第1審原告) 東海旅客鉄道株式会社
被控訴人・控訴人(第1審被告) 国(処分行政庁 中央労働委員会)
第1審被告補助参加人 ジェイアール東海労働組合
ジェイアール東海労働組合新幹線関西地方本部大阪第一車両所分会
判決年月日 平成19年5月30日
判決区分 一部取消
重要度  
事件概要  本件は、会社が、助役らの管理職をして、組合に貸与している組合掲示板から、掲示中の掲示物20点を撤去したことが不当労働行為であるとして、申立てがあった事件である。初審大阪地労委は、会社に対し、18点の掲示物を撤去したことが不当労働行為に当たるとして文書手交を命じ、中労委は、初審命令のうち、8点の掲示物については撤去相当と判断し、手交文の内容を一部変更した。会社は、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、中労委命令で不当労働行為であると認定した10点の掲示物の撤去のうち、7点の掲示物の撤去についての文書手交を命じた部分を取り消し、その余の請求は棄却した。中労委及び会社は、これを不服として東京高裁に控訴を提起したが同高裁は、原判決について、中労委命令中2点の掲示物の撤去について文書手交を命じた部分を取り消す旨変更し、会社の控訴を棄却した。
判決主文 1.第1審被告の控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。
(1)中央労働委員会が、平成15年(不再)第20号不当労働行為再審査申立事件について、第1審原告に対し、平成17年7月20日付けでした命令のうち、主文Ⅰ項の次の部分を取り消す。第1審原告の新幹線鉄道事業本部関西支社大阪第一車両所が、第1審被告補助参加人ジェイアール東海労働組合新幹線関西地方本部大阪第一車両所分会の組合掲示板から、平成11年2月8日に原判決別紙1-⑥の掲示物を、平成11年2月9日に原判決別紙1-⑦の掲示物を、それぞれ撤去した行為は、中央労働委員会によって労働組合法7条3号に該当する不当労働行為であると認定されたこと、今後このような行為を繰り返さないようにすることを記載した文書を第1審被告補助参加人らに対し手交することを命じた部分。
(2)第1審原告のその余の請求を棄却する。
2.第1審原告の控訴を棄却する。
3.訴訟費用は、第1、2審を通じ、補助参加によって生じた部分はこれを5分し、その4を第1審原告の負担、その余を第1審被告補助参加人らの負担とし、その余の費用はこれを5分し、その4を第1審原告の負担、その余を第1審被告の負担とする。
判決の要旨 ① 掲示物の撤去が不当労働行為に当たるかどうかを判断するに当たり、まず、掲示物が撤去要件に該当するかを検討すべきであり、会社が撤去要件に該当しないのに掲示物を撤去した場合には、組合活動に対する支配介入として不当労働行為に当たることになり、逆に、会社が撤去要件に該当する掲示物を撤去した場合には、不当労働行為に当たらないことになる。もっとも、撤去要件に該当するかを検討するに当たっては、当該掲示物が全体として何を訴えようとしているのかを考慮すべきであって、当該掲示物の記載内容の細部の記載内容のみにとらわれることがあってはならないとされた例。
② 掲示物を撤去することが組合活動に対する妨害行為として支配介入の不当労働行為に当たるかを判断するに当たっては、掲示物の記載内容が形式的に撤去要件に該当するとみられる場合にはその撤去は不当労働行為に当たらないと解することは適当でなく、仮に形式的に撤去要件に該当するとみられる場合であっても、当該掲示物の掲示が実質的に会社の運営等に与える支障の内容、程度、さらには、当該記載内容が真実であるかどうかなどの事情に照らして、掲示物を掲示した行為が、正当な組合活動として許容される範囲を逸脱していないと認められるときは、この掲示物を撤去する行為は不当労働行為に当たると解すべきであるとされた例。
③ 掲示物の掲示により、実質的に会社の運営等に与える支障を考えるに当たっては、
.会社あるいは個人のどのような信用にかかるものか、
.誰の信用にかかるものか、
.記載内容はそれらの信用をどの程度傷つけるのか、
などの事情が考慮されなければならないとされた例。
④ 掲示物の記載内容の真実性の観点からは、記載された事実又は記載された意見の前提事実が真実であるかどうか、それが真実とは認められない場合であっても、組合がその事実や意見を記載したことに相当の根拠、理由があるかどうかを検討する必要があるとされた例。
⑤ さらに、個々の掲示物を掲示する行為が正当な組合活動として許容される行為かどうかを判断するに当たっては、掲示板の設置されている場所、ひいてはその主たる読者が誰であるかという事情を考慮する必要があるとされた例
⑥ 右記により検討したところ、18点のうち、2点の掲示物の撤去が不当労働行為に当たるとした本件命令の判断には誤りがあるが、8点の掲示物の撤去が不当労働行為に当たるとした本件命令の判断に誤りはないとされた例。

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成11年(不)第97号 一部救済 平成15年3月27日
中労委平成15年(不再)第20号 一部変更 平成17年7月20日
東京地裁平成17年(行ウ)第378号 一部取消 平成18年10月5日
最高裁平成19年(行ツ)第237号
平成19年(行ヒ)第255号
上告棄却、不受理 平成20年11月25日
 
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