労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 東日本旅客鉄道(豊田電車区)
事件番号 東京高裁平成18年(行コ)296号
控訴人 国(処分をした行政庁 中央労働委員会)
控訴人補助参加人 個人X
東日本旅客鉄道株式会社
判決年月日 平成19年6月18日
判決区分 全部取消
重要度  
事件概要 本件は、会社が、国労臨時大会の会場付近で公務執行妨害罪の疑いで逮捕拘留された組合員Xに対し、釈放後、①同人を日勤勤務とし、約3ヶ月にわたり除草作業を命じたこと、②その後更にリネン業務と電車の乗務等が混在する勤務に就かせたこと、③支社企画課長が同人の組合活動を批判する言動をしたことが不当労働行為であるとして、申立てがあった事件である。初審東京地労委は、会社に対し、①一定期日以降の日勤勤務指定についてはなかったものとして取り扱い、従前の運転士業務へ復帰させること、②従前の運転士業務に復帰させるまでの間の乗務員手当等のバックペイ、③支社企画課長をして申立人に組合活動に対し介入する言動をしてはならないことを命じ、その余の申立ては棄却し、中労委は、再審査申立てを棄却した。会社は、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起し、同地裁は、中労委命令を取り消した。中労委は、これを不服として東京高裁に控訴を提起していたが、同高裁は、中労委命令を取り消した原判決を取り消し、会社の請求を棄却した。
判決主文 原判決を取り消す。
被控訴人の請求を棄却する。
訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする。
判決の要旨 1、本件各指示(除草指示及びリネン指示)の不当労働行為該当性について
① 本件Xの7月逮捕から2ヶ月半近く経過した9月25日の時点では、Xに対する捜査機関からの呼び出し等の可能性があったとは認め難い。また、会社が行う事情聴取であればXの勤務時間を考慮することもできるはずである。したがって、10月分の勤務をすべて日勤に指定した9月25日の時点においては、会社がXに対してそのような勤務指定をする必要性を認めることはできず、交番勤務に復帰させるべきであった。また、会社は、Xに対し暑熱の時期を含めて既に2ヶ月半近い長期にわたり、しかも、出退勤する従業員が見通すことができる場所において、ただ1人で除草作業に従事させてきたのであり、Xに自覚と反省を促す人事管理上の措置としてみても、10月以降もこれを継続する合理的理由を認めることはできない。Xはこの勤務指定により、この間の電車の乗務手当等を受けることはできず経済的不利益を受けたことは明らかであるとされた例。
② 会社は、Xが組合の少数派に身を置き、国鉄民営化反対を基本路線としていた従前の国労の指示に従い、最後まで国労バッジを着用しており、しかも7月1日の国労臨時大会において4党合意受け入れ反対の抗議行動に加わり逮捕されたものであるから、会社が一連の中村の組合活動を注視し、その活動自体を快く思っていなかったことは優に推認することができる。Xは他の運転士に比べて不安定な勤務指定を受け、これ自体不利益な取扱いに該当するというべきであって、会社のXへの除草作業等の各指示は、人事管理の措置にすぎないとみることはできず、不当労働行為(不利益な取扱い)に該当するとされた例。
2、本件Y課長発言の不当労働行為性について
③ 本件Y課長発言には、Xに対する不利益取扱いを示唆した部分やXの組合活動の当否そのものに言及した部分が含まれており、旧知の間柄とはいえ、現在では交流のない幹部(支社の課長)と一組合員という両者の関係に照らすと、本件Y課長発言は、自己の地位を利用してのXの組合活動批判等の意図によるものと認めるのが相当である。
そして、この面談はZ区長が設定し、勤務中のXの業務を中断させた上で、Xを八王子支社に赴かせ、勤務時間内に行われたものであって、具体的人事に関わる発言がされたことを併せ考慮すると、本件Y課長発言は、Z区長の意を体してなされたものと見ざるを得ない。したがってY課長はZ区長の意を体して、Xの国労組合員としての組合活動を批判し、同人の国労組合員としての活動に介入したものというほかはないとされた例。

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委平成12年(不)第95号 一部救済 平成14年8月27日
中労委平成14年(不再)第47・48号 棄却 平成17年10月19日
東京地裁平成17年(行ウ)第589号 全部取消 平成18年10月23日
東京地裁平成18(行ク)第50号 緊急命令申立ての却下 平成18年10月23日
最高裁平成19年(行ヒ)第272号 上告不受理 平成20年10月31日
 
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