労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 光仁会
事件番号 東京地裁平成18年(行ウ)556号
原告 医療法人光仁会
被告 国(裁決行政庁 中央労働委員会)
被告補助参加人 全国一般労働組合長崎地方本部長崎地区合同支部
判決年月日 平成19年8月29日
判決区分 棄却
重要度  
事件概要  医療法人が、①その経営する病院の従業員である組合員X1及び同X2に対する師長から主任への降格人事を予定していたところ、これに関する組合が申し入れた団体交渉に応じなかったこと、②組合が①の病院の対応を批判する組合ビラを配布したことに対して、これに反論する病院ビラを配布したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、初審長崎県労委は、医療法人に対し、X2の降格人事に関する誠実団交応諾を命じ、その余の申立てを棄却した。
 医療法人は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、本件再審査申立てを棄却した。医療法人は、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は医療法人の請求を棄却した。
判決主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、補助参加によって生じた費用を含め、原告の負担とする。
判決の要旨 (争点)
 Y病院が、X組合と、X1組合員の降格人事に関する団体交渉をすることを正当な理由がなく拒んだかどうか。
① X組合は、Y病院に対し、X組合員の降格人事に関する団体交渉を早急に行うようにY1事務長等に申入れたが、Y病院はX組合に対し具体的な回答をしないまま、X1組合員の降格人事を発表したこと、本件団体交渉について問い合わせたところ、Y1事務長は「本件降格人事は、法的な手続でしており、交渉する考えはない。」と述べたことからすれば、Y病院は、X組合の団体交渉の申入れに対して、正当な理由がないのに、団体交渉に応じていなかったと認められるとされた例。
② X組合は、X1組合員の手当を急に減額しないこと、主任に降格後では師長に指導を行うことができないことから病棟長、指導主任といった名称の役職への任命を考えることを要求し、それらについて回答を求め団体交渉を申し入れていたが、Y病院は、降格人事後の団体交渉において、X1組合員らの降格後の処遇については主任と説明したのみであり、X組合員らの手当の急な減額をしないこと及び病棟長及び指導主任といった名称の役職への任命について、その可否及び理由についてなんら説明しなかったのであるから、降格人事後の団体交渉において、誠実交渉義務を尽くしたとは言えず、X組合と不誠実な団体交渉をしたと認められるとされた例。
③ Y病院は、本件協約を遵守しないというだけの手続違反によって不当労働行為が成立しないというが、東京都労委命令は本件協定に反していることを不当労働行為としているのでなく、本件協約を知らなかったとしても、団体交渉に応じなかったことを正当化できないとしているのであるから、不当労働行為が成立しないとする主張は失当であるとされた例。
④ 東京都労委命令が出された後に行われた団体交渉において、Y病院は、手当の維持について、支給規定がないこと、他の従業員は師長手当相当分を減額されたまま勤務していること等を説明したと述べるが、手当の支給規定はY病院の権限に属するのであるから、手当支給を困難とする理由におよそなり得ないにもかかわず、そのような理由を挙げていること自体誠実な態度とはいえない上、保健師助産師看護師法に基づく行政指導による降格人事であるので、慣行となっていた従前の降格人事とは異なるのであるから、他の従業員と平等を欠くというだけでは足りず、Y病院は主張の根拠を具体的に説明をしていないのであるから、本件東京都労委命令後の団体交渉をもって、X組合と誠実に団体交渉をしたとはいえないとされた例。

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
長崎県労委平成16年(不)第4号 一部救済 平成17年9月21日
中労委平成17年(不再)第67号 棄却 平成18年9月19日
東京高裁平成19(行コ)第306号 棄却 平成20年2月20日
最高裁平成20年(行ツ)第161号
最高裁平成20年(行ヒ)第176号
上告棄却、上告不受理 平成21年6月9日
 
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