労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  みのり農業協同組合
事件番号  神戸地裁平成18(行ウ)18号
原告 みのり農業協同組合労働組合
被告 兵庫県(処分行政庁 兵庫県労働委員会)
被告補助参加人 みのり農業協同組合
判決年月日  平成19年9月11日
判決区分  一部取消
重要度   
事件概要   本件は、①ライフアドバイザーの就業時間の変更に関する団体交渉におけるY農協の対応が団体交渉拒否に該当すること、②労働時間管理に関する不誠実団交、③組合のメール便使用に対する制限、組合員に対する上司の言動、労働協約の部分解約及び会議等における農協役員の発言等が不当労働行為であるとして争われた事件である。
 兵庫県労委は、Y農協に対し、誠実団交応諾を命じ、その余の申立てを棄却した。X組合は、これを不服として神戸地裁に行政訴訟を提起し、同地裁は兵庫県労委の命令の一部を取り消すとの判決を言い渡した。
判決主文  1 処分行政庁が、平成15年(不)第6号、平成16年(不)第3号及び平成16年(不)第5号不当労働行為事件につき平成17年9月15日付けで原告に対してした命令のうち、別表の申立て①及び申立て④の救済命令の申立てを棄却した部分を取り消す。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用のうち、補助参加により生じた費用は、これを3分し、その2を補助参加人の負担とし、その余を原告の負担とし、その余の費用は、これを3分し、その2を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
判決要旨  ① ライフアドバイザー(LA)の就業時間の変更について
 LAの就業時間の変更は、恒常的なものであるから、これを変更するためには就業規則の変更手続を踏まなければならず、この変更は、一部のLAについては夜間の時間帯にまで就労を義務付けることになるから、労働条件に重大な影響を及ぼすことは明らかである。使用者は、労働者の労働条件に関する事項であって、使用者に処分権限がある事項については、団体交渉に応じる義務があると解され、就業規則の変更に関する事項はもとより、組合員との労働契約の内容に関する事項なども団体交渉の対象となるのであり、LAの就業規則の変更の問題についても、Y農業協同組合は、当然、団体交渉に応じる義務がある。しかしながら、Y農協の対応をもって、この問題につき団体交渉に応じたと評価することなどできない。
 したがって、本件命令のうち、LAの就業時間に変更の団体交渉の申立てを棄却した部分は、労組法7条2号の解釈適用を誤った違法があり、取消しを免れない。 
② 脱退勧奨及び誹謗中傷について
  Y農協のY1課長及びY2支店長らは、X組合の組合員X1、X2に対し、脱退を勧奨し、組合活動を行うことで人事上の不利益を受ける旨を告知している。Y農協は、Y1課長及びY2支店長らによる本件脱退勧奨等の事実を否定するが、X1、X2は、労働委員会の審問において、本件脱退勧奨等があった事実を極めて具体的に証言しており、彼らは公の場でそのような証言をした場合、有形無形の不利益を受ける可能性こそあれ、個人的な利益を得るわけではないのであるから、それにもかかわらず、本件脱退勧奨等があったと証言しているのであり、彼らの証言を虚偽の疑いがあるなどと軽々に排斥することは困難であって、彼らの証言には信用性を認める。Y1課長及びY2支店長の地位にかんがみれば、本件脱退勧奨等はX組合の活動に重大な影響を及ぼさざるをえないし、本件脱退勧奨等の内容に照らせば、これがX組合の活動に重大な影響を及ぼす意図の下にされたことは明らかであり、本件脱退勧奨等は、労組法7条3号所定の不当労働行為に該当する。
したがって、本件脱退勧奨等の事実を認定しなかった処分行政庁の判断は誤りであり、本件命令のうち、この部分の申立てを棄却したことは違法である。
Y3組合長がX組合を誹謗中傷する発言をしたとの事実については、これを認定するための証拠資料が十分ではないというべきであり、Y4専務が「労働組合とうまくいっているのが勝ち組で、交渉でもめているようなところは負け組が多い」と発言したこと自体は当事者間に争いはないが、この発言が、どのような意図で行われたかは証拠上確定しにくいのであり、労使関係についての一般論ないし個人的な感想と解する余地もないわけではないのであって、この発言を取り上げてX組合に対する不当労働行為と評価することは困難といわざるをえない。したがって、本件命令のうち、「Y農業協同組合が、会議、朝礼等でX組合の活動を誹謗中傷することにより、X組合の活動に支配介入してはならない。」という申立てを棄却した部分の取消しを求めるX組合の請求には理由はない。
③ X組合のその余の申立てについては、失当として棄却する。

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
兵庫県労委平成15年(不)第6号、平成16年(不)第3・5号 一部救済 平成17年9月15日
大阪高裁平成19年(行コ)第111号 棄却 平成20年6月26日
 
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