労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  ブックローン(懲戒処分等)
事件番号  東京地裁平成18年(行ウ)579号
原告 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部
被告 国(裁決行政庁 中央労働委員会)
被告補助参加人 ブックローン株式会社
判決年月日  平成19年9月19日
判決区分  棄却
重要度   
事件概要   会社が、①支部が開催した社前抗議集会に参加した分会員を懲戒処分とし、これを理由に賞与を減額して支給したこと、②支部が同懲戒処分等について申し入れた団体交渉に誠実に応じなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、初審兵庫県労委は、本件申立てを棄却した。
 組合はこれを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、本件再審査申立てを棄却した。組合はこれを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は組合の請求を棄却した。
判決主文  1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、参加により生じた費用を含め、原告の負担とする。
判決要旨   (争点1)不利益取扱い(懲戒及び賞与の低査定)
1 本件集会が正当な労働組合活動であるか。
ア 労働組合の組員が、街頭において意見を主張したり、ビラを配布したりすることは、憲法28条の団体行動権として保護され、また、憲法21条1項の表現の自由として保護されるが、それによって他人の権利、法的利益を違法に侵害することまで許容されるものではないから、その内容及び態様等が、社会通念上相当なものと認められない場合には、違法な組合活動であるというべきである。
イ 組合は、12月集会及び6月集会おける街頭宣伝活動により、他人の名誉信用を毀損したり、他人の生活の平穏を侵害したり、他人の業務を妨害したりしたと認められるから、当該街頭宣伝活動は、違法的なものであって、正当な組合活動であるとは認められない。
2 本件懲戒及びこれを理由とする賞与の低査定が不利益取扱いに当たるか否か
ア 組合が本件集会を行い、本件分会員が本件集会に参加したことは、会社の就業規則にいう会社関係者及び第三者に対する破廉恥行為、迷惑行為又は違法行為に当たり、本件懲戒に関する会社の裁量に逸脱乱用は認められないから、本件懲戒は正当である。本件集会で発言していない分会員も、同集会の内容及び態様について容認し、参加したのであるから、会社はこれらの者に対しても懲戒することができる。
イ 本件懲戒に基づく平成15年度賞与の低査定についても、賞与査定に関する会社の裁量の逸脱濫用は認められず、当該査定は正当である。
ウ 本件懲戒及びこれを理由とする賞与の低査定のいずれも労組法七条一号の不利益取扱いに当たらない。
(争点2)団体交渉について
1 12月懲戒について
 会社は、12月懲戒に直ちに応じていないが、平成15年7月11日の団体交渉において、組合に対し、同懲戒の対象とした事実及び理由と根拠が記載された文書を交付して、これを読み上げており、このように懲戒理由を示した以上、交渉義務を果たしたというべきである。団体交渉が遅れて行われたことについては、様々な経緯があったとことから、必ずしも不当に遅延したとまではいえず、既に当該事項につき団体交渉が尽くされている以上、団体交渉拒否の救済理由の利益は消滅している。
2 人事の事前協議協定について
 平成14年9月20日、同年11月29日及び同年12月12日の団体交渉における会社の対応をもって、会社は誠実交渉義務を果たしたというべきであり、その後の団交申入れに対し、会社が団体交渉に応じなかったことには正当な理由がある。
3 組合活動に関する協定について
 会社は、平成14年9月20日の団体交渉において、新たに協定を締結する意思がないことを解答し、これに対し組合は、同日、同年11月29日及び同年12月12日の団体交渉において質問をしていないことからすると、既に双方の協議は尽くされたといえ、団体交渉の拒否につき正当な理由がある。
4 職能等級制度について
 既に平成14年12月までに団体交渉の対象とされ、おおむね質疑も出尽くし、これ以上の交渉による進展は見込めない状況に至っていたというべきであるから、会社が団体交渉に応じなかったことには正当な理由がある。
5 平成15年度賃金及び同年度夏季賞与の引下げについて
 平成15年4月3日、同月18日及び同年5月28日の3度の団体交渉において、交渉は決裂したものと会社が判断したことは不当とはいえず、また、夏季賞与については組合がこれを承諾しており、団体交渉を拒否したことには正当な理由がある。
6 12月懲戒に基づく平成15年度夏季昇賞与の低査定について
 会社は平成15年7月11日の団体交渉で、12月懲戒事態についての説明をしており、その協議が尽くされている以上、これに基づく賞与の低査定についても更に協議の余地はなかったというべきであり、会社が団体交渉を拒否したことには正当な理由がある。
7 6月懲戒について
 6月懲戒については、会社が組合に対し文書交付をしたのみで、団体交渉は行われていないものの、会社は、6月懲戒の根拠を掲載した文書を交付して、その理由を明らかにしており、かつ、これらは基本的に12月懲戒と同趣旨のものであるから、12月懲戒についての団体交渉については、協議が尽くされていたと解される以上6月懲戒についてのみ団体交渉を行うことに意義をみいだしがたいから、正当な理由がなく団体交渉を拒否したものということは困難である。

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
兵庫県労委平成15年(不)第1号、平成16年(不)第2号 棄却 平成17年6月16日
中労委平成17年(不再)48号 棄却 平成18年4月5日
東京高裁平成19年(行コ)第355号 棄却 平成20年2月27日
 
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