労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 モリタエコノス外1社
事件番号 東京地裁平成19(行ウ)第455号
原告 株式会社モリタ
原告 株式会社モリタエコノス
被告 国(裁決行政庁 中央労働委員会)
被告補助参加人 大阪地域合同労働組合
被告補助参加人 大阪地域合同労働組合モリタ管理職ユニオン分会
判決年月日 平成20年2月27日
判決区分 棄却
重要度 重要命令に係る判決
事件概要 Y会社は、平成15年10月1日に会社を分割した(分割会社のことを分割Y会社という。)。X組合及びその分会(X組合らという。)は、①Y会社が、X組合らに事務所及び掲示板を貸与しなかったこと、②Y会社が平成15年10月1日実施予定の本件会社分割に関する団体交渉に誠実に応じなかったことが不当労働行為に当たるとして、大阪府労委に救済を申立てたところ、大阪府労委は上記①、②が不当労働行為であると認めて、Y会社及び分割Y会社の双方に文書の交付等を命じた。
 これに対して、Y会社らは、この命令を不服として、中労委に再審査を申し立てたところ、上記①、②は不当労働行為であると認めたものの、分割Y会社にX組合らに対する文書の交付を命じることを取り消すなど大阪府労委の命令を一部を変更した上で、その余の本件再審査申立てを棄却する旨の命令(本件命令という。)を発した。
 本件は、Y会社らが、本件命令を不服として、その取消しを求めた事案である。
判決主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は、参加により生じた費用を含め、原告らの負担とする。
判決の要旨 (争点1)
 Y会社らのX組合の分会に対する事務所等の不貸与が、労組法7条3号の支配介入に当たるか。
① 労働組合による企業の物的施設の利用は、本来、使用者との団体交渉等による合意に基づいて行われるべきものであり、貸与するかどうかは原則として使用者の自由に任されているということができる。
  しかし、同一企業内に複数の労働組合が併存している場合には使用者としては、すべての場面で各労働組合に対し中立的な態度を保持し、その団結権を平等に承認、尊重すべきであり、各労働組合の性格、傾向、従来の運動路線等のいかんによって、一方の労働組合をより好ましいものとしてその組織の強化を助けたり、他方の労働組合の弱体化を図るような意図に基づいて両労働組合を差別し、一方の労働組合に対して不利益な取扱いをすることは、同労働組合に対する支配介入に当たるというべきである。
② 上記のことを本件についてみると、Y会社が会社内の他の組合に対しては事務所等を貸与しながら、X組合分会に対しては貸与しないという異なる取扱いをすることに合理的な理由があるとはいえない。したがって、Y会社がX組合分会に対して事務所等を貸与しないことは、これによってX組合分会の組合活動に支障をもたらし、その弱体化を図ろうとする意図を推認させるものとして、支配介入に当たるというべきである。そして、本件会社分割により、Y会社とX組合分会との労働契約関係は、分割Y会社に継承されたというべきであるから、分割Y会社はY会社の支配介入に関する不当労働行為を継承したというべきである。
③ 労組法上の使用者性を基礎づける労働契約関係は、必ずしも現実の労働契約関係のみをいうのではなく、これに近接する過去の時点における労働契約関係の存在もまた、労組法上の使用者性を基礎づける要素となると解するのが相当であるから、本件会社分割前後で法人格に何ら変動もないY会社とX組合の分会の分会員との間に、本件会社分割前おいて労働関係が存在し、事務所等の貸与問題も、労働関係が存在した時期において生起したものである以上、分割後の新Y会社が使用者たる地位を失うことはないと解するのが相当である。
(争点2)
 Y会社らの本件会社分割に関する団体交渉における対応は、労組法7条2号に不誠実な団体交渉に当たるか。
① 使用者が誠実に団体交渉をしたか否かについては、団体交渉の申入れの段階における対応、交渉事項の内容、労働者側の態度等の具体的事情に応じて、団体交渉の場において労使の対立点を可能な限り解消させる努力を行っていたか、そのための方法として、労働組合が検討可能な客観的な資料を提示するなどして、自己の主張の根拠を具体的に説明するなど相手方の納得を得るよう努力したかなどの観点から判断するのが相当である。
② 本件については、Y会社は、分割Y会社事業部関連の債務の負担、分割Y会社に対する設備投資及び研究開発投資、労働条件の不変更、経常利益の見込み等については説明しているものの、X組合分会らの要求にもかかわらず、財務諸表等の客観的な資料に基づいて、分割Y会社の収益見込みの根拠を具体的に説明していないのであるから、Y会社のかかる対応は、労組法7条2号の不誠実な団体交渉に当たるというべきである。

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成15年(不)第60・67号 全部救済 平成17年3月30日
中労委平成17年(不再)第29・30号 一部変更 平成19年6月6日
 
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