労働委員会関係裁判例データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[判例一覧に戻る]   [顛末情報]
概要情報
事件名 東日本旅客鉄道(千葉動労組合掲示板等)
事件番号 東京地裁平成18年(行ウ)第359号
原告 国鉄千葉動力車労働組合
被告 国(採決行政庁:中央労働委員会)
被告補助参加人 東日本旅客鉄道株式会社
判決年月日 平成20年9月17日
判決区分 棄却
重要度  
事件概要 X組合は、Y会社が従前行っていた掲示板の貸与、団体交渉出席のためのY会社の施設の一時使用等の便宜供与を一方的に拒否し、以後同便宜供与を行わないことが労組法7条3号(支配介入)に当たるとして、千葉県労委に救済命令を申し立てた。千葉県労委はX組合の申立てを認めて、Y会社に従前どおり便宜供与を行うこと等を命じる決定をしたところ、Y会社はこれを不服として中労委に再審査を申立てた。
 中労委は、Y会社からの再審査申立てに、理由があるとして千葉県労委の救済命令を取り消し、X組合の救済申立てを棄却する旨の命令(以下「本件命令」という。)をした。
 本件は、X組合が本件命令を不服としてその取消を求めた事案である。
判決主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、補助参加によって生じた費用を含め、原告の負担とする。
判決の要旨 1 使用者において、併存する複数の労働組合に対し、ほぼ同一の時期に同一内容の便宜供与に関する提案を行い、併存する組合(多数派組合)が使用者との間に一定の条件の下で便宜供与に関する協定を締結してものの、他方の組合(少数派組合)がより有利な条件を主張して使用者の提案に反対の態度を採り、使用者も多数派組合との合意を踏まえて譲歩しなかったため、便宜供与に関する協約締結に至らず、その結果、後者の組合の組合員が使用者から便宜供与を受けられず、前者の組合との間に便宜供与に関し、取扱いに差異を生じることになった場合、使用者が後者の組合の組合に便宜供与を認めない措置・対応について不当労働行為(支配介入)が成立するのは、使用者の提案内容自体が違法・不当なものであるとか、当該交渉事項については既に当該組合に対する団結権の否認ないし同組合に対する嫌悪の意図が決定的動機となって行われた行為があり、当該団体交渉がそのような既成事実を維持するために形式的に行われているものと認められる特段の事情が存する場合に限られるというのが相当である。
2  上記判断基準に基づき、本件の各検討結果を総合して判断するに 、Y会社の提案内容自体が違法・不当なものであるとか、便宜供与については既にX組合に対する団結権の否認ないしX組合に対する嫌悪の意図が決定的動機となって行われた行為があり、これに関連した団体交渉がそのような既成事実を維持するために形式的に行われているものと認められる特段の事情が存するとはいえないから、Y会社がX組合に便宜供与(施設の一時使用)を認めない措置・対応について不当労働行為(支配介入)は成立しないというのが相当である。
3 Y会社は、新規程改正により、便宜供与に関する労働協約を締結していない労働組合についても、施設の一時使用を許可するという制度を採用している。したがって、Y会社による施設の一時不許可が支配介入に当たるというためには、施設の一部使用について、Y会社がX組合の組織や活動を嫌悪してことさら許可を与えなかったとか、他の労働組合と意図的に取扱いを異にし許可を与えなかったという事情があることを要するというのが相当である。
本件についてみると、こうした事情があるとはいえないことから、Y会社による施設の一時使用に関する対応について不当労働行為(支配介入)は成立しないというのが相当である。
4 不当労働行為救済命令申立事件における審査においては、裁判におけるのと同じ意味でのいわゆる直接主義の要請は法理上はなく、また、具体的な事件について、終結した審問手続を再開するかどうかの判断は審査委員の裁量に委ねられており、審問終結後に審査委員の交代があったり、審問終結から相当の時間の経過があったとしても、中労委において、審問を再開したり、審問再開申出の機会を当事者に与える義務があるとまではいえない。

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
千葉地労委平成平成2年(不)第2号 一部救済 平成9年2月12日
中労委平成9年(不再)第9号 一部変更 平成17年12月7日
東京高裁平成20年(行コ)第369号 棄却 平成21年7月22日
 
[全文情報] この事件の全文情報は約364KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。