労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 広島県(教育委員会)
事件番号 東京地裁平成19(行ウ)762号
原告 広島県
被告 国(処分行政庁:中央労働委員会)
被告補助参加人 広島県高等学校現業職員組合
判決年月日 平成20年10月16日
判決区分 棄却
重要度 重要命令に係る判決
事件概要 県の県立学校では、長年にわたってX組合の組合員を含む教職員が、勤務時間中に労働組合等の活動を行うためにいったん教頭に年休届などをしておいて何事もなければ後にこれを破棄するなどの方法により、職場を離脱することが慣行的に行われていた(以下この慣行を「組合年休」という。)ところ、県教育委員会は、同慣行を無効とする通達を発し、組合員による同慣行の実施状況について調査を行い、調査に応じなかった組合員に対して懲戒処分を行った。
 X組合は、県教育委員会が行った、①組合年休の労使慣行を無効とする通達を発して同慣行を一方的に破棄したこと、②職務命令により組合員の組合年休の取得状況につき調査を行い、調査に応じなかった組合員に対して懲戒処分をしたこと、③懲戒処分に関する事項を団体交渉事項とする団体交渉申入れに対し、申入れにかかる団体交渉事項は、地方公営企業等の労働関係に関する法律第7条の管理運営事項であるとして団体交渉を拒否したことなどの行為が不当労働行為であるとして、広島県労委に救済申立てを行った。
 広島県労委は、県に対し、上記③については不当労働行為に該当するとして、X組合の団体交渉申入れに対して団体交渉応諾を命じ、その余の申立てについては棄却した。
 県はこれを不服として、中労委に再審査を申し立てたところ、中労委は、団体交渉応諾を命じた初審命令主文1項を、組合員の昇給延伸の基準などの労働条件に関する事項についての団体交渉応諾と訂正した上で、再審査申立てを棄却した(以下「本件命令」という。)。
 本件は、県が本件命令を不服として、その取消しを求めた事案である。

判決主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用(補助参加費用を含む。)は、原告の負担とする。
判決の要旨 ① 個々の懲戒処分自体は管理運営事項に当たるから、具体的な懲戒処分の当否は、義務的団体交渉事項には当たらない。
② X組合の書記長と県の担当者の折衝等の認定事実と照らすと、団体交渉申入れにおいて、表題に「懲戒処分に対する団体交渉」を掲げ、交渉議題を「懲戒に関する事項について」とし、細目に「技術職員の職務」、「職場長との合意」を掲げており、上記のほかに交渉議題に関する具体的な記載はなかったものであるが、「技術職員の職務」という細目は、どのような検討、考慮をして本件懲戒処分をすることにしたのか説明を求める趣旨であると認められ、これは懲戒の基準に関する事項ということができ、労働条件に関する事項について団体交渉を求めていると解される。また、「職場長との合意事項」という細目は、組合年休や労使慣行の取扱いや効力について団体交渉を求める趣旨であると認められ、労働時間、休憩、休日及び休暇に関する事項その他の労働条件として、義務的団体交渉事項に当たるというべきである。
③ 県は、組合年休を行使して職場を離脱する行為は不法行為を構成するとして、そのような事項を議題とする団体交渉の申入れは形式を備えていたとしてもそれは労働組合の地位の濫用である、あるいは、違法で、労働者として守られるべき正当な権利でない要求や主張について団体交渉を拒否することには正当な理由があると主張するが、県の主張のとおり、組合年休が公務員の職務専念義務に違反する違法なものであったとしても、組合年休は、県の県立学校の校長の多くが、長年にわたって行われていることを認識し、現に行われていることを容認していたものであるから、このような長年の間行われていた労使慣行について、当事者の一方であるX組合が、県教育委員会、各校長、ひいては県に対し、当該労使慣行に関する団体交渉申入れを行うことは労働組合としての地位の濫用とはいえない。
 また、本件団体交渉申入れにかかるX組合の要求は、組合年休の行使を承認することを求めるものではなく、労使慣行の取扱いについて説明を求めているものであり、団体交渉を行うことが不法行為に加担し、助長するものでもなく、団体交渉をすることによって、組合年休を承認するよう合意すること自体が義務付けられるものでもないから、原告の主張は団体交渉拒否の正当な理由とはいえない。
④ 県は、県教育委員会とX組合との間では、現業職の行政職への転職と給与全般について平成18年6月に合意し、問題が決着したこと、組合年休については、その違法であることが広く知られて過去のものとなり、これを行使する者もいなくなった事情変更により本件命令を維持する利益が失われたから、本件命令は取り消されるべきであると主張するが、口頭弁論終結時において、X組合の組合員である現業職員が県になお存在することは明らかであり、本件団体交渉申し入れにかかる細目を含む労働条件に関する事項の団体交渉を行う利益が失われたと認めるに足りる主張立証はない。
⑤ 以上のとおり、県は、本件団交申入れにかかる交渉議題のうち労働条件に関する事項について、団体交渉に応じる義務があるにもかかわらずこれを正当な理由なく拒否したものであるから、団体交渉応諾を命じた本件命令に違法はない。


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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
広島県労委平成12年(不)第1号 一部救済 平成18年3月10日
中労委平成18年(不再)第23号 一部変更 平成19年11月7日
広島地裁平成18年(行ウ)第22号 棄却 平成20年5月21日
東京高裁平成20年(行コ)第395号 棄却 平成21年7月15日
広島高裁平成20年(行コ)第15号 棄却 平成21年9月17日
最高裁平成21年(行ヒ)第424号 上告不受理 平成22年3月25日
 
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