労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 神奈川都市交通
事件番号 横浜地裁平成18年(行ウ)第14号
原告 神奈川都市交通株式会社
被告 神奈川県(代表者兼処分行政庁 神奈川県労働委員会)
被告補助参加人 個人X1、都市交通労働組合
判決年月日 平成21年2月19日
判決区分 全部取消
重要度  
事件概要  Y会社は、神奈川県を中心にハイヤー・タクシー業を営む株式会社であるが、平成15年3月15日付けで、X組合の支部長であったX1を諭旨解雇処分(以下「本件諭旨解雇」という。)とし、X組合の執行委員長であったX2については、平成16年4月2日をもって雇止めとした。
 X組合は、これらは不当労働行為であるとして神奈川県労委に救済申し立てをしたところ、神奈川県労委は、X1に対する本件諭旨解雇は不当労働行為であるとして、救済申立ての一部を認容する救済命令(以下「本件命令」という。)を発した。
 本件は、Y会社が、本件命令を不服として、その取消しを求めた事案である
判決主文 神奈川労委がなした命令主文中、第1項及び第2項は、これを取り消す。
判決要旨 ① Y会社は、X組合は労働組合としての実態がない、X組合の組合活動は存在しない、Y会社とX組合の対立関係もなかった旨主張するが、X1に対する諭旨解雇がなされた当時、X組合には労働組合としての実態があり、Y会社とX組合との間には対立関係が認められ、また、Y会社は、組合員X1が支部長として組合活動していたことを認識していたと認められるから、Y会社の主張には理由がない。
② タクシー乗務員として勤務していたX1が、平成15年1月に速度違反を犯し、略式命令を受けたこと、平成14年6月、就業時間中にY会社から許可を受けずに営業車両を私的行為のために利用したこと、同月の就業時間中にY会社から許可を受けずに組合活動を行ったこと、平成8年度以降年に1回の頻度で制帽等不着用の違反をしたことについては、諭旨解雇理由となりうる懲戒事由がある。
③ X1は、自己の過失で交通事故を起こしたり、交通法規に違反して刑事罰に処されたりしたにもかかわらず、責任を他に転嫁し、自己の非を認めず、始末書の提出を拒むといった、反省の姿勢を示さなかったことが認められる。このような態度は、職業運転手としては極めて問題があると言わざるを得ず、十分に本件諭旨解雇の理由となりうるというべきである。
 なお、X組合は、最高速度違等を犯して摘発された他の乗務員で諭旨解雇の懲戒処分を受けた者はいない旨、営業車両の営業外使用や制帽等不着用について、他の事例では処分されていないとして本件諭旨解雇は不当に重い処分であるなどと主張するが、処分の軽重は、全ての懲戒事由を総合考慮した上で判断すべきものであるから、個々の事由を取り上げて他の事例と比較するX組合の主張は採用できない。
 さらに、X組合は、X1に対する本件諭旨解雇の手続が不適切であったと主張するが、本件諭旨解雇の主たる理由は、X1が速度違反により刑事処分を受けたこと及び始末書等の提出を拒み続けて自己の非を認めなかったことにあるものと認められ、これについて弁明の機会は与えられていることから、本件諭旨解雇に手続違反があるとはいえず、X組合の主張は採用できない。
 以上のことから、X1を本件諭旨解雇としたことは、行為と処分との均 衡を欠くもので他の乗務員との比較において理由のない差別的なものである とはいえず、本件諭旨解雇が社会通念上相当でないということはできない。
④ X組合とY会社との間では、X組合が別件訴訟を提起したり、Y会社が、問題のないX1の組合活動を本件諭旨解雇の理由に挙げたことからすれば、その組合活動の故に行われたのではないかとも考えられないではない。
 しかしながら、本件諭旨解雇の主たる理由としてY会社が重視していたことは、上記③のとおりであり、不当労働行為であることを認めるに足りる証拠はないというべきである。
 以上によれば、X1に対する本件諭旨解雇は、労働組合法第7条1号に該当する不当労働行為であるとはいえず、本件救済命令第1項及び第2項は違法であるから、これを取り消すこととする。

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
神奈川県労委平成16年(不)第3号 一部救済 平成18年3月31日
中労委平成18年(不再)第22号 棄却 平成21年1月21日
東京高裁平成21年(行コ)第111号 棄却 平成21年7月24日
最高裁平成21年(行ツ)第336号 上告棄却 平成22年2月4日
最高裁平成21年(行ヒ)第438号 上告不受理 平成22年2月4日
東京地裁平成21年(行ウ)第418号 棄却 平成23年4月18日
東京高裁平成23年(行コ)第194号 棄却 平成23年11月16日
最高裁平成24年(行ツ)第115号・平成24年(行ヒ)第133号 上告棄却・上告不受理 平成24年5月18日
 
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