労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 藤田勝商店
事件番号 東京高裁平成20年(行コ)第336号
控訴人 東京都(代表者兼処分行政庁 東京都労働委員会)
被控訴人 株式会社藤田勝商店
被控訴人補助参加人 東京管理職ユニオン
判決年月日 平成21年3月12日
判決区分 棄却
重要度  
事件概要  X組合は、Y会社に対し、X組合の組合員X1に係る「離職票発行の遅延による精神的・物質的被害に関する件」及び「上記に付随する事項」を議題とする団体交渉を申し入れたところ、Y会社は、X1との雇用関係が終了していることを理由に団体交渉に応じなかった。
 X組合は、Y会社の対応が不当労働行為であるとして、東京都労委に救済申立てをしたところ、東京都労委は、Y会社の対応は不当労働行為であるとして、Y会社に文書交付及び文書交付の履行報告を命じた。
 Y会社は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁は、本件命令は違法であるとして、これを取り消した。
 東京都労委は、これを不服として、東京高裁に控訴したが、同高裁は控訴を棄却した。
判決主文 本件控訴を棄却する。
判決要旨 ① 本件団交申入れの議題とされた事項は、「X1に対する離職票発行の遅延による精神的・物質的被害に関する件」とされており、離職票発行の遅延について損害賠償を求める趣旨と解される。また、本件団交申入れが行われた時期は、X1が希望する雇用保険給付の受給に必要な手続がすべて完了した後である。
  そうすると、本件団交申入れが行われた時点においては、Y会社と組合員X1との間の雇用関係は確定的に終了しているのみならず、離職票の発行手続に関しても、X1との雇用関係があったことを前提としてY会社が行うべきことは存在しない状態となっていたことが認められる。このように、使用者であったY会社は、雇用関係があったことを前提として行うべき義務はすべて尽くしているのであり、しかも、団交事項と解される損害賠償は、X1に対する離職票の発行手続が遅延したことによって損害が発生したという過去の事実を問題として損害賠償金の支払を求めるものであって、これについての団体交渉が行われたとしても、X1の労働条件その他の労働者の待遇そのものが左右されると認められず、また、全証拠からも本件団交申し入れにかかる事項に関して組合員である労働者の雇用関係に重要な影響を与えるような事情は認められないことも照らすと、本件団交申し入れに係る事項は、使用者が現に雇用する労働者の労働条件その他の待遇に関するものとはいえず、義務的団交事項であるとは認められない。
  本件団交申入れに係る事項が義務的団交事項ではない以上、Y会社が本件団交申し入れに対して、X1がY会社の雇用する労働者ではないことを理由として応じなかったことには正当な理由があるから、労組法7条2号の不当労働行為に当たらないことは、原判決記載のとおりである。
② 加えて、X組合は、本件団交申入理由として、Y会社が離職手続を適式迅速に行う義務を怠り、雇用保険の受給が約3か月遅れるなどしたため、組合員X1に精神的・物質的損害を与えたことだけを主張したこと、X1も、同事件における証人審問において、本件団交申入理由として「手続がおくれたことによって精神的苦痛もありましたし、実際に受給されるまでは私の持ち出しになっていた」ことだけを証言したことが認められ、以上の認定事実を併せ考慮すれば、本件団交申入事項は、専らX1に対する離職票発行の遅延についての損害賠償請求に関するものであったと認められるのであり、都労委が主張するような不当労働行為の問題は、本件団交申入れに係る団体交渉の議題として提示されていないと認められる。
  よって、Y会社の請求を認容した原判決は相当であり、本件控訴を棄却する。

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
東京都労委平成19年(不)第37号 全部救済 平成19年12月18日
東京地裁平成20年(行ウ)第121号 全部取消 平成20年9月18日
 
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