労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 東京都自動車整備振興会
事件番号 東京地裁平成19年(行ウ)第444号
原告 社団法人東京都自動車整備振興会
被告 国(処分行政庁 中央労働委員会)
被告補助参加人 全統一労働組合
判決年月日 平成21年3月16日
判決区分 棄却
重要度  
事件概要  本件は、法人が、平成13年度賃上げに関し、組合との間で平成12年度と同額(分会水準)で賃上げするとして妥結した後、既に妥結していた別組合(オアシス分会)と再交渉を行って組合との妥結内容を上回る水準(オアシス水準)で再妥結したため、組合が法人に対しオアシス水準と同様の内容を組合員に適用するよう求めたところ、法人がこれに応じなかったことが不当労働行為であるとして、申立てがあった事件である。
 初審東京都労委は、法人に対し、①組合員に対し、オアシス水準と同様の内容の賃金改定を行ったものとしての取扱い及び差額の支払い、②文書交付等を命じたところ、これを不服として法人から再審査の申立てがなされ、中労委は、本件再審査申立てを棄却した。
 法人は、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、法人の請求を棄却した
判決主文 原告の請求を棄却する。
判決要旨 1 救済申立資格の不備等の主張について
  原告は、本件命令には、労組法2条及び5条2項の要件を欠く補助参加人の救済申立資格を肯定した違法があると主張するが、使用者は、不当労働行為の救済命令が右要件を欠く組合の申立てに基づき発せられたことのみを理由として、その取消を求めることはできないから、原告の主張はそれ自体失当である。
  いわゆる合同労組は労組法上の労働組合に当たらないとの原告独自の見解はもとより、原告が補助参加人との関係で使用者ではないという主張も、採用する余地がない。
2 支配介入の成否について
(1) 原告は、オアシス水準策定に当たり、平均昇給率を同一にした場合には、平均昇給額において分会員が不利益になることを十分に認識していたことは明白である。ところが、原告は、オアシス分会に対しては、当初のオアシス合意より分会水準の方が有利であるとのオアシス分会の抗議を受け入れ、2度目の交渉の機会を設け、分会水準を上回るオアシス水準で再妥結しながら、分会に対しては、分会員と非分会員の平均昇給額をほぼ等しくする結果をもたらすオアシス水準の適用を求められたのに対し、平均昇給率が同じだから公平であるという、合理性を見出すことが困難な説明をするばかりで、それ以上の具体的な説明をしないまま、再妥結に応じていない。このような対応は、合意内容においても、交渉の機会の付与という手続面においても、分会員のみを差別的に取り扱うものであり、特段の合理性、必要性が認められない限り、支配介入に当たることになる。
(2)原告は、長年にわたり補助参加人及び分会に押し付けられてきた調整給の配分が、分会員を非分会員よりも不合理に優遇する原因となり、分会水準での妥結で不合理な格差が拡大することになったため、格差是正のために、オアシス水準で再妥結したと主張する。しかし、原告は、長年にわたって、原告自らの決定に基づいて右調整給の運用を行い、事務折衝の対象者に限定することなく、あまねく適用していたのだから、補助参加人及び分会に押し付けられてきたものとは考え難い。しかも、客観的に見ても、調整給の不公平な配分によって分会員と非分会員との賃金額に不合理な格差が生じていたとまでは認める根拠はない。
 他に、併存組合間で上記(1)のような差異を設けたことに、特段の合理性ないし必要性があったことを窺わせる事情は認められない。
(3)以上より、オアシス水準で再妥結し、これを分会員以外の全職員に適用しながら、補助参加人に対しては、分会員へのオアシス水準の適用の要求を拒否するという原告の対応は、併存組合存立下において使用者が取るべき中立的態度を放棄し、併存組合の一方である補助参加人及び分会のみを、合理的理由なく差別するものであるから、このような対応が、不当労働行為意思に基づくものと認められる限り、支配介入に該当するというべきである。
3 不当労働行為意思について
 上記2のとおり、原告の分会とオアシス分会への対応には、情報提供の面でも、団体交渉における対応の仕方にも、差異があることは明らかで、原告が、補助参加人よりも、オアシス分会との団体交渉を優先している姿勢が顕著に窺える。
 加えて、当時の背景事情として、平成13年度賃上げ交渉をめぐり補助参加人及び分会と原告の対立が先鋭化し、補助参加人及び分会は、争議行為も辞さないと表明したり、分会が幹部職員を批判する文書を原告の理事あてに送付等したのに対し、原告の理事、幹部職員が補助参加人に対する否定的評価や批判的認識を述べていることからすると、原告が、補助参加人の活動方針、活動態様等に否定的な考え方を持ち、オアシス分会との間で中立性を疑われてもやむを得ない認識を有していたと評価せざるを得ない。
 以上によれば、右の補助参加人に対する差別的取扱いは、原告が、オアシス分会の結成を契機として、原告の言い分を受け入れやすいオアシス分会を補助参加人よりも優遇することで、従来から、種々の権利主張を行い、特に、平成13年度賃上げ交渉をめぐって対立が激化していた補助参加人の影響力の減殺、弱体化を図るために行ったものと評価すべきであり、不当労働行為意思に基づくものと認められる。
4 救済方法について
 本件では、分会員へのオアシス水準の適用を合理的理由なく拒否し、平成13年度賃上げに関し、分会員のみを不利な立場に置いていることが支配介入に該当するのであり、分会員にもオアシス水準を適用することで、平均昇給額がほぼ等しくなり、平等取扱いの要請にかなうのであるから、支配介入によって生じた原告と補助参加人との労使関係の歪みを是正するための救済方法として、分会員にもオアシス水準を適用したものとして取り扱い、差額を支払うこと及び文書交付を命じたことに、裁量権の逸脱、濫用は認められない。

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委平成14年(不)第52号 全部救済 平成18年2月21日
中労委平成18年(不再)第17号 棄却 平成19年5月23日
東京地裁平成19年(行ウ)第444号(基本事件)(補助参加申立て事件) 訴訟参加申立ての許可 平成19年9月27日
東京高裁平成19年(行ス)第52号 補助参加許可決定抗告の棄却 平成19年10月24日
東京高裁平成19年(行ハ)第16号 補助参加許可決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告申立ての不許可 平成19年11月19日
東京高裁平成21(行コ)第144号 棄却 平成21年9月24日
最高裁平成22年(行ヒ)第17号 上告不受理 平成23年4月14日
 
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