労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 オンセンド
事件番号 東京高裁平成20年(行コ)第394号
控訴人兼原審第566号事件参加人 株式会社オンセンド
控訴人兼原審第390号事件参加人 三重一般労働組合
被控訴人 国(処分行政庁 中央労働委員会)
判決年月日 平成21年6月18日
判決区分 棄却
重要度  
事件概要 1 本件は、衣料品等の小売りを業とする会社の次の行為が不当労働行為であるとして争われた事件である。
 ア 平成15年6月16日付けで組合加入の通告のあった組合員X1(パート従業員)に対し、会社人事部長Y1が同月17日及び18日に組合から脱退するように強要したこと
 イ 会社が組合員X1に対し、平成16年2月20日をもって会社との雇用契約が契約期間満了により終了した旨の通知をしたこと
 ウ 会社が平成16年3月に組合員X1の不当解雇撤回等を議題とする団体交渉を拒否したこと
2 初審三重県労委は、上記1のア及びイについては、不当労働行為に該当しないとして、上記1のウについては、現時点において組合の申し入れた団交事項について団交を命じることは適当でないとして、救済申立てを棄却した。
3 組合は、これを不服として再審査を申し立て、中労委は、上記1のア及びウは不当労働行為に該当すると判断し、次のとおり命じた。
 ア 組合員X1に対する脱退慫慂による支配介入の禁止
 イ 組合員X1の契約更新問題の解決方法等に関する団体交渉の実施
 ウ 文書手交(上記ア及びイについて)
 エ その余の救済申立ては棄却
 オ その余の本件再審査申立ては棄却
4 会社及び組合は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は双方の請求を棄却した。さらに、会社及び組合はこれを不服として、東京高裁に控訴したが、同高裁は、双方の控訴を棄却した。
判決主文 本件各控訴をいずれも棄却する。
判決要旨 1 当裁判所も、控訴人らの各請求は、いずれも理由がないと判断する。その理由は、次のとおり付け加えるほか、原判決が説示するとおりであるから、これを引用する。
 ア 会社は、原判決が人事部長Y1の面談時における組合員X1に対する言動を支配介入であると認定した点を非難する。
  しかし、人事部長Y1の平成15年6月17日の組合員X1との面談及び翌18日の電話における組合員X1に対する言動が不当労働行為(支配介入)に当たるとした原判決の認定判断は、原判決挙示に係る関係証拠に照らして正当と是認できる。すなわち、人事部長Y1が組合員X1との面談を求めた動機に同人の悩みを聴くということがあったとしても、主たる動機が組合員X1に対する説得活動であったと認めるに足りる事情があり、面談翌日に作成されて控訴人組合に送信された報告書等を裏付けとして、組合員X1の陳述書の記載及び労働委員会における供述を採用し、人事部長Y1の陳述書の記載及び労働委員会における供述を採用しなかった原判決の判断は正当である。
  したがって、会社の上記主張は採用できない。
 イ 会社は、これまでの団体交渉の経過、その後の組合員X1の行動、組合員X1を原告とし会社を被告とする地位確認・損害賠償請求事件が係属していること等の事情に照らすと、団体交渉による協議を尽くすことによって解決できる問題ではないから、団体交渉に応諾することを命ずる救済命令は、救済の利益がない旨主張する。
   しかし、組合員X1と会社との間に雇用契約上の地位の確認・損害賠償請求訴訟が係属しているとしても、訴訟以外における交渉による紛争の解決の道が閉ざされる理由はなく、訴訟の係属を理由として団体交渉を拒絶することはできず、救済の利益がないとすることはできない。また、会社が指摘するその他の事情を斟酌しても、なお、団体交渉による解決を図ることが無意味である状況にあるとは認められない。
   したがって、会社の上記主張は採用できない。
 ウ 組合は、会社による雇用打切りは信義に反し、権利濫用であるなどと主張し、会社による組合員X1の雇用打切りを不当労働行為(不利益取扱い)と認めなかった原判決を非難する。
   しかし、この点に関する原判決の認定判断は、原判決挙示に係る関係証拠に照らして正当と是認することができる。すなわち、会社が、組合員X1に対し更新契約の締結の打診をし、雇用契約書等を送付したにもかかわらず、組合員X1においては、従来の条件で働き続けること及び詳しい条件は組合と協議してもらいたい旨回答し、組合も、組合員X1の雇用関係は期間の定めのない雇用契約と変わらないものであるとして、雇用契約書にサインしないことを理由に契約解除することは違法であるという主張をするばかりで、具体的な協議に入らなかった等の経緯に照らせば、会社が、雇用期間の満了時までに、組合員X1との間で勤務条件を決定するための必要な更新手続が存しなかったことのゆえに組合員X1の雇用打切りを行ったことはやむを得ないものであり、信義則違反や権利濫用に当たるものということはできない。
   したがって、組合員X1の雇用打切りが不当労働行為に当たらないとした原判決の判断に誤りはなく、組合の上記主張は採用することができない。
2 以上の次第で、控訴人らの各請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、本件各控訴は理由がないからこれをそれぞれ棄却することとする。

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
三重県労委平成16年(不)第3号 棄却 平成18年1月6日
中労委平成18年(不再)第9号 一部変更 平成19年5月9日
東京地裁平成19(行ウ)390(第1事件)・566号(第2事件) 棄却 平成20年10月8日
 
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