労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 広島県教育委員会事件
事件番号 広島高裁平成20年(行コ)第15号
控訴人 広島県高等学校現業職員組合
個人3名
被控訴人 広島県(代表者兼処分行政庁広島県教育委員会)
判決年月日 平成21年9月17日
判決区分 棄却
重要度  
事件概要  本件は、X組合の組合員の使用者であるY教育委員会が、①X組合及び組合員らとの間で成立していた「組合年休」の労使慣行を一方的に破棄したこと、②「組合年休」の行使状況について調査を行い、この調査に応じなかったX組合の組合員に戒告処分を行ったこと、③当該戒告処分に関わる団体交渉を拒否したことなどの行為が不当労働行為に当たるとして争われた事件である。
 広島県労委は、誠実団交応諾以外の請求を棄却したところ、X組合らはこれを不服として、当該命令の棄却部分の取消しを求めて広島地方裁判所に行政訴訟を提起したものである。また、X組合員らは広島県労委の命令の取消しと併せて、Y教育委員会がした本件戒告処分の取消しを求めた。
広島地裁は、X組合らの請求を棄却し、本件戒告処分取消しを求める訴えについては却下した。
 X組合らは当該判決を不服として、広島高裁に控訴したところ、同裁判所は組合らの控訴を棄却した。
判決主文 本件各控訴を棄却する。
判決の要旨 ① 争点1(本件戒告処分の取消請求が行政訴訟法上の出訴期間 を経過したことに正当な理由があるか。)
  当裁判所も、本件戒告処分の取消請求につき行政事件訴訟法 上の出訴期間 を経過したことについて正当な理由はなく、X 組合らのこの点の控訴の趣旨 にかかる訴えを却下するのが相 当である。
② 争点2(組合年休について法的効力を有する労使慣行が成立しているか。)
  組合年休が、労使慣行として認められ、それが法的効力を有するためには同種行為または事実が相当期間にわたり反復継続されているだけでは足りず、少なくとも、その慣行が法令に違背するものではないことを要するというべきである。
  そこで、検討するに、公務員の就業時間中の組合活動のうち、組合の維持・運営に必要不可欠な限度内のものについては、労働組合7条3号但し書きや地公法55条の2第6項、同条を受けて制定された「ながら条例」の規定等に照らし、就業時間中、それに従事したからといって、労務提供の不履行とされるべきではない。他方で、上記法令の限度を超えた就業時間内の組合活動が有給であるべきでないのは、労働組合法7条3号本文の規定及び給与支払と労務提供が対価関係にある(民法623条)以上、当然といわなければならない。
  現業の地方公務員については、労働組合を結成し(地公法5条、同法付則5項)、労働協約を締結することが認められており(地公法7条、同法付則5項)、勤務条件条例主義の適用はない。しかし、だからといって、公務員である現業職員との間で上記限度を超える有給の労働組合活動を許容する労働協約を自由に締結することができるわけではない。その内容が公務員の服務の根本基準を定める地公法30条や職務専念義務を定める同法35条の趣旨に違反するときには当然に違法、無効というべきである。
  そして、給与を受けてする地方公共団体の職員団体のための職員の行為については、法律及び条例により制限され(地公法55条の2第6項)、これは教職員のみならず現業の職員に対しても適用されることからすれば、現業の職員がこれら法律や条令の規定に違背して職員団体のために活動することはできないというべきである。
  さらに、本件組合年休は、超過勤務時間とは連動せず、かつ、その行使に定量的な制約があるわけでなく、記録も残さないものであって、いわば組合活動のために有給の休暇を際限なく付与するものとの評価を免れず、服務の基準を定める地公法30条や職務専念義務を定める同法35条の趣旨に違反するものというべきであって、その有効性を見い出すことはできない。
  したがって、組合年休の慣行が法的効力を有する労使慣行として成立していたということはできず、この点に関する原判決の判断は、結論において正当である。 
③ 争点3(「労使慣行」「Y教育委員会による組合年休の調査及びそれに関連する職務命令」が不当労働行為として支配介入又は不利益取扱いに該当するか。)
 当該争点に対する判断は、一部、付加、訂正するほか、原判決「事実及び 理由」、「争点に対する判断」4「不当労働行為の成否について」の記載(64頁24行目から72頁3行目まで)のとおりであるから、これを引用する。
④ 争点3に対するX組合らの主張について
  X組合らは、Y教育委員会が、組合年休の取得を理由に懲罰を科するために、教職員らに違法な組合年休を取得させるがままにしていたと主張する。 しかしながら、Y教育委員会は、文部省からの是正指導に基づき、通知、ヒアリング、通達の発出などを行ってきたもので、組合年休の廃止が明示されなかったといえ、それを求める趣旨は含意されていたというべきであり、組合年休の慣行が直ちに是正されなかったのは、上記通達等の不徹底さと現場における是正についての切迫感ないし是正意識の乏しさに帰因するというべきであって、Y教育委員会が、当初から組合年休の取得を理由に懲罰を科すために教職員の組合年休の取得を放置していたとは認め難く、これを覆すに足りる証拠もない。
したがって、X組合らの上記主張は理由がない。
  その他X組合らの主張にも理由がない。
 以上のとおり、X組合らの控訴は理由がないから、本件各控訴を棄却する。

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
広島県労委平成12年(不)第1号 一部救済 平成18年3月10日
中労委平成18年(不再)第23号 一部変更 平成19年11月7日
広島地裁平成18年(行ウ)第22号 棄却 平成20年5月21日
東京地裁平成19(行ウ)762号 棄却 平成20年10月16日
東京高裁平成20年(行コ)第395号 棄却 平成21年7月15日
最高裁平成21年(行ヒ)第424号 上告不受理 平成22年3月25日
 
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