労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 北海道旅客鉄道(北労組転勤)
事件番号 東京高裁平成21年(行コ)第24号
控訴人 北海道旅客鉄道株式会社
被控訴人 国(処分行政庁 中央労働委員会)
参加人 JR北海道労働組合
個人3名
判決年月日 平成21年9月24日
判決区分 棄却
重要度 重要命令に係る判決
事件概要  Y会社が札幌車掌所の車掌である組合員4名に対し、平成16年2月1日付けでK運輸車両所勤務を命じたこと(以下「本件転勤命令」という。)が、X組合の組合員であることを理由とした不利益取扱いであるとともに、組合の弱体化を企図した支配介入であるとして争われた事件である。
 初審北海道労委は、Y会社に対し、転勤を命じる際にX組合の組合員であることを理由として差別的な取扱いをしてはならないこと及びこのことに関する文書掲示を命じ、その余の救済申立てを棄却した。
 Y会社及びX組合らは、これを不服として再審査を申し立てたところ、中労委は、初審命令を変更し、Y会社に対し、X1ら組合員3名に対する本件転勤命令がなかったものとしての取扱い及び原職復帰、このことに関する文書手交及び掲示を命じ、Y会社からの本件再審査申立てを棄却(以下「本件命令」という。)したところ、Y会社は、本件命令を不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁はY会社の請求を棄却した。
 Y会社はこれを不服として、その取消しを求めて東京高裁に控訴したところ、同裁判所はY会社の控訴を棄却した。
判決主文 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
判決の要旨 1「不利益な取扱い」該当性について
 当裁判所も、本件転勤命令は労働組合法7条1号の「不利益な取扱い」に該当すると判断する。その理由は、一部訂正付加するほか、原判決の「事実及び理由」第3の1に記載のとおりであるから、これを引用する。
2 不当労働行為意思の存否について
(1) 不当労働行為意思を推認させる間接事実の存在
  当裁判所も、本件転勤命令について不当労働行為意思を推認させる間接事実として、Y会社のX組合に対する日常の言動や態度、本件転勤命令に関する別組合とX組合との情報量の差、本件転勤命令前後のY会社のX組合への対応、及び年齢構成の是正に対するY会社の取組につき、原判決が認定する事実を認めることができると判断する。
(2) 不当労働行為意思の推認
   前記(1)の間接事実を総合すると、本件転勤命令は、不当労働行為意思に基づくもの、すなわち、X組合の組合であるX1及びX2をX組合の組合員であることの故をもって不利益に取り扱うものであるとともに、X組合に組合活動を抑制するものと推認することができる。
(3) Y会社の主張について
  Y会社は、本件転勤命令は、K運輸車両区の欠員補充と年齢構成の偏りの解消という業務上の必要性に基づき発令したものであり、その人選は基準を設けて実施しており、本件基準を満たす者はX1とX2とX3のみであったから、Y会社の恣意が介在する余地はなく、不当労働行為意思に基づくものではないと主張する。確かに業務上の必要性は肯定し得ないものでもなく、本件基準も不当なものとは認め難い。
  しかし、本件転勤命令前後のY会社のX組合への対応は不自然といわざるを得ず、業務上の必要性に基づくものか否かについても疑問が生ずるところである。また、本件基準は、本件転勤命令の発令時点ではこれを記載した書面はなく、別件訴訟において初めて明らかにされたことからすると、本件転勤命令以前に策定されたものか否か、これに基づいて人選が行われたか否かも疑わしいといわざるを得ない。さらに、X1とX2が転勤後の指導的な業務を担当していないことなどをかんがみれば、所属組合を考慮しない本件基準は、Y会社が主張する業務上の必要性を満たすのに適切なものか否かについても疑問が生じる。
  これらによると、Y会社の上記主張は、本件転勤命令が不当労働行為意思に基づくものであるとの推認を覆すものではなく、他にこれを左右するに足りる事情も見当たらない。
3 よって、原判決は相当であり本件控訴は理由がないからこれを棄却する。

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
北海道平成17年(不)第2号 一部救済 平成18年5月29日
中労委平成18年(不再)第36・37号 一部変更 平成19年8月29日
東京地裁平成19年(行ウ)第598号 棄却 平成20年12月8日
東京地裁 平成19年(行ク)第344号 緊急命令申立ての認容 平成20年12月8日
 
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