労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 第2京都生活協同組合
事件番号 京都地裁平成20年(行ウ)第56号
原告 京都-滋賀地域合同労働組合
被告 京都府、京都府労働委員会(代表者兼処分行政庁)
被告補助参加人 京都生活協同組合
判決年月日 平成21年11月26日
判決区分 棄却
重要度  
事件概要  本件は、Y協同組合が、X組合執行委員長X1の解雇に係る団体交渉に誠実に応じなかったこと、Y協同組合が経営する店舗の店内に虚偽の文書を掲示したことが不当労働行為であるとして争われた事件である。
 京都府労委は、本件申立てを棄却した。
 X組合は、本件命令を不服として、その取消しを求めて京都地裁に提訴した。
判決主文 X組合の請求を棄却する(京都府労委の命令を支持。)
判決の要旨 1 争点(1)(平成18年11月28日の団交におけるY協同組合の対応が不当労働行為に該当するか否か。)について
 平成18年11月28日の団交の場において、Y協同組合の団交代表者であったY1がX組合に対し、X1についての労働条件を書面で明示していなかったことについて謝罪し、その上でY協同組合鳥丸店の店長であったY2が謝罪しているのであって、当該謝罪についてY協同組合の代表理事であったY3は知らなかったことがうかがえるが、Y協同組合は団体交渉に誠実に対応したものと評価できる。したがって、上記団交の場におけるY協同組合の対応が不当労働行為に該当する旨のX組合の主張は採用できない。
 労働組合法には団体交渉に際して会社の代表者が直接対応すべきことを定めた規定や、会社の代表者が幹部職員等に対して団体交渉を直接担当させるほか、具体的な対応内容・対応方法について包括的に裁量を与えたりすることを禁じた規定は存在しない。そうすると、Y協同組合の代表であったY3が当該謝罪について知らなかった点をもって、不当労働行為があったと評価することはできない。
 実質的に考えても、使用者側と労働者側が、労働者の労働条件その他の待遇や団体的労使関係の運営に関する事項について、合意を形成することを主たる目的として交渉を行うものであるところ、団交を行う使用者側の担当者は、必ずしも代表者である必要はなく、当該交渉事項についての交渉権限や、実際にその場で行ったことについての処理権限を有していればよいと解される。代表者がすべての団交について担当しなければならないと解すると、時間の確保の点などからみて団交を行うことが現実的に困難となるし、交渉権限を有している者が対応し、実際に対応した行動についての権限を有していたのであれば、当該担当者との交渉等によって労働者側は使用者側に労働条件について改善要求等を行っていくことが可能となり、労働者側にとっても必ずしも不都合、不利益であるとはいえない。
2 争点(2)(Y協同組合の文書掲示が不当労働行為に該当するか否か。)について
 X1は、Y協同組合を債務者として、京都地方裁判所に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることを仮に定めることなどを求める仮処分命令の申立てをしたが、本件仮処分命令申立手続において、Y協同組合が、X1についてアルバイト職員として仮採用した者である旨を主張したところ、京都地裁は、Y協同組合のX1に対する本件解雇が濫用といえるか否かを判断する前提として、X1が時間契約職員として雇用されたことは認定したが、X1がアルバイト職員であるかパート職員であるかについては何ら認定しておらず、結論的には本件解雇が無効であるとはいえないとしてX1の仮処分命令の申立てを却下したことが認められる。
 一方、X1は、本件仮処分却下決定後、ビラを配布し、これを読む者に、京都地裁がY協同組合に対し、X1への賃金仮払いを命ずる決定を発令したかのごとき印象を与えるものとなったことが認められる。
 これに対し、Y協同組合の掲示した文書は、京都地裁がX1の申立てを却下したこと、本件仮処分却下決定に係る文書には、X1の配布した上記ビラの内容が記載されていないことを端的に記載したものであって、虚偽の内容は記載されていない。そして、Y協同組合が当該文書を掲示した理由は、X1の上記ビラが本件仮処分却下決定の内容を歪曲して記載したものであったことから、これを是正するためのものであったことが窺え、本件全証拠によっても、Y協同組合に支配介入等の意思があったとは窺えない。よって、Y協同組合の文書掲示が不当労働行為に該当するとはいえない。
3 争点(3)(平成19年10月11日の団交におけるY協同組合の対応が不当労働行為に該当するか否か。)について
 X組合は、X1が暴言を吐いたことが解雇理由としてあげられていることから、当該暴言に係る苦情をよせたZ1のフルネームの開示を求めたが、これに応じなかったことが不当労働行為に該当する旨主張する。しかしながら、証拠によれば、X組合が当該開示を求めた理由は、Z1の苦情等が虚偽であることから、X1が同人等に対する法的責任(名誉毀損による不法行為責任)を追及するためのものであることが認められ、これを左右するに足りる証拠はない。
 そして、団交の対象事項は、労働者の労働条件その他の待遇や団体的労使関係の運営に関する事項であり、使用者が企業として対処・処理しうる事項であることを要するところ、X組合の要求は、労働者対使用者という構造を取る労働関係民事訴訟ではなく、X1対Z1という個人対個人という構造を取る通常民事訴訟を提起するために協力を求める内容にすぎないものであって、前記の団交の対象事項にあたらないといえる。
 また、X組合は、Y協同組合に対し、X1が暴言を吐いたことに関する意見を求めたが、Y協同組合が労働委員会で係争中であることを理由に回答を拒否したことが不当労働行為に該当する旨主張する。しかしながら、Y協同組合はX組合と合計11回にもわたる団交に応じ、X組合からの要求に対して回答書を渡すなどして対応していたこと、X1の暴言は、多数にわたる本件解雇理由のうちの「同じ職場の同じ時間帯に就労している業務遂行に必要な職員の名前を覚えていない」ことに関する一つの関連事項にすぎないこと、労働委員会での審理は平成19年7月25日に結審しており、判断を待つ状態であった(同年11月2日に判断された。)ことが認められ、これらの事情を考慮すると、Y協同組合の対応が不当労働行為に該当するとはいえない。

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
京都府労委平成19年(不)第6号 棄却 平成20年8月20日
大阪高裁平成21年(行コ)第168号 棄却 平成22年4月15日
 
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