労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 日本ブリタニカ
事件番号 東京地裁平成21年(行ウ)第39号
原告 ユニオン東京合同
被告 国、中央労働委員会(処分行政庁)
補助参加人 日本ブリタニカ株式会社
判決年月日 平成21年12月7日
判決区分 棄却
重要度  
事件概要 Y会社が事業閉鎖に伴いX1を含む全従業員を解雇したところ、X1はX組合に加入し、X組合がY会社に対し、X1の解雇撤回及び原職又は原職相当職への復帰等を議題とする団交を申し入れ、10回の団交が実施された。本件は、本件解雇及び本件団体交渉におけるY会社の対応が不当労働行為に当たるか否かについて争われた事件である。
 東京都労委は、解雇に係る申立てを却下し、その余の申立てを棄却した。
 X組合は、この命令を不服として、中労委に再審査申立てを行ったところ、中労委は、これを棄却した。
 X組合が、この命令を不服として提起したのが、本件である。
判決主文 X組合の請求を棄却する。(中労委命令を支持)
判決の要旨 1 争点(1)(本件解雇に関する救済申立ては申立期間内になされたか。)について
  本件解雇の日は平成13年5月31日であり、本件解雇に関する本件初審申立てがされたのは、平成15年2月17日である。そうすると、本件解雇に関する救済申立ては、X組合が不当労働行為であると主張する本件解雇の日から1年を経過した事件に係るものであるから、労働委員会はこれを受けることができない。
  よって、申立期間を徒過したとして本件解雇に関する救済申立てを却下した本件命令の判断に違法はない。
2 争点(2)(本件団体交渉におけるY会社の対応は不誠実団体交渉に該当するか。)について
(1)憲法28条により労働者の権利として保障されている団体交渉は、労使が話合いを通じて相互理解を深め、労使間に生ずる諸問題を自主的に解決するための手続であり、労働組合法7条2号は、使用者が雇用する労働者の代表者との団体交渉を正当な理由がなく拒むことを不当労働行為として禁止している。そして、使用者は、団体交渉に応ずれば足りるのではなく、自己の主張を労働組合が理解し、納得することを目指して、見解の対立を可能な限り解消させることに努め、誠実に団体交渉をする義務があるものと解される。したがって、使用者が当該義務を尽くさない場合は、そのような団体交渉態度が同号所定の不当労働行為に当たるというべきである。そして、使用者が誠実に団体交渉をしたか否かは、交渉担当者が交渉権限を有していたか、団体交渉事項の内容、労働者側の態度等の具体的事情に応じ、団体交渉の場において労使の対立点を可能な限り解消させる努力を行っていたか、そのために労働組合が検討可能な程度の客観的な資料を提示して、自己の主張の根拠を具体的に説明し、提示できない場合はその合理的な理由を説明するなどして相手方の納得を得るよう努力したか等の観点から判断するのが相当である。
  なお、使用者には労働組合の要求、主張を容れたり、譲歩する義務はないのであって、十分な討議の後、双方の主張が対立し、一方が納得しないまま交渉打切りとなることは誠実交渉義務の違反ではない。
(2)Y会社は、団体交渉において、具体的な数値を挙げて回答し、団体交渉の議論が及ぶ都度具体的に説明しており、X組合が検討するに足りるものであったというべきである。また、Y会社は、本件解雇、事業閉鎖の必要性、合理性に関する文書(決算書等)の提出要求には応じていないが、文書提出できない理由を説明しており、必要な説明を口頭で行っていることから、文書提出をしていないことをもって不誠実な対応であったとはいえない。したがって、Y会社が誠実に団体交渉をしなかったとはいえない。
(3)X組合は、Y会社のY1社長を出席させるよう繰り返し要求したが、Y1社長が本件団体交渉に出席したことはなかった。しかし、本件団体交渉に出席したY会社の交渉担当者Y2経理部長は、交渉権限を有していたというべきであって、Y会社がY1社長を本件団体交渉に出席させなかったことをもって、誠実に団体交渉をしなかったとはいえない。
(4)Y会社は、本件団体交渉において、X組合の本件解雇撤回等要求に対し、事業再開は不可能であって応じられないことを繰り返し説明し、関連会社でのX1の雇用要求に対し、別会社であり雇用先の意思だから仕方がない旨回答しており、Y会社の対応はやむを得ないものであり、Y会社は、労使の対立点を可能な限り解消させる努力を行ったというべきであるから、誠実に団体交渉をしなかったとはいえない。

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委平成15年(不)第17号 却下、棄却 平成18年6月20日
中労委平成18年(不再)第54号 棄却 平成20年7月2日
東京高裁平成22年(行コ)第8号 棄却 平成22年7月29日
最高裁平成22年(行ツ)第404号・平成22年(行ヒ)第432号 上告棄却、上告不受理 平成23年6月28日
 
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