労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  白百合会 
事件番号  東京高裁平成24年(行コ)第51号 
控訴人  社会福祉法人白百合会 
被控訴人  国(処分行政庁:中央労働委員会) 
被控訴人補助参加人  穂高白百合荘労働組合
長野県医療労働組合連合会(以下「県医労連」という。) 
判決年月日  平成24年6月26日 
判決区分  一部変更(却下・棄却) 
重要度  重要命令に係る判決 
事件概要  1 法人が、①団体交渉の実施日時又は場所を一方的に制限して団体交渉を拒否したこと、②組合らとの合意事項に係る労使協定書を取り交わすことを拒否したこと、③団体交渉において不誠実な対応をしたこと、④組合委員長に対し、デイサービスセンター(以下「デイセンター」という。)の介護職員との兼務を命じたこと、⑤同委員長をデイセンター専従介護職員に配置転換したこと、⑥介護職員に対し、寮母室で休憩するよう命じたこと、⑦組合員の契約更新に当たり実労働時間数を削減する等したこと、⑧県医労連を誹謗中傷する発言を行ったこと、⑨組合員全員の氏名の開示を求めたこと、⑩組合員と個別交渉を行ったこと、⑪就業規則の変更手続における労働者代表の選出投票を不公正な方法で行ったこと等が、不当労働行為に当たるとして、長野県労委に救済申立てがあった事件である。
2 初審長野県労委は、法人に対し、①組合らとの合意事項に関する労使協定の締結、②団体交渉の開催条件を一方的に制限して応諾を拒否することの禁止及び交渉ルールの制定、③団体交渉において主張の根拠となる資料を提示しない不誠実な対応の禁止、④組合らとの交渉事項に関する個別交渉の禁止、⑤組合らに対する誹謗中傷発言や組合員氏名の開示要求等の禁止、⑥組合委員長に対する異動命令の撤回及び原職復帰後における異動前の実労働時間の適用、⑦職員の休憩場所を寮母室に限定し、待機させることの禁止、⑧文書手交及び掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。
 法人は、これを不服として再審査を申し立てたところ、中労委は、上記1④⑥⑦は不当労働行為に当たらないと判断し、初審命令を一部変更して、①日時又は場所を制限して団体交渉を拒否することの禁止、②団体交渉で確認された事項の書面化、③組合委員長の異動命令がなかったものとしての取扱い、④文書手交及び掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。
 これに対し、法人は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、法人の請求を棄却ないし却下した。
 本件は、同地裁判決を不服として、法人が東京高裁に控訴した事件であるが、同高裁は、原判決を一部変更したものの、変更部分に係る法人の訴えについて却下した。
判決主文  1 原判決主文第1項を次のとおり変更する。
(1) 控訴人の主位的請求に係る訴えのうち、中央労働委員会が中労委平成21年(不再)第8号事件について平成22年3月3日付けでし命令主文第3項の取消しを求める部分を却下する。
(2) 控訴人のその余の主位的請求を棄却する。
2 訴訟費用は、第1、2審を通じ、補助参加によって生じた費用も含めて、控訴人の負担とする。  
判決の要旨  1 主位的請求中の本件命令主文第3項の取消請求に係る訴えについての訴えの利益
 組合委員長は、本件命令が発せられた平成22年3月3日の約1年後である平成23年3月31日、再雇用後の定年に達して退職したことが認められる。すると、本件命令の主文第3項前段の命令、すなわち、平成20年3月3日付けで命じたデイセンターへの異動命令がなかったものとして取り扱い組合委員長をH荘の介護職員に復帰させなければならないとの命令は、同人が退職して法人の従業員でなくなった以上、客観的に不能である。また、本件命令主文第3項後段の命令、すなわち、復帰後の組合委員長の労働条件につき、平成20年3月31日以前の労働条件を適用しなければならないとする命令も、同じく客観的に不能である。
 したがって、本件命令主文第3項は、その基礎を失い、拘束力を有していないこととなったから、その取消しを求める法人の主位的請求中の本件命令主文第3項の取消請求に係る訴えについては、訴えの利益を欠くこととなり、不適法として却下すべきである。
2 本件命令主文第3項の取消請求を除く主位的請求について
 本件命令主文第3項の取消請求を除く主位的請求についての当裁判所の判断は、〔一部〕削除訂正するほか、原判決の「事実及び理由」第3の1ないし15に記載のとおりであるから、これを引用する。
3 予備的請求に係る訴えについての確認の利益
 予備的請求に係る訴えは、主位的請求中の本件命令主文第2項及び第3項の取消請求に係る訴えが訴えの利益を欠くとして却下された場合に備えて、法人が本件命令主文第2項及び第3項に従う義務がないことの確認を求めるものであるが、本件命令主文第2項及び第3項の取消請求に係る訴えが訴えの利益を欠くとして却下されるか否かにかかわらず、主位的請求中の本件命令主文第2項及び第3項の取消請求についての判断が判決において示されれば、法人が本件命令主文第2項及び第3項に従う義務があるか否かは明白になるから、予備的請求に係る訴えは、確認の利益を欠き、不適法として却下を免れない。
4 結論
 以上のとおり、法人の主位的請求中の本件命令主文第3項の取消請求に係る訴えは訴えの利益を欠くから却下し、その余の主位的請求は理由がないから棄却し、予備的請求に係る訴えは確認の利益を欠くから却下すべきである。よって、法人の主位的請求を全部棄却した原判決主文第1項を本判決主文第1項(1)及び(2)のとおり変更する。
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
長野県労委平成19年(不)第1号 一部救済 平成21年1月28日
中労委平成21年(不再)第8号 一部変更 平成22年3月3日
東京地裁平成22年(行ウ)第221号 棄却(主位的請求)・却下(予備的請求) 平成24年1月19日
東京地裁平成22年(行ク)第224号 緊急命令申立ての認容 平成24年1月19日
東京高裁平成24年(行タ)第24号 緊急命令の一部取消・却下 平成24年6月26日
東京高裁平成24年(行タ)第119号 却下 平成24年7月20日
最高裁平成24年(行ヒ)第391号 上告不受理 平成24年11月27日
 
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