労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  テーエス運輸 
事件番号  神戸地裁平成24年(行ウ)54号 
原告  全日本建設交運一般労働組合テーエス支部(「組合」) 
原告  個人X 
被告  兵庫県(処分行政庁・兵庫県労働委員会) 
被告補助参加人  テーエス運輸株式会社(「会社」) 
判決年月日  平成26年11月17日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 会社が、①平成20年度の年末一時金における収支改善協力金の支給、②同一時金の支給、③平成21年度の夏季一時金の支給について、それぞれ、組合員に対し、他組合の組合員及び未組織従業員との間に差額をつけて支給したこと、④組合員Xに対してけん責処分を行ったこと等が、不当労働行為に当たるとして救済申立てがあった。
2 兵庫県労委は、申立ての一部を認容(7条2号)し、その余を棄却した。
3 組合は、これを不服として神戸地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁は、組合の訴えを棄却した。  
判決主文  1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は、原告らの負担とする。  
判決の要旨  1 争点(1)「収益改善協力金の支給が不当労働行為(不利益取扱い及び支配介入)に該当するか」について
ア 収益改善協力金の評価項目は、それ自体不合理であるとは認められず、評価方法についても、不適正なものであったとは認められない。
イ 組合は、会社が恣意的な評価を行った旨主張するので検討すると、組合員全体と他組合員全体及び未組織従業員全体を比較すると、その間には、収益改善協力金の平均支給額に差があるものと認められるところ、組合は大量観察方式により検討すべきであると主張する。しかしながら、本件において、組合は、C1の証言及び本件訴訟提起後に作成した組合員の自己評価書を提出するなどして、組合員が他組合員や未組織従業員と能力や勤務成績が劣っていない旨主張するものの、これらをもってしては、組合員とその他の従業員との間で能力や勤務成績が同一であるとは認められず、大量観察方式を採用する前提を欠くものと言わざるを得ない。
 また、組合員の中に上限額である5万円を支給された者もいる一方、他組合員や未組織従業員の中にも上限額を支給されなかった者がいることなどの事情を考慮すれば、会社が組合員だけを恣意的に低く評価したとまではいえない。組合からの脱退者を優遇した評価結果である旨の組合の主張は採用できない。なお、組合が主張するように他組合員に対して一律5万円が支給されたということはできない。さらに、B1社長が送信したメールの文面をもって組合脱退者を優遇するような趣旨のものであると断定するのは困難である。
ウ 本件命令に当たり、大量観察方式を採用しなかったこと自体が独立の違法事由を構成するものとは解されない。
エ 以上のとおり、収益改善協力金の支給が労働組合法7条1号及び3号の不当労働行為に該当するとは認められないとした本件命令は相当というべきである。
2 争点(2)「年未一時金の支給が不当労働行為(不利益取扱い及び支配介入)に該当するか」について
 ワンマン運行協定改定により、人件費を将来削減することができ、また、車両の買い換えを抑制することも見込まれることから、将来の削減分を年末一時金の増額分の原資とすることができるといえ、協定の改定が年末一時金と無関係で不合理な条件ということはできない。そして、会社は、平成20年度年末一時金の交渉をする前にも協定の改定を求めていたこと、平成20年度夏季一時金交渉と年末一時金交渉における協定の改定とは異なる意義を持つこと、協定の改定によって人件費の負担が減少することなどに照らすと、会社が、組合が同意できない条件であることを認識しながらこれに固執したということはできない。したがって、組合の主張は採用できず、平成20年度年末一時金の支給が不当労働行為に該当するとは認められない。
3 争点(3)「夏季一時金の支給が不当労働行為(不利益取扱い及び支配介入)に該当するか」について
 組合は、会社と他組合との妥結内容を認識した上で、これを踏まえて会社と更に交渉をすることのできる地位ないし立場にあったにもかかわらず、そのような交渉の申入れを行わず、従前から組合に対して提示されていた金額で妥結することを選択したものというべきである。また、組合と他組合との間で夏季一時金の支給額に差が生じたのは、組合と他組合との交渉力の差によるというべきである。会社と他組合との協定書における7つの条件は、一月当たりの労働時間やワンマン運行による拘束時間といった労働条件そのものに関わるものであることからすれば不合理であるといえず、組合との格差を生じさせる口実であるとまではいえない。夏季一時金について組合と他組合との間で支給額に差が生じたことにつき、労働組合法7条1項1号、3号の不当労働行為と認めるべき特段の事情が存在したとはいえない。
4 争点(4)Xに対するけん責処分が不当労働行為(不利益取扱い及び支配介入)に該当するか」について
ア Xは、マニュアルにおいて加圧弁のバルブを閉止する必要があるとされていることを認識しながら、自らの判断であえてこれに従わずに作業を行ったものであり、Xの作業が危険物を取り扱う業務であることに照らせば、定められたマニュアル・指示書を厳守すべきことは当然であって、Xの行為は非難を免れない。けん責処分が会社における懲戒処分中最も軽い処分であることも併せ考えれば、Xをけん責処分にすることが不当に重いといえるか否かは直ちに明らかとはいえない。
イ 会社は、C10の事故の際に懲戒処分を行わなかったが、Xに対する処分は、懲戒処分としては最も軽いけん責処分にとどまっていることに加え、マニュアルにおいて指示されていることを認識していながらあえてこれを遵守しなかった者と、そのような指示を認識していなかった者について、会社のマニュアル・指示に対して従おうとする姿勢・態度の点に差異があるとして、反省の態度等も踏まえて、両者の処分に区別を設けることが明らかに不合理とは解されないから、C10との扱いに差異があることをもって、不当労働行為意思があったと推認することまではできない。
 さらに、C4の事故は、実際の被害も生じていること、懲戒処分としてではないものの、2年間は構内勤務とされ、その間業務係としての手当てを受けられないものとされており、これに加えて懲戒処分をされなかったことと本件事故においてXがけん責処分を受けたことを比較するのは不相当であり、採用できない。
 また、労使関係が必ずしも良好であるとは言い難い状況にあると評価できるものの、そこから直ちにXに対するけん責処分が組合ないしXの組合活動の故をもってされたとまで認定することはできない。
ウ よって、Xに対するけん責処分が組合員である故をもってされた不利益取扱いであると認めることはできず、また、本件全証拠によってもけん責処分が組合に対する支配介入であることを認めるに足りる証拠はないから、Xに対するけん責処分が労働組合法7条1号、3号の不当労働行為に該当するとは認められない。  
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
兵庫県労委平成21年(不)第14号 一部救済 平成24年1月26日
大阪高裁平成26年(行コ)第189号 原判決一部取消 平成27年7月10日
最高裁平成27年(行ツ)第416号・417号、平成27年(行ヒ)第453号・454号 上告棄却・却下・上告不受理 平成28年7月5日
 
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