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概要情報
事件名  ミトミ・ミトミ建材センター 
事件番号  東京地裁平成25年(行ウ)第341号  
原告  全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(「組合」) 
被告  国(処分行政庁・中央労働委員会) 
被告補助参加人  株式会社ミトミ(「ミトミ」) 
被告補助参加人  有限会社ミトミ建材センター(「ミトミ建材」) 
判決年月日  平成27年8月28日 
判決区分  一部取消 
重要度   
事件概要  1 本件は、ミトミ及びミトミ建材が、①組合に加入したミトミの従業員A1に対し、組合加入に関する発言を行ったこと(ミトミ及びミトミ建材の取締役であるB4の発言並びにミトミの取締役であるB1の発言)、②組合加入公然化直後からA1の土曜日の就労を拒否したこと、③組合との事前協議を経ることなく就業規則の変更を行ったこと等が不当労働行為に当たるとして、救済申立てがあった事件である。
2 初審大阪府労働委員会は、ミトミ建材はA1の労組法上の使用者に当たらないとして、同社に対する申立てを却下した上で、B4発言及びB1発言は労組法7条3号の不当労働行為に、本件土曜日就労拒否は同条1号及び3号の不当労働行為にそれぞれ当たるとして、ミトミに対し、①本件土曜日就労拒否に係るバック・ペイ及び今後の土曜日就労拒否の禁止、②文書手交(本件B4発言及び本件B1発言並びに本件土曜日就労拒否に関して)を命じ、その余の申立てを棄却した。
3 これを不服として組合及びミトミがそれぞれ中央労働委員会(以下「中労委」という。)に再審査の申立てを行ったところ、中労委が、組合の再審査の申立てを棄却するとともに初審命令のうち土曜日就労拒否に係るバック・ペイ及び今後の土曜日就労拒否の禁止、文書手交の部分を取り消し、同部分に係る不当労働行為救済命令の申立てを棄却する旨の命令を発した。
4 これを不服とした組合が、行政訴訟を東京地裁に提起したところ、同地裁は、中労委が発した命令の一部を取り消し、組合のその余の請求を棄却した。 
判決主文  1 中央労働委員会が、中労委平成23年(不再)第14号及び同第15号併合事件について平成24年11月21日付けで発した命令中、以下の部分を取り消す。
  (1) 主文1のうち大阪府労働委員会が大阪府労委平成21年(不)第65号及び同第78号併合事件について平成23年1月26日に発した命令中、平成20年11月27日の被告補助参加人株式会社ミトミ取締役B4の原告組合員A1に対する発言に関する部分、及び同B1の前記A1に対する発言に関する部分をそれぞれ取り消し、同部分についての原告の被告補助参加人株式会社ミトミに対する救済命令の申立てを棄却した部分
  (2) 主文2のうち被告補助参加人株式会社ミトミ取締役B4の原告との団体交渉における原告組合員A1の労働条件等については、まず同人と話をし、その後、原告から団体交渉の申入れがあればこれに応じるとの発言、及び平成21年12月、当時A1が待機場所としていた倉庫内にカメラを設置した行為についての原告の被告補助参加人株式会社ミトミに対する再審査の申立てを棄却した部分
2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用(補助参加によって生じた費用を除く。)は、これを9分し、その4を被告の負担とし、その余を原告の負担とし、被告補助参加人株式会社ミトミの補助参加によって生じた費用は、これを9分し、その4を被告補助参加人株式会社ミトミの負担とし、その余を原告の負担とし、被告補助参加人有限会社ミトミ建材センターの補助参加によって生じた費用は原告の負担とする。  
判決の要旨  第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(ミトミ建材の使用者性)について
(3) 前記(1)及び(2)における認定・説示を踏まえて、ミトミに加えてミトミ建材もA1の労組法7条にいう使用者に当たるかどうかを検討する。
 使用者性の有無は、労働者を自己の業務に従事させ、その労働者の労働条件等について、部分的とはいえ労働契約上の雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあるか否かによって判断すべきであり、前記認定したミトミ及びミトミ建材の間に認められる関係のように、ある会社の事業の一部門を独立させて別会社を設立し、その両社の役員構成が一つの家族を中核とする近親者からなるものであり、しかも、両社の事務所が同一の建物内の同一の部屋に設置されていたとしても、そのような関係にあることが、直ちに一方の会社において他方の会社の労働者の基本的な労働条件等について現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあることを意味するものではなく、また、ミトミ及びミトミ建材の間において、上記関係を越えて、ミトミ建材がA1を自己の業務に従事させ、雇用主と同視できる程度にA1の基本的な労働条件等について現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあると認めることができるような事情は窺われない。そして、ミトミとミトミ建材とは法人格を異にするところ、ミトミの法人格が形骸化しており、ミトミは形式上の雇用主にすぎず、ミトミ建材が労働条件等の実質的に決定していることを窺わせる事情もない。さらに、企業間取引において取引先との取引関係が従業員の業務量等に事実上影響を与え得ることがあったとしても、そのような事情が直ちに当該取引先が当該従業員の基本的な労働条件等について現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあることを意味するものとはいえず、当該取引先が労組法7条にいう使用者に当たらないことも明らかである。そうすると、ミトミ建材がミトミに生コンの運送業務を委託していることによって、ミトミ建材の使用者性は何ら基礎づけられるものではない。
 そうすると、組合の主張には理由がないといわなければならない。
2 争点(2)(B4発言が労組法7条3号の支配介入に該当するか)について
(4) B4発言は組合加入による不利益を示唆するとともにA1の組合加入及び組合に対する非難や否定的評価を伴うものであるから、単なる組合を批判するにとどまるものではなく、A1に組合からの脱退を促す趣旨に理解されるものである。その発言内容に加え、B4が組合及びその活動に対する嫌悪の情を有していたことからすれば、同人は、その発言がA1の組合からの脱退を助長して組合を弱体化させ、組合の運営や活動を阻害する影響があると認識した上でB4発言に及んだものと推認され、B4発言は労組法7条3号の禁止する支配介入に当たる。  
3 争点(3) (B1発言が労組法7条3号の支配介入に該当するか)について
(4) B1発言は、A1からみて、暗に自己の組合加入を非難し、組合からの脱退を促していると受け止められるものであったと客観的に評価できる発言というべきであり、B1にもそのような認識が存在したというべきである。そうすると、B1発言は、A1を組合から脱退させて組合を弱体化させるなどの影響を及ぼすおそれのある行為であるから、労組法7条3号の禁止する支配介入に当たる。被告は、担当業務の変更や土曜日の就労の拒否と異なりB1発言に対する抗議がなかったことを主張するが、これについては前記2で説示したとおり、B1発言が支配介入に当たることを左右しない。
4 争点(4) (A1が組合加入を公然化した以降、A1の担当業務の変更があったか否か、担当業務の変更が認められる場合、当該行為は労組法7条1号の不利益取扱い、同条3号の支配介入に該当するか)について
(4) A1の組合加入公然化後、プラント関連業務からの排除、倉庫整理業務の指示という形によって、ミトミがA1の担当業務を変更したとは認められず、単にミトミの業務量の減少によってA1の待機時間が増えたにとどまり、また、本件ミキサー車売却によってミキサー車での待機ができなくなったA1が自発的に倉庫で待機するようになったにすぎない。したがって、これらの担当業務が変更されたとする前提の下に労組法7条1号の不利益取扱い、同条3号の支配介入に当たる旨の組合の主張には理由がない。また、本件ミキサー車売却によってミキサー車への乗車業務がなくなったことについても、このような担当業務の変化が起こった原因である本件ミキサー車売却は、組合加入や組合組合員であることを理由にされたものではなく、組合の弱体化、運営・活動の妨害等の効果を持つものともいえないから、同条1号の不利益取扱い、同条3号の支配介入に当たらない。
5 争点(5) (A1が組合加入を公然化した以降、土曜日に就労をさせなかったことが労組法7条1号の不利益取扱い、同条3号の支配介入に該当するか)について
(3) ミトミは、組合加入を公然化する以前から就労の必要性が高くなく、積極的に土曜日の就労を指示していなかったA1に対して、ミトミの業務量自体が減少しており、必要な公的資格も有しないことから従事させる業務がなかったために、平成20年2月からの経営会議で決めた土曜日の就労をなくすとの方針に従って土曜日に就労をしなくてよいことを指示したにすぎないというべきである。ミトミがA1の組合加入公然化後に土曜日の就労を指示している日があることに照らしても、土曜日の就労の拒絶がA1の組合加入や組合組合員であることを理由にされたとは認められないし、また、組合を懐柔し、弱体化したり、組合の運営・活動を妨害したり、組合の自主的決定に干渉したりする効果を持つものとも認められない。
 したがって、A1に組合加入公然化後の土曜日の就労の拒否が労組法7条1号の禁止する不利益取扱い、同条3号の禁止する支配介入に当たる旨の組合の主張には理由がない。
6 争点(6) (本件交渉申入れに対するミトミの対応は労組法7条2号の禁止する団体交渉の拒否ないし不誠実交渉、同条3号の禁止する支配介入に該当するか否か)について
(3) 不誠実交渉への該当性
 ミトミが事前協議及び事前合意には応じない、A1の労働条件等についてはまずA1に話をし、その後に組合から団体交渉の申入れがあれば応じるとの趣旨の回答をしたことが団体交渉の拒否ないし不誠実交渉に該当するかについて検討する。
 以上の組合とミトミの間のやりとりを前提として、ミトミの対応が誠実に団体交渉に対応したものといえるかをみるに、そもそも使用者による回答ないし対案の申入れが誠実なものと評価されるためには、その内容が少なくとも不当労働行為であったり、公序良俗に反したりするなど著しく不当なものであってはならないと解すべきところ、前記説示したとおり、第2回団体交渉以降は、A1の労働条件の改善が組合との間の団体交渉の交渉事項となっており、ここでミトミによるA1の労働条件等についてはまずA1に話をし、その後に組合から団体交渉の申入れがあれば応じるとの趣旨の回答をすることは、後記(4)において認定説示するように、労組法7条3号の禁ずる支配介入に当たるものである。一方において、確かに、上記認定した第2回団体交渉以降の交渉経緯及びその内容について、各回の団体交渉が、終始、事前協議及び事前合意の協定化という団体的労使関係の運営に関する事項を先決の交渉事項として協議が平行線をたどっており、その中でも第2回団体交渉において、B4が「せっかくなので具体的な内容に進めていきましょうよ、事前に執着しないでA1さんの本当の内容を、どうですか。」と提案したが、組合側の消極的な対応もあったことなどが認められるところであり、そのような交渉経緯等を斟酌するとしても、B4の対応については、事前協議及び事前合意の協定化を拒否し続け、その延長上の主張として、A1の労働条件に関する事前協議を拒んでいたとみるべきものであり、これは、本件通知書による通知後は不当労働行為となる内容を主張していたものと解さざるを得ないから不誠実交渉に当たるものと解するのが相当である。
(4) 支配介入への該当性
 ミトミが、事前協議及び事前合意には応じない、A1の労働条件等についてはまずA1に話をし、その後に組合から団体交渉の申入れがあれば応じるとの趣旨の回答をしたことが支配介入に該当するかについて検討する。
 労働組合の統制権は、労働組合の統一と一体化を図り、その団結力の強化を期するため認められるものであり、労働組合が行う団体交渉、団体行動は個々の労働者の労働条件にとどまらず、労働協約の締結をはじめとする集団的労使関係の形成に関わるものであるところ、労働組合が使用者に対して団体交渉を申し入れた場合において、使用者と労働者である個々の組合員との個別の協議は、労働組合の意図する集団的労使関係の形成が阻害されるおそれがあることから、労働組合が明示又は黙示に個別の協議を承認し、あるいは、労働組合の団体交渉、団体行動が当該労働者の利益を無視したものであるなど労働者の団結権保障の効果として認められる統制権の趣旨に悖ることが明白であるなどの事情がない限り、認められないと解するのが相当であり、労働組合が団体交渉を申し入れたにもかかわらず、使用者が組合員である労働者に対して、個別にその労働条件等についての協議を求めることは、労働組合の統制権を侵害し労組法7条3号が禁止する支配介入の不当労働行為に該当するというべきである。
 これを本件についてみると、前記ミトミの回答は、組合からの団体交渉の申入れがあった場合にも不当労働行為にあたる組合員との個別協議を先行させることが基本姿勢であることを意味し、回答の相手方には、団体交渉を申し入れても本来あるべき効果よりも乏しく、また、組合員たる労働者との個別協議を先行されることによって組合の統制権が侵害され、組合の運営、活動が阻害されるおそれがあり、組合を弱体化させ、その運営、活動を阻害する効果を有するものである。そして、その回答は、本件通知書が到達した後である第2回団体交渉以降にあっては、憲法28条に基づき結成された労働組合や同条に保障される団体交渉、団体行動の重要性を本来よりも軽視した認識に基づくことから、労組法7条3号が禁止する支配介入に当たると解するのが相当である。
ウ 以上のとおりであるから.ミトミが事前協議及び事前合意には応じない、A1の労働条件等についてはまずA1に話をし、その後に組合から団体交渉の申入れがあれば応じるとの趣旨の回答をし続けたことは、少なくとも第2回団体交渉以降においては労組法7条2号の禁止する団体交渉の拒否ないし不誠実交渉に該当し、また、同条3号の禁止する支配介入にも当たるというべきである。
(6) 以上のとおり、事前協議及び事前合意の協定化に応じなかったことは労組法7条2号の団体交渉の拒否ないし不誠実交渉に当たるものではないが、ミトミが基本姿勢として組合と事前に協議することはせず、まずA1と協議し、その後、組合から団体交渉の申入れがあればこれに応じる旨を述べたことは、労働組合や団体交渉を本来あるべき姿よりも軽視した労組法7条3号の禁止する支配介入に当たるだけでなく、そのような不当労働行為に当たる主張を交渉において固持したことは、同条2号の禁止する不誠実交渉にも当たる。一方、組合と協議をせずに本件規則変更をして労働条件(就業時間)を変更したことは、本件規則変更の時点においては、本件交渉申入れ等によりA1の労働条件自体は団体交渉事項となっておらず、また、後記7(2)に説示するとおり本件事前協議協定の効力は消滅しており、ミトミに事前協議をすべき義務はないから、団体交渉の拒否や不誠実交渉には当たらず、さらに、本件団体交渉でされた個別の労働条件に関する質問等への回答にも不足はないから、不誠実な対応があったとは認められない。
7 争点(7) (組合との事前協議を経ることなく行われたミトミの本件規則変更及びこれに基づくA1の遅刻扱い、平成21年2月分以降の時間外手当の不支給、A1に対する本件契約書、退職金共済加入申込書への署名押印の要求は、それぞれ労組法7条3号の支配加入に該当するか)について
(4) 本件事前協議協定の効力は本件交渉申入れ時には消滅しており、ミトミには組合が労働条件等の改善を団体交渉事項とした第2回団体交渉より前にされた本件規則変更、平成21年2月分以降の時間外手当の変更にあたり組合と事前に協議すべき義務はなく、事前協議を経ずにされたこれらの措置が組合を軽視したものとはいえず、労組法7条3号の禁止する不当な支配に当たらず、不当労働行為に当たらない本件規則変更及び時間外手当の変更に基づきされた第2回団体交渉以降の新就業規則に基づくA1の遅刻扱いや時間外手当の不支給も労組法7条3号の禁止する不当な支配に当たるものではない。A1に対する退職金共済加入申込書への署名押印の要求も単にA1の意思を確認したにすぎず組合を軽視したものとはいえないから労組法7条3号の禁止する不当な支配に当たらない。
 本件契約書への署名押印の要求も、その後に団体交渉が行われることを前提としてミトミが第1回団体交渉で説明したところに従い契約書の形で書面化したものをA1に示したにとどまり、これは労組法7条3号の禁止する支配介入に当たるものではない。
8 争点(8) (組合が平成21年5月26日以降、6回にわたって団体交渉の申入れを行ったか、申入れが認められる場合、申入れに対するミトミ及びミトミ建材の対応が労組法7条2号及び3号に違反するか否か)について
(2) 組合は、前記8(1)エ及びオのミトミの対応について、団体交渉の拒否に当たる旨を主張するところ、前記8(1)ウ及びオにおいて認定したとおり、A1はB4ないしB1から健康保険料の支払について確認されたのに対し、団体交渉で返事をすることを回答するにとどまり、それ以上に自ら積極的に団体交渉開催に向けた日程の調整を求めていない。むしろ平成21年5月29日にはB4の方から積極的に団体交渉の日程を確認しており、A1の提示した候補日は既に予定があったことから別の候補日を書面で提示するよう求めたにすぎない。しかるに、A1は、その後も自ら積極的に団体交渉開催に向けて候補日を提示することなく、漫然と口頭で団体交渉の日程を確認することを繰り返していたにすぎず、組合が団体交渉開催に向けて積極的に日程調整を求めたということはできない。
 以上のとおり、組合において提示を求められた候補日の提示をしないなど積極的に団体交渉開催に向けて日程調整等を行う姿勢が認められない以上、ミトミにおいて自ら日程を提案するなど積極的に団体交渉開催に向けた調整をしなければならない義務までは認められず、ミトミの対応は団体交渉の拒否や不誠実交渉には当たらない。
9 争点(9) (本件カメラの設置が労組法7条1号の不利益取扱い、同条3号の支配介入、同条4号の本件救済命令申立てを理由とする不利益取扱いに当たるか)について
(2)  前記4(1)ウ、オ及び(3)イにおいて認定したとおり、A1は本件ミキサー車売却がされて以降、自らの意思で工事現場から倉庫に返却される機械等の清掃等を行っていたとはいえ、A1が倉庫を待機場所としていた中で、本件カメラが設置されたことが認められるのであり、その設置の理由も、平成21年12月9日頃という設置時期からみてかなり以前の同年2月16日に起こったガスボンベ缶が倉庫裏に20個ほど捨てられていたという不審な出来事や、証拠によっては認めることのできない同年夏頃の発電機の盗難等があったために本件カメラの設置をしたと主張していることを併せ考慮すると、本件カメラの設置は、A1に対し、その倉庫内における行動を監視する体制を整えることによって、精神的な圧力をかける嫌がらせ行為であったと認めざるを得ず、そのような精神的な圧力をかける嫌がらせ行為がミトミによって取られた理由としては、A1が組合に加入した上、同年10月1日及び同年11月25日に本件救済命令の申立てをしたことに対応するものと推認するのが相当である。
 そうすると、本件カメラの設置は、A1の組合員という地位及び本件救済命令の申立てをするなどの活動を理由として、倉庫に所在するA1の行動の監視を目的として行われたものであり、A1の言動を萎縮させ圧迫する効果を持つものというべきである。
 仮に、本件カメラの設置に当たり、ミトミに本件カメラを設置した倉庫の防犯体制を向上させるという目的が併存したとしても、前記認定の経緯からすると、それが本件カメラの設置に及ぼした影響は副次的なものといわざるを得ないのであり、上記認定を左右することにはならない。
(3) 以上のとおりであるから、本件カメラの設置は、倉庫に所在するA1の行動の監視を目的とするものであって、それは、A1に対する本件カメラ設置という処遇を認識したミトミにおける従業員の一般認識のうえで、組合への加入等の組合活動を萎縮させ、組合活動一般に対して制約的効果が及ぶ原因となり得る不利な差別的取扱いといえるから労組法7条1号の不利益取扱いに、また、A1を圧迫することによって組合の弱体化、組合の運営・活動を阻害する効果を持つものといえるから同条3号の支配介入に、そして、本件救済命令申立てを理由とするA1への対応措置であるともいえるから同条4号の本件救済命令申立てを理由とする不利益取扱いに当たると認めることができる。  
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成21年(不)第65号・第78号 一部救済 平成23年2月28日
中労委平成23年(不再)第14号・第15号 一部変更 平成24年11月21日
東京高裁平成27年(行コ)第321号 原判決一部取消・棄却 平成28年5月26日
最高裁平成28年(行ツ)第296号・平成28年(行ヒ)第353号 上告棄却・上告不受理 平成29年3月10日
 
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