労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  東京高裁平成28年(行コ)第29号
エクソンモービル(賃金補償打切措置等)再審査申立棄却命令取消請求控訴事件 
控訴人  X労働組合(「組合」) 
被控訴人  国(処分行政庁・中央労働委員会) 
被控訴人補助参加人  Z合同会社(「会社」) 
判決年月日  平成28年5月17日 
判決区分  棄却  
重要度   
事件概要  1 本件は、①組合員A1が頸肩腕症候群(以下「本件傷病」という。)により休業したことについて、業務上の傷病であるにもかかわらず、会社が、総額として休業分について欠勤控除がされていない賃金に相当する額を支払う措置(以下「本件補償」という。)を打ち切り、昭和58年9月分の賃金以降、毎月の賃金から前月の欠勤分を控除することとし、平成7年12月分まで欠勤控除をして賃金を支払ったこと、② A1の欠勤分の控除について、団体交渉の申入れに対する会社の対応が、不当労働行為に当たるとして、東京都労働委員会に救済を申し立てた事件である。
2 初審東京都労働委員会は、組合の救済命令の申立てのうち平成7年4月30日以降に係る部分は棄却し、その余は却下する旨の命令を発した。
3 組合は、これを不服として中央労働委員会(以下「中労委」という。)に対して再審査の申立てをしたところ、中労委は再審査の申立てを棄却した。
4 これを不服とした組合が、行政訴訟を東京地裁に提起したところ、同地裁は、処分行政庁に対する命令の義務付けを求める部分を却下するとともに、組合のその余の請求を棄却した。
5 組合は、これを不服として東京高裁に控訴したが、同高裁は、組合の控訴を棄却した。  
判決主文  1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。  
判決の要旨  第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も、①本件救済命令の申立てのうち、平成7年4月30日より前の不当労働行為に係る部分は労組法27条2項所定の申立期間を経過した、②同日以降、控訴人の組合員A1に発症していた本件傷病の療養のための休業分について本件補償を打ち切って本件賃金控除をし、これに対し補償しないことは、労組法7条1号の禁止する不利益な取扱い及び同条3号の禁止する支配介入に当たらない、③同日以降の控訴人の会社に対する本件補償の打切り及び本件賃金控除についての団体交渉の申入れに対する会社の対応は、同条2号の禁止する団体交渉の拒否及び不誠実交渉に当たらないので、本件訴えのうち原判決別紙1「請求する救済の内容」記載の命令の義務付けを求める部分を却下し、控訴人のその余の請求を棄却すべきものと判断する。その理由は、原判決を次のとおり補正し、次の2のとおり、当審における控訴人の補充主張に対する判断を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」の第3の1ないし7のとおりであるから、これを引用する。
(1) 28頁7行目の「第2」を「第3」に改める。
(2) 34頁20行目及び23行目の「本件不支給決定」を「本件打切り決定」にそれぞれ改め、35頁16行目の「欠勤控除分を」を削除し、17行目の「賃金相当額を」の次に「一旦」を、19行目の「保険で」の前に「後に」をそれぞれ加え、22行目の「そして、」から24行目の「については、」までを「それにもかかわらず、A1が本件支給決定後は会社から欠勤控除がされていない賃金相当額の支払を受けていたのは、」に、25行目の「できないことを踏まえて」を「できず」に、36頁2行目の「含まれている」を「欠勤控除相当額の支払に充てられていた」に、4行目の「以前」を「より前」に、39頁16行目、17行目、40頁2行目及び41頁8行目から9行目にかけての「本件不支給決定」を「本件打切り決定」にそれぞれ改め、43頁16行目及び22行目の「本件不支給決定」の前に「本件打切り決定及びそれを前提にされた」を、45頁1行目の「本件不支給決定」の前に「本件打切り決定を前提にされた」をそれぞれ加え、4行目の「本件不支給決定」を「本件打切り決定」に改め、46頁4行目から5行目にかけての「本件不支給決定」の前に「本件打切り決定及びそれを前提にされた」を加え、47頁7行目から8行目にかけての「本件不支給決定」を「本件打切り決定」に改める。
2 当審における控訴人の補充主張に対する判断
  控訴人は、本件補償の打切り後にA1がした本件傷病の療養のための休業を私傷病による欠勤として扱わなかったのは会社による差別的取扱いにほかならないと主張する。
  しかし、会社(被控訴人補助参加人)では私傷病として扱われると、労働者には健康保険法99条1項に基づく傷病手当金が支給されるが、傷病手当金は、業務上の理由によらない労働者の疾病又は負傷について支給されるものである(同法55条1項参照)。会社が本件支給決定前に本件傷病を私傷病扱いにしたのは、本件傷病が業務上の傷病であると認定されていなかったからであり、会社が三田労基署長による本件打切り決定及び本件不支給決定後に本件補償を打ち切ったのは、業務上の傷病である本件傷病が治ゆ(症状固定)したからであって、本件傷病が業務上の傷病に当たることが遡って否定されたからではない。そうすると、本件補償の打切り後にA1がした本件傷病の療養のための休業を私傷病によるものと扱ってA1に傷病手当金を支給することはできず、当該休業(欠勤)が私傷病によるものとの前提で一時金の額を算定することもできない。本件傷病の治ゆ後に障害が残存するのであれば、上記1で引用する原判決が争点(2)において説示するとおり(44頁12 行目から21行目の「相当である。」まで)、障害補償給付の対象となるものであって、その代わりに傷病手当金の支給を受けることもできない。したがって、本件補償の打切り後にA1がした本件傷病の療養のための休業が私傷病によるものと扱われていないことは、本件傷病が私傷病ではないことによるものであり、会社による差別的取扱いに当たるとは認められない。  
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京地労委平成 8年(不)第28号 棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) 平成16年6月15日
中労委平成16年(不再)第44号 棄却 平成25年2月20日
東京地裁平成25(行ウ)第566号 却下・棄却 平成27年12月25日
 
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