労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  都労委平成26年(不)第129号・同130号
廣川書店不当労働行為審査事件 
審査申立人  X1組合(X2組合と併せて「組合ら」) 
審査申立人  X2組合 
審査被申立人  Y法人(「法人」) 
命令年月日  平成28年8月23日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要  本件は、
① X2組合の申し入れた、26年春闘賃上げ要求、同年夏季及び冬季一時金を議題とする団体交渉において会社が財務資料を開示しなかったこと、
② 会社が、24年から26年までの夏季及び冬季一時金について、非組合員に支給しながら、組合員に対して、未妥結を理由に不支給としていること
③ 会社が、A3を28年9月22日の定年後、再雇用しなかったこと、
④ A3の継続雇用を議題とする団体交渉において、組合は継続雇用制度の改善等についても団体交渉を求めたのに対し、会社が、当該制度の改善等に関する団体交渉に応じかったこと
が不当労働行為に当たるか否かが争われた事件で、東京都労働委員会は、会社に対し、資料の開示、賞与の仮払い、A3を継続雇用したものとしての取扱い、誠実団交応諾、文書交付等を命じた。  
命令主文  1 被申立人会社は、申立人X2組合が申し入れた、平成26年春闘賃上げ要求、同年夏季一時金要求及び同年冬季一時金要求を議題とする団体交渉に、財務資料(少なくとも直近3年分の賃借対照表、損益計算書等)を提示して、速やかかつ誠実に応じなければならない。
2 被申立人会社は、24年から26年までの夏季一時金及び冬季一時金について、申立人X2組合との妥結に至るまでの間の仮払として、同組合らの組合員に対し、各賞与につき、それぞれ10万円を支払わなければならない。
3 被申立人会社は、申立人組合らの組合員A4を26年9月23日以降も継続雇用したものとして取り扱わなければならず、その労働条件については、同社の従前の提案に固執することなく、次項の団体交渉を行うなどして、本命令書交付の日から6か月以内に、適切に定めなければならない。
4 被申立人会社は、申立人X2組合が申し入れた継続雇用制度の内容と運用の改善についての団体交渉に誠実に応じなければならない。
5 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文章を申立人組合らに交付しなければならない。
(省略)
6 被申立人会社は、第2項、第3項及び前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。  
判断の要旨  1 26年春闘賃上げ要求、同年夏季及び冬季一時金に係る団体交渉について
 会社は、26年春闘賃上げ要求、同年夏季及び冬季一時金に係る団体交渉においても、従前どおりの回答と従前どおりの説明を行うだけであり、財務資料の開示に応ぜず、回答を変えるつもりはない、付け加えることはない、これ以上の説明は必要ない等と繰り返し、回答の具体的な根拠を示して説明したり、交渉によって妥協点を見出そうとする姿勢がみられなかった。
 会社は、自らの回答を根拠付ける財務資料を提示して誠実に団交したということはできず、会社の対応は、不誠実な団体交渉に該当する。、
2 組合員に対する24年から26年までの夏季及び冬季一時金の不支給について
 本件各一時金について妥結に至っていないのは、会社が団体交渉において同じ回答を繰り返した上、回答を裏付ける財務資料等の具体的な根拠を示さないという不誠実な対応を行ったことが主な原因であるといえる。しかも、会社は、未妥結であるにもかかわらず、一時金に係る団体交渉を3回で打ち切って、その後の組合の団体交渉申入れに応じていない。
このように、会社が、一時金交渉の妥結に向けた努力をせず、未妥結の一時金に係る団体交渉を拒否して、組合員への一時金不支給の状態を放置した結果、非組合員には一時金を支給しながら、組合員には未妥結を理由に支給していない一時金が6回分も蓄積している。
 このような会社の行為は、一時金交渉の未妥結の状態を放置して組合の交渉力を阻害するとともに、非組合員には一時金を支給しながら、組合員にのみ一時金が支給されない状態を長期化させて、組合らの弱体化を企図した支配介入に該当する。
3 A3を定年後再雇用しなかったことについて
 会社とX2組合との労使関係は当初から良好とはいえず、会社は、組合員の業務を制限して重要な業務を任せなかったり、会社本社内で組合員を役員や管理職等のいる5階や6階から遠ざけるなど、組合員の排除ともとれる対応を行っていたことに加え、継続雇用制度の導入とその後の運用を巡っても労使間の長引く対立があったという事情も踏まえれば、会社が、A3に対し、継続雇用の労働条件として、非組合員である管理職と対比して大幅に低下した労働条件(就労場所、賃金、業務内容等)の提案を行った上、同人を26年9月22日の定年後、再雇用しなかったことは、同人が組合員であるが故の不利益取扱いであるとともに、組合員の継続雇用を妨げることによって組合の弱体化を企図した支配介入にも該当する。
4 定年後の継続雇用に係る団体交渉について
 3月14日の団体交渉で、会社は、組合の要求を継続雇用制度の改善の要求とA3の再雇用の問題に切り離して捉えた上で、継続雇用制度の改善の要求には応じないという対応を執ったが、このように組合の要求を切り離して捉えることの合理性は認められず、会社は、上記対応を執ることにより、事実上組合の要求を拒否したというべきである。
 会社は、継続雇用制度の内容と運用の改善に係る団体交渉に応ずべきあったにもかかわらず、実質的には団体交渉に応じていないのであるから、会社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。  
掲載文献   

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